ある所に、島々を探険している五、六人の若者グループが居た。その若者達はある日、川伝いに山奥へと舟を漕いで行った。未だその山は人が入ってなくて未開の地だった。その特別に深い山に、もの珍しさと、何か宝物があるのではないかと、探険に行った訳だ。探険に行ったら、その中の同胞の一人が、目的地に着いたので舟を降りて、陸に上がったらしい。その山に降り立つと同時に突然、大きな一匹のゴリラが出て来た。そして、そのゴリラに捕まってしまった。それを見た他の連中は肝を冷やして、残っている五、六名のその友人達は直ぐにその河原から舟を出し、棹でけんめいに突き離し、逃げるのに一生けんめいだった。そして、逃げるのにけんめいで、そこに降り立ったひとりの友人の事は全然気付かず、残したまま自分達だけ逃げてしまった。その中の捕ってしまった一人は、ゴリラに押えられ、冷汗をかいて、なすがままにしていた。かみ殺されるのではないかとブルブルふるえながら、ゴリラの言いなりにしていた。ゴリラの言うとおりにして、山奥へと連れていかれた。そのゴリラは仲間に「キャッキャッ」と合図をすると、多くのゴリラが現われて来た。どうやら、このゴリラがボスらしかった。いわゆるそこの大将だった訳だ。そのゴリラのさし図に従って他のゴリラ達はいろいろ動いていた。何をするのかと思ったら、ボスゴリラの指図で木の葉を折って集めてきて、ある広場に敷き、「そこに座れ、座れ。」と命じた。座らされて、その人はビクビクしていた。「もう大変だ。いうことを聞かなければならない。」と座っていた。また何かと合図をしたら、手下のゴリラ達が、今度は、食べ物を持って来た。木の実とか果物、いろんな種類を集めてきて、「これを食べろ。」と言うことで、これが食事だった。こんな生活が毎日続き、一ヶ月、二ヶ月も続いた。さて家に帰らなくてはと思ったが、帰る手段の舟もなく、逃げ帰ることができなかった。そのゴリラが言うままに、まる一年間そのゴリラ達と一緒に過ごし、生の物をかじり、暮らしていた。月日が経つにつれ、動物ではあっても情が湧き出て、同棲関係になり、知らず知らずのうちにゴリラとの関係が出来妊娠させてしまった。そして、出産した。その間山の中に閉じ込められ、山の生活を続けていた。そうしていたら、これは何時までもこのゴリラ達と動物のように、生の物を食ベ、ここで生活するにはいかない何とかしなければと思っていた。もう、どうにかそこから逃げねばという考えがいつも頭にあった。そこで、山から一本、一本、木を切り出してきて、川辺まで運んでいた。その木でいかだを作る予定だった。そして、いかだが組まれる程の本数を集めた。さっそく、いかだ組みを始め、週二時間程度ゴリラ達に気付かれないように作り上げていった。動物のあさましさで何を作っているかも分らず、ただ見ていた。そしてやっとそのいかだが完成した。ボスゴリラの隙を見て逃げる用意を整えていた。そんなある日、いかだも完成し、「もう今逃げないといけない。」と隙を見て逃げようとした。りっぱに作ったいかだに乗って今出ようと、逃げようとしているところを運悪く、ゴリラに見られてしまった。その大きなゴリラは、逃げようとする男を見て、もう怒って、怒って近寄って来た。「自分はとり残して、一人だけで逃げていくのか。」と、怒った。自分の子供を抱いていたが、あまりの怒りに我を忘れて、自分の可愛いい子供も忘れ両足を掴み、おきざりにされる、くやしさと怒りが執念となって燃え上がり、思わずその子の両足を引きさいてしまった。これが所謂、女の恐ろしい心理だから、女をむちゃに扱ってはいけないと言う話だよ。
レコード番号 | 47O371288 |
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CD番号 | 47O37C057 |
決定題名 | ゴリラ女房(方言) |
話者がつけた題名 | ゴリラ女房 |
話者名 | 町田宗進 |
話者名かな | まちだそうしん |
生年月日 | 19160305 |
性別 | 男 |
出身地 | 沖縄県読谷村儀間 |
記録日 | 19770224 |
記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第3班 |
元テープ番号 | 読谷村儀間T04B02 |
元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
分類 | 12 |
発句(ほっく) | あるとぅくるんかいよー |
伝承事情 | 話は雨降りの時、仕事に行けない時に聞いた。この話は渡慶次の神谷乗慶さんから聞いた。 |
文字化資料 | 読谷村民話資料集5儀間の民話 P63 |
キーワード | 島々を探険,若者,深い山,宝物,ゴリラ,同棲関係,妊娠,木でいかだ,逃げる用意,子の両足を引きさいた |
梗概(こうがい) | ある所に、島々を探険している五、六人の若者グループが居た。その若者達はある日、川伝いに山奥へと舟を漕いで行った。未だその山は人が入ってなくて未開の地だった。その特別に深い山に、もの珍しさと、何か宝物があるのではないかと、探険に行った訳だ。探険に行ったら、その中の同胞の一人が、目的地に着いたので舟を降りて、陸に上がったらしい。その山に降り立つと同時に突然、大きな一匹のゴリラが出て来た。そして、そのゴリラに捕まってしまった。それを見た他の連中は肝を冷やして、残っている五、六名のその友人達は直ぐにその河原から舟を出し、棹でけんめいに突き離し、逃げるのに一生けんめいだった。そして、逃げるのにけんめいで、そこに降り立ったひとりの友人の事は全然気付かず、残したまま自分達だけ逃げてしまった。その中の捕ってしまった一人は、ゴリラに押えられ、冷汗をかいて、なすがままにしていた。かみ殺されるのではないかとブルブルふるえながら、ゴリラの言いなりにしていた。ゴリラの言うとおりにして、山奥へと連れていかれた。そのゴリラは仲間に「キャッキャッ」と合図をすると、多くのゴリラが現われて来た。どうやら、このゴリラがボスらしかった。いわゆるそこの大将だった訳だ。そのゴリラのさし図に従って他のゴリラ達はいろいろ動いていた。何をするのかと思ったら、ボスゴリラの指図で木の葉を折って集めてきて、ある広場に敷き、「そこに座れ、座れ。」と命じた。座らされて、その人はビクビクしていた。「もう大変だ。いうことを聞かなければならない。」と座っていた。また何かと合図をしたら、手下のゴリラ達が、今度は、食べ物を持って来た。木の実とか果物、いろんな種類を集めてきて、「これを食べろ。」と言うことで、これが食事だった。こんな生活が毎日続き、一ヶ月、二ヶ月も続いた。さて家に帰らなくてはと思ったが、帰る手段の舟もなく、逃げ帰ることができなかった。そのゴリラが言うままに、まる一年間そのゴリラ達と一緒に過ごし、生の物をかじり、暮らしていた。月日が経つにつれ、動物ではあっても情が湧き出て、同棲関係になり、知らず知らずのうちにゴリラとの関係が出来妊娠させてしまった。そして、出産した。その間山の中に閉じ込められ、山の生活を続けていた。そうしていたら、これは何時までもこのゴリラ達と動物のように、生の物を食ベ、ここで生活するにはいかない何とかしなければと思っていた。もう、どうにかそこから逃げねばという考えがいつも頭にあった。そこで、山から一本、一本、木を切り出してきて、川辺まで運んでいた。その木でいかだを作る予定だった。そして、いかだが組まれる程の本数を集めた。さっそく、いかだ組みを始め、週二時間程度ゴリラ達に気付かれないように作り上げていった。動物のあさましさで何を作っているかも分らず、ただ見ていた。そしてやっとそのいかだが完成した。ボスゴリラの隙を見て逃げる用意を整えていた。そんなある日、いかだも完成し、「もう今逃げないといけない。」と隙を見て逃げようとした。りっぱに作ったいかだに乗って今出ようと、逃げようとしているところを運悪く、ゴリラに見られてしまった。その大きなゴリラは、逃げようとする男を見て、もう怒って、怒って近寄って来た。「自分はとり残して、一人だけで逃げていくのか。」と、怒った。自分の子供を抱いていたが、あまりの怒りに我を忘れて、自分の可愛いい子供も忘れ両足を掴み、おきざりにされる、くやしさと怒りが執念となって燃え上がり、思わずその子の両足を引きさいてしまった。これが所謂、女の恐ろしい心理だから、女をむちゃに扱ってはいけないと言う話だよ。 |
全体の記録時間数 | 4:02 |
物語の時間数 | 4:02 |
言語識別 | 方言 |
音源の質 | △ |
テープ番号 | - |
予備項目1 | - |