
その橋はもう、役人達がどんなに架けても架けても、いつも大水が出るたびに壊れてしまって、ちっとも長持ちしなかった。「不思議なことだ。どうしたらこの橋は完成するのだろうか。」と皆なで思案しているところへ、その女が、七色元結している女が(来て)、「貴方達が造っている橋は、七色元結している女を埋めないと、この橋は完成しない。そうしない限り完成しないよ。」と言った。それで、国々を巡って、役人達は七色の元結をしている人を、あの、七色の元結をしている人を、あの、七色の元結をしている女を捜したがカンプーには、一色の糸なり布切れなりを用いていたという。“わかったか”どこを巡って歩いても七色の元結をした女はいない。もう、1人だけ未だ調べてない。その女が最初に言ったでしょう。その女が「七色の元結をした女を、ここに殺して埋めないと貴方達の仕事は完成しないよ。」と言っているでしょう。そうしたら、「その女1人だけ未だ調べていない。」と言って、役人達が調べに来て、その女の頭を見てみると、七色の元結をしていたという。全部、色の変わった糸、七色で。さあ、そしたら(女は)断ることもできない、行かねばならないでしょう。その橋に埋められに行かねばならなくなった。その女には一人の女の子がいるのでしょう、ナバさんという。そこで、女は埋められに行く時、その子供に「人より先に物を言うとウマの口をとる。母さんは、人より先に物を言ったためにこんな目にあったのだから、お前は人より先に物を言うなよ。」と言った。(すると)こんなに大きくなって、やがて年頃になる子供だというのに、口が堅くなって、その時から全く物を言わなかったそうだ。親の遺言だからと。親が死に行く時の遺言だからと。それから、父親は、その女の子をかかえて二人暮らしているでしょう。妻はも橋の下に埋められていないから。それでもう、「ここでは自分達は住めない。この子を連れて、私は国頭へ、山原へ行こう。」と言って、その子を連れて国頭は謝敷の字に行ったそうだ そのお父さんは。連れては行ったものの、(娘は)親の遺言だからもう、誰が声をかけても答えない。頭を振るばかりで、父親とも全く話をしないそうだ、その子供は。ある日、(その子は)貝拾いに行ったようだ、その海に。国頭は謝敷の字で、その女の子が貝拾いに行くと、首里の侍がそこを通りかかったそうだよ。「こんに美しい娘がいるなあ。」と思って(侍は娘が)海で貝拾いするのを(眺めた)。そして、侍が娘の所にやってきて話かけるけれども、(娘は)頭を動かすだけで、全く話さなかった、その男に対して。けれどもお互いに美しい者だったので、二人は縁を結んだようだ。男は(女を)手放してはいけないと、女は(男に)寄りかかって、物は言わないが。そして、(男が)「私の妻になってくれ。」と言うと、(娘は)うなずいてにこにこしていた。歌にでもあるでしょう、国頭は謝敷だから、「謝敷板干瀬に 寄せては引く波の 謝敷めわらべの 美しい目と歯の笑顔。」という歌。もう大そう、男と微笑み交わしているそうだ。そうして、「夫婦になりたい。」と、父の前に浜から上がって二人で言ってお願いすると、その父親は「これは物も言えない娘だから、これを嫁がせていったら私まで恥をかくから許さないよ。」と答えた。けれども、その娘は「必ず行く」と言う(態度であった)。「お父さんは私達が連れて行って、首里の私達の城で、立派に崇めてちゃんと私がお世話しますよ。」と言って、その男は、父親を連れて行った。国頭は謝敷の村から首里の御殿に。(男が父娘を首里に)連れて行くと、そこには、親達が他所から妻にする人を連れて来てあったそうだ。連れてきて座らせてあったそうだ、座敷に。親も娘も座敷に座らせてあるそうだが、またこちらも(父娘を)連れて行っているでしょう。あちらの娘は大そう物も言えるが、連れて来た女は、こちらは声をかけても答えないでしょう、容貌は大変美しいけれども。それで、あちらはさかんに物も言うので、娘の父親は、「お前は言葉一つ言えないのか、言葉一つ言えないのか。」と責めるが(娘は)言えない。(この娘が)物を言えないおを知って、側に座って、「私の夫になるんだ。」と言って、物の言える女は里乃子に言い寄ったそうだ。(その時)蝶が飛んだそうだ、スーリー東の方に。“いいかね”。蝶が、その人達の上を飛んだそうだ、その首里の御殿の御座敷で。すると、その物言わぬ娘 が、その時から物を言い出したそうだ。「スーリー しばし待てお母さん 私は大きな立身(結婚)するのよ。」と。それでもう、皆な手でバンバンバンバンたたいて「このナバさんが物を言った。物を言った。」と、その一言、歌を詠んだので。蝶はもう、その娘の母親だ ったので、「嫁に行くから、私に物を言わせて下さい お母さん。」と、その娘が願ったわけです。「スーリー しばし待て蝶よ〈お母さんは蝶になっているので〉スーリー しばし待て蝶よ スーリー しばし待てお母さん 私は大きな立身をするのよ。」と、もう大変良い所へ嫁ぐので、歌で願ったわけ。それでもう、がっかりして行ったでしょう、他所から連れて来た親子は、すぐ逃げて行った。「スーリー
しばし待てお母さん ものを言わせて下さい。 私は大きな立身をしますよ。」と。そして、もう大変(幸福)になったそうだ。
| レコード番号 | 47O370831 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C038 |
| 決定題名 | 真玉橋の人柱(方言) |
| 話者がつけた題名 | 真玉橋の話 |
| 話者名 | 呉屋ナへ |
| 話者名かな | ごやなへ |
| 生年月日 | 18850504 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村伊良皆 |
| 記録日 | 19770224 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第5班 |
| 元テープ番号 | 読谷村伊良皆T02A07 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集1伊良皆の民話 P86 |
| キーワード | 橋,役人達,架からない,大水,七色元結,女を埋める,女の子,ナバ,人より先に物を言うな,親の遺言,国頭,山原,謝敷,貝拾い,首里の侍,縁を結ぶ,蝶 |
| 梗概(こうがい) | その橋はもう、役人達がどんなに架けても架けても、いつも大水が出るたびに壊れてしまって、ちっとも長持ちしなかった。「不思議なことだ。どうしたらこの橋は完成するのだろうか。」と皆なで思案しているところへ、その女が、七色元結している女が(来て)、「貴方達が造っている橋は、七色元結している女を埋めないと、この橋は完成しない。そうしない限り完成しないよ。」と言った。それで、国々を巡って、役人達は七色の元結をしている人を、あの、七色の元結をしている人を、あの、七色の元結をしている女を捜したがカンプーには、一色の糸なり布切れなりを用いていたという。“わかったか”どこを巡って歩いても七色の元結をした女はいない。もう、1人だけ未だ調べてない。その女が最初に言ったでしょう。その女が「七色の元結をした女を、ここに殺して埋めないと貴方達の仕事は完成しないよ。」と言っているでしょう。そうしたら、「その女1人だけ未だ調べていない。」と言って、役人達が調べに来て、その女の頭を見てみると、七色の元結をしていたという。全部、色の変わった糸、七色で。さあ、そしたら(女は)断ることもできない、行かねばならないでしょう。その橋に埋められに行かねばならなくなった。その女には一人の女の子がいるのでしょう、ナバさんという。そこで、女は埋められに行く時、その子供に「人より先に物を言うとウマの口をとる。母さんは、人より先に物を言ったためにこんな目にあったのだから、お前は人より先に物を言うなよ。」と言った。(すると)こんなに大きくなって、やがて年頃になる子供だというのに、口が堅くなって、その時から全く物を言わなかったそうだ。親の遺言だからと。親が死に行く時の遺言だからと。それから、父親は、その女の子をかかえて二人暮らしているでしょう。妻はも橋の下に埋められていないから。それでもう、「ここでは自分達は住めない。この子を連れて、私は国頭へ、山原へ行こう。」と言って、その子を連れて国頭は謝敷の字に行ったそうだ そのお父さんは。連れては行ったものの、(娘は)親の遺言だからもう、誰が声をかけても答えない。頭を振るばかりで、父親とも全く話をしないそうだ、その子供は。ある日、(その子は)貝拾いに行ったようだ、その海に。国頭は謝敷の字で、その女の子が貝拾いに行くと、首里の侍がそこを通りかかったそうだよ。「こんに美しい娘がいるなあ。」と思って(侍は娘が)海で貝拾いするのを(眺めた)。そして、侍が娘の所にやってきて話かけるけれども、(娘は)頭を動かすだけで、全く話さなかった、その男に対して。けれどもお互いに美しい者だったので、二人は縁を結んだようだ。男は(女を)手放してはいけないと、女は(男に)寄りかかって、物は言わないが。そして、(男が)「私の妻になってくれ。」と言うと、(娘は)うなずいてにこにこしていた。歌にでもあるでしょう、国頭は謝敷だから、「謝敷板干瀬に 寄せては引く波の 謝敷めわらべの 美しい目と歯の笑顔。」という歌。もう大そう、男と微笑み交わしているそうだ。そうして、「夫婦になりたい。」と、父の前に浜から上がって二人で言ってお願いすると、その父親は「これは物も言えない娘だから、これを嫁がせていったら私まで恥をかくから許さないよ。」と答えた。けれども、その娘は「必ず行く」と言う(態度であった)。「お父さんは私達が連れて行って、首里の私達の城で、立派に崇めてちゃんと私がお世話しますよ。」と言って、その男は、父親を連れて行った。国頭は謝敷の村から首里の御殿に。(男が父娘を首里に)連れて行くと、そこには、親達が他所から妻にする人を連れて来てあったそうだ。連れてきて座らせてあったそうだ、座敷に。親も娘も座敷に座らせてあるそうだが、またこちらも(父娘を)連れて行っているでしょう。あちらの娘は大そう物も言えるが、連れて来た女は、こちらは声をかけても答えないでしょう、容貌は大変美しいけれども。それで、あちらはさかんに物も言うので、娘の父親は、「お前は言葉一つ言えないのか、言葉一つ言えないのか。」と責めるが(娘は)言えない。(この娘が)物を言えないおを知って、側に座って、「私の夫になるんだ。」と言って、物の言える女は里乃子に言い寄ったそうだ。(その時)蝶が飛んだそうだ、スーリー東の方に。“いいかね”。蝶が、その人達の上を飛んだそうだ、その首里の御殿の御座敷で。すると、その物言わぬ娘 が、その時から物を言い出したそうだ。「スーリー しばし待てお母さん 私は大きな立身(結婚)するのよ。」と。それでもう、皆な手でバンバンバンバンたたいて「このナバさんが物を言った。物を言った。」と、その一言、歌を詠んだので。蝶はもう、その娘の母親だ ったので、「嫁に行くから、私に物を言わせて下さい お母さん。」と、その娘が願ったわけです。「スーリー しばし待て蝶よ〈お母さんは蝶になっているので〉スーリー しばし待て蝶よ スーリー しばし待てお母さん 私は大きな立身をするのよ。」と、もう大変良い所へ嫁ぐので、歌で願ったわけ。それでもう、がっかりして行ったでしょう、他所から連れて来た親子は、すぐ逃げて行った。「スーリー しばし待てお母さん ものを言わせて下さい。 私は大きな立身をしますよ。」と。そして、もう大変(幸福)になったそうだ。 |
| 全体の記録時間数 | 8:16 |
| 物語の時間数 | 8:16 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |