
昔、ある女が妊娠していたが、その人は子を孕(はら)んだまま死んでしまった。(その人は墓に葬られたが)しばらくして墓の内からガラガラと音がするのを、そこら辺で仕事をしている人が聞いて、「何だろうか。」と思い開けて、内にいる子どもを助けたということである。その女は、母親は毎日のように(店に)買い物に来て、菓子などを買って帰るが、その人が帰った後、(お金は)全部ウチカビに変わっていた。(店の主は)「これは珍しいことだ、どうしてだろう。」と思った。それから、墓の内でガラガラ音がしたので、「何ガろうか。」と開けて見ると、子どもが棺箱の側であそんでいたそうだ。その子は成長したが、後生と現世を往来し、一週期は後生にまた一週間は現世の人になって生活していたようだね。その人をテーラシカマグチというんでしょうね。またその人には異母兄弟がいた。(父親は)後妻をもらったのでしょうね。その人の弟達が五人だったのか、三人だったのか生まれた。弟達が兄さんに、「私達の後生を見せてちょうだい。見せてちょうだい。」と言った。「そうか、では後生に行きたいのなら連れて行って見せはするが、あそこに行ったならば指をさしてはいけないよ。」という約束をして行った。そして、テーラシカマグチは弟達と一緒に後生に行った。あちらこちら見て終ってから、「どこか珍しいこともあったか。」と聞くと、(弟達は)「あそこに若い青年達が倒れていたのが珍しく思いました。」と答えた。すると、シカマグチは「そうだったのか、あれはおまえたち、私の弟たちだったんだよ。」と言って、すすきを持ってきてはたいたら、そこに死んでいた人達は皆いなくなってしまった。その時からマブイアカシというのが始まったという話だがね。もう(テーラシカマグチは)神のような生まれをしていたのでしょうね。後生でも長く生活していたし、そんな話を聞いたよ。
①ウチカビ‥‥紙銭のことで、以前は店から褐色のウチカビを買って、それにまるい銭の型をしたウチカ
ビウッチャーと称するもので、縦五個、横七個に打って使用したが、現在では打たれたものが店で用意されている。焼香事や清明祭等に用いている。
②シカマグチ‥‥テーラシカマグチのことで、母親が身ごもったまま死んだので墓の中で生まれたので「後生半分、現世半分。」といわれ、あの世とこの世を往来できたという。
| レコード番号 | 47O370733 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C034 |
| 決定題名 | 子育て幽霊(方言) |
| 話者がつけた題名 | テーラシカマクチ |
| 話者名 | 神谷カマド |
| 話者名かな | かみやかまど |
| 生年月日 | 19020608 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村瀬名波 |
| 記録日 | 19810424 |
| 記録者の所属組織 | 読谷ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村瀬名波T09A16 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | あぬんかし |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集4瀬名波の民話 P74 |
| キーワード | 妊娠したまま死んだ,墓の内から音,子供,菓子,ウチカビ,棺箱,後生と現世を往来,テーラシカマグチ,異母兄弟,後妻,弟達,指をさすな,すすき,マブイアカシ,神 |
| 梗概(こうがい) | 昔、ある女が妊娠していたが、その人は子を孕(はら)んだまま死んでしまった。(その人は墓に葬られたが)しばらくして墓の内からガラガラと音がするのを、そこら辺で仕事をしている人が聞いて、「何だろうか。」と思い開けて、内にいる子どもを助けたということである。その女は、母親は毎日のように(店に)買い物に来て、菓子などを買って帰るが、その人が帰った後、(お金は)全部ウチカビに変わっていた。(店の主は)「これは珍しいことだ、どうしてだろう。」と思った。それから、墓の内でガラガラ音がしたので、「何ガろうか。」と開けて見ると、子どもが棺箱の側であそんでいたそうだ。その子は成長したが、後生と現世を往来し、一週期は後生にまた一週間は現世の人になって生活していたようだね。その人をテーラシカマグチというんでしょうね。またその人には異母兄弟がいた。(父親は)後妻をもらったのでしょうね。その人の弟達が五人だったのか、三人だったのか生まれた。弟達が兄さんに、「私達の後生を見せてちょうだい。見せてちょうだい。」と言った。「そうか、では後生に行きたいのなら連れて行って見せはするが、あそこに行ったならば指をさしてはいけないよ。」という約束をして行った。そして、テーラシカマグチは弟達と一緒に後生に行った。あちらこちら見て終ってから、「どこか珍しいこともあったか。」と聞くと、(弟達は)「あそこに若い青年達が倒れていたのが珍しく思いました。」と答えた。すると、シカマグチは「そうだったのか、あれはおまえたち、私の弟たちだったんだよ。」と言って、すすきを持ってきてはたいたら、そこに死んでいた人達は皆いなくなってしまった。その時からマブイアカシというのが始まったという話だがね。もう(テーラシカマグチは)神のような生まれをしていたのでしょうね。後生でも長く生活していたし、そんな話を聞いたよ。 ①ウチカビ‥‥紙銭のことで、以前は店から褐色のウチカビを買って、それにまるい銭の型をしたウチカ ビウッチャーと称するもので、縦五個、横七個に打って使用したが、現在では打たれたものが店で用意されている。焼香事や清明祭等に用いている。 ②シカマグチ‥‥テーラシカマグチのことで、母親が身ごもったまま死んだので墓の中で生まれたので「後生半分、現世半分。」といわれ、あの世とこの世を往来できたという。 |
| 全体の記録時間数 | 2:57 |
| 物語の時間数 | 2:57 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |