
昔、楚辺に、たいそう霊力高く生まれた童がいたらしいがね。だけど、そのように秀れた生まれをした者を生かしておくと、王様に反抗するだろうということで、昔は処罰していたそうだ。罰していたって。そのようにしていたが、(その子のところへ)北谷長老という人がいらしてね。「あなたのお父さんはどこに行ったかね。」と聞くと、「父は(イザリに行くための)灯りを取りにです。」と言った。「お母さんはどこに?。」と聞くと、「母は夏は立ち枯れ、冬は青草取りにです。」と答えた。そういうふうに答えたので、「そうか、これはたいした童だ。」と北谷長老様は思っていたようだね。その時、船乗りで山羊を買い求めて歩く人がいた。〈昔は楚辺の西方に船着き場があったそうだが〉そこに山羊を買う人が、船乗りが来たので、北谷長老が、「もうこの子に飼わす必要はないので、早く君達が持って行って食べなさい。」と言った。その山羊は船乗りに持たした。その子の家の山羊を持たしたようだがね。それからまた、「おまえが田を耕やすときに、何回鍬をふるか数えておきなさい。」と、長老様は言って帰られた。「はい。」と返事した。そして田を耕やすときには数えたようだが、何回も何回も田を耕やすことだし、忘れてしまって分らなくなった。そのうちに、長老様はいらして、「おまえが田を耕やす時の鍬の数は何回だったか。」と言われたら、「もう私は忘れてしまいました。分りません。」と言った。「それでは、貴方の乗ってこられた馬の足跡の数はいくらですか。」と問い返した。またしても(その子にことばを)返されたので、「もうこいつを生かしておくことはできない。」と、「もう殺してしまおう。」と長老様は言われたようだね。そして、その童はまた、「北の方の海は大きい船も浮くし、小さい船も浮くでしょう。」と長老様に言った。「大船も浮くし、小船も浮くし、もう早熟しているのも運命なのです。」と、その長老様に言っただけで、その子も長老様も死んでしまったということである。しかし、そこは男の子はその子ひとりしかいなかった。後継ぎがいなくなったので、そこの家の道具、水甕やらいろんな物を、墓の前に持っていって置いてあったが、水甕には木の葉、一枚も落ちてはこなかったということである。それから、その子を洗骨しようとしたら、身体はなくなっていたということである。(墓に)送ったこどもはね、身体はなくなっていたという話、そんな話だったよ。
| レコード番号 | 47O370731 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C034 |
| 決定題名 | 神童と北谷長老(方言) |
| 話者がつけた題名 | 楚辺童の話 |
| 話者名 | 神谷カマド |
| 話者名かな | かみやかまど |
| 生年月日 | 19020608 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村瀬名波 |
| 記録日 | 19810424 |
| 記録者の所属組織 | 読谷ゆうがおの会 |
| 元テープ番号 | 読谷村瀬名波T09A14 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集4瀬名波の民話 P207 |
| キーワード | 楚辺,霊力高い童,王様,北谷長老,父は灯りを取りに,母は夏は立ち枯れ冬は青草取り,船乗り,山羊,田,鍬,大船,小船,水甕,墓の前 |
| 梗概(こうがい) | 昔、楚辺に、たいそう霊力高く生まれた童がいたらしいがね。だけど、そのように秀れた生まれをした者を生かしておくと、王様に反抗するだろうということで、昔は処罰していたそうだ。罰していたって。そのようにしていたが、(その子のところへ)北谷長老という人がいらしてね。「あなたのお父さんはどこに行ったかね。」と聞くと、「父は(イザリに行くための)灯りを取りにです。」と言った。「お母さんはどこに?。」と聞くと、「母は夏は立ち枯れ、冬は青草取りにです。」と答えた。そういうふうに答えたので、「そうか、これはたいした童だ。」と北谷長老様は思っていたようだね。その時、船乗りで山羊を買い求めて歩く人がいた。〈昔は楚辺の西方に船着き場があったそうだが〉そこに山羊を買う人が、船乗りが来たので、北谷長老が、「もうこの子に飼わす必要はないので、早く君達が持って行って食べなさい。」と言った。その山羊は船乗りに持たした。その子の家の山羊を持たしたようだがね。それからまた、「おまえが田を耕やすときに、何回鍬をふるか数えておきなさい。」と、長老様は言って帰られた。「はい。」と返事した。そして田を耕やすときには数えたようだが、何回も何回も田を耕やすことだし、忘れてしまって分らなくなった。そのうちに、長老様はいらして、「おまえが田を耕やす時の鍬の数は何回だったか。」と言われたら、「もう私は忘れてしまいました。分りません。」と言った。「それでは、貴方の乗ってこられた馬の足跡の数はいくらですか。」と問い返した。またしても(その子にことばを)返されたので、「もうこいつを生かしておくことはできない。」と、「もう殺してしまおう。」と長老様は言われたようだね。そして、その童はまた、「北の方の海は大きい船も浮くし、小さい船も浮くでしょう。」と長老様に言った。「大船も浮くし、小船も浮くし、もう早熟しているのも運命なのです。」と、その長老様に言っただけで、その子も長老様も死んでしまったということである。しかし、そこは男の子はその子ひとりしかいなかった。後継ぎがいなくなったので、そこの家の道具、水甕やらいろんな物を、墓の前に持っていって置いてあったが、水甕には木の葉、一枚も落ちてはこなかったということである。それから、その子を洗骨しようとしたら、身体はなくなっていたということである。(墓に)送ったこどもはね、身体はなくなっていたという話、そんな話だったよ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:39 |
| 物語の時間数 | 3:39 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |