
今から、百八十年前の話だが。八重山に、白保という部落があって、そして、 十人ぐらいの人は、部落の人とちっとも意見が合わず、その人たちは上原という所に、所払いにされていたそうだ。ある日、(その所払いになっている人たちが)、綱を張って、翌日行ってみると凄く大きい魚がかかっていた。「これは、見たこともない魚だが、何という魚だろう。人魚という物じゃないだろうか。」と考えたそうだ。〈これは、今のジュゴンというものだそうだ。〉そして、こんなに大きな魚がかかってきたんだから御馳走になろう。」と言って、包丁で殺そうとしたら、「助けてくれ!」と叫んだ。「珍しいことだなぁ、魚なのに叫び声を出すなんて。」と思っていた。(するとその魚が)「私は、実は、一大事なことをお知らせに来たんだが、網にかかってしまった。実は、明日の何時に、大津波が来るからね、高い所に避難しなさい。そして、近くの部落にも知らせてくれ。これを知らせたくて私は来たのだが、貴方たちの網にかかってしまった。貴方たちに合図したんだがね。三日三晩、もう、笛吹いてみたんだが、聞こえなかったのかね。」と言った。「ああ、なるほど、聞いた覚えがある。」と言ったんでしょうね。「それはどうも有難う。」と言って、その魚を放したそうだ。そこで、「仲の悪い部落の人達にも知らせなければならない。」と、再三知らせたけれども、(村の人達は)「また嘘をついて私達を騙そうとするのか。」と言って、ちっとも聞き入れなかったようだ。そして、翌日、その日になると、ずっと沖の方まで潮が干いた。それで、この部落の人達は皆な、海に魚取り(貝拾い)に行って、もう、持てないくらい拾った。どんどん拾えるので面白くて、時の経つのも忘れていた。(その時)急に、ずっと沖の方から、天に届くほどの波が寄せて来たわけさ。(大波が寄せて)来たので、悲鳴をあげて逃げたが、もう間に合わず、海に行っていた人達は、皆な波にさらわれたそうだ。そういうことで、この部落には人が居なくなったので、(新しい村を造るため)離島の黒島から募集した。そして、新部落は浜の方には造らずに、ずっと上の方に造ったのが、今の白保部落だそうだ。また、あのう村造りの時には沖縄から役人を使わした。皆なを励ますために、あの白保節というのは、その頃に出来た歌なんだそうだ。
| レコード番号 | 47O371004 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C045 |
| 決定題名 | 人魚と津波(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 人魚の話 |
| 話者名 | 伊波厚徳 |
| 話者名かな | いはこうとく |
| 生年月日 | 19011013 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村伊良皆 |
| 記録日 | 19770223 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第15班 |
| 元テープ番号 | 読谷村伊良皆T07B01 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 八重山の白保,約十人部落の人と意見が合わない,上原に所払い,人魚,明日の何時に大津波,魚を放した,黒島,白保節 |
| 梗概(こうがい) | 今から、百八十年前の話だが。八重山に、白保という部落があって、そして、 十人ぐらいの人は、部落の人とちっとも意見が合わず、その人たちは上原という所に、所払いにされていたそうだ。ある日、(その所払いになっている人たちが)、綱を張って、翌日行ってみると凄く大きい魚がかかっていた。「これは、見たこともない魚だが、何という魚だろう。人魚という物じゃないだろうか。」と考えたそうだ。〈これは、今のジュゴンというものだそうだ。〉そして、こんなに大きな魚がかかってきたんだから御馳走になろう。」と言って、包丁で殺そうとしたら、「助けてくれ!」と叫んだ。「珍しいことだなぁ、魚なのに叫び声を出すなんて。」と思っていた。(するとその魚が)「私は、実は、一大事なことをお知らせに来たんだが、網にかかってしまった。実は、明日の何時に、大津波が来るからね、高い所に避難しなさい。そして、近くの部落にも知らせてくれ。これを知らせたくて私は来たのだが、貴方たちの網にかかってしまった。貴方たちに合図したんだがね。三日三晩、もう、笛吹いてみたんだが、聞こえなかったのかね。」と言った。「ああ、なるほど、聞いた覚えがある。」と言ったんでしょうね。「それはどうも有難う。」と言って、その魚を放したそうだ。そこで、「仲の悪い部落の人達にも知らせなければならない。」と、再三知らせたけれども、(村の人達は)「また嘘をついて私達を騙そうとするのか。」と言って、ちっとも聞き入れなかったようだ。そして、翌日、その日になると、ずっと沖の方まで潮が干いた。それで、この部落の人達は皆な、海に魚取り(貝拾い)に行って、もう、持てないくらい拾った。どんどん拾えるので面白くて、時の経つのも忘れていた。(その時)急に、ずっと沖の方から、天に届くほどの波が寄せて来たわけさ。(大波が寄せて)来たので、悲鳴をあげて逃げたが、もう間に合わず、海に行っていた人達は、皆な波にさらわれたそうだ。そういうことで、この部落には人が居なくなったので、(新しい村を造るため)離島の黒島から募集した。そして、新部落は浜の方には造らずに、ずっと上の方に造ったのが、今の白保部落だそうだ。また、あのう村造りの時には沖縄から役人を使わした。皆なを励ますために、あの白保節というのは、その頃に出来た歌なんだそうだ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:16 |
| 物語の時間数 | 共通語 |
| 言語識別 | 〇 |
| 音源の質 | 可 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |