犬と猫の業比べ(方言)

概要

犬と猫との業比べの話であるが、昔、ある所に、三郎という人がいたようだ。その三郎は、親が、「仕事を探して来なさい。」と、旅費を持たして旅に行かせた。すると、行く道中で、猫を引きずって歩いている人に会って、「どうして、この猫をこのように泣かして、引きずって歩くのかね。」と聞くと、「この猫は役に立たないから、捨てて来いというので、引きずって歩いているわけだがね。」と、答えた。この三郎は、大変動物思いであったようで、「どれ、その猫はそうだったら私が買おう。」と言って買った。もう、旅費として持たせられたお金で買って、家に帰って行った。親はまた、(仕事を捜してこいと)旅費を持たせて行かした。行く道中で、今度は犬を引きずって来る人がいたようである。「どうして、犬をそのようにいじめているのか。」と問うたら、「これももう邪魔者だから殺して捨てて来る。」と言って、引きずって行ったようである。「どれ、それなら私が買おう。」と言って、またそれも買ったので、旅費はなくなって家へ帰って行った。もう、親たちも怒って、「もう、それならこれまでだよ。」と言って、またも旅費を持たして行かせたようである。そこで、また行きなさいと、行かせたようである。今度は、子供たちが猿を捕えて大勢でいたずらしている所に出会ったようである。「おい、いったいお前たちはどういう理由で猿をいじめているのか。」と言った。そうしたら子供たちは逆らって、「どうして、これは私たちが捕えたものだのに。」と、、答えたようである。「どれ、そんなら私が買おう。」と言って、お金をあげたので、子供達も喜んだ。そうして、その猿を離してやった。山に離してやって、自分は家に帰って来た。親は、「もうそれでおしまい。もうお前には旅費を持たす必要はない。」と言った。それからは、家でタキギ取りをして暮らしていたようである。そして、山でタキギ取りをしているある日のこと、タキギを取ろうとしたら、「三郎よ、三郎。」と呼ぶ者がいたようである。「はて、どこに人がいるのだろうか。」と、あたりを見まわしてみると、猿が一匹いた。その猿が、「この前は、大変お世話になりま七た。おかげで助かったから、私たちのおじいさんがね、三郎を連れて来なさいと言って、待ち望んでいらっしゃるので、私と一緒に行ってくれませんか。」と言った。「それなら、どこへ行くのかね。」と言うと、「私の尾を掴まえて下さい。」「さあ、行きますよ。」と言って、猿の尾を掴まえた。しばらくしてから、目を開けてみると、すぐさま大変美しい家で、良い所に着いていた。そうして、そこであるだけのたくさんの御馳走を出して、大変な楽しみをしたようである。もう、家に帰る時間になったので、その猿は大変しょんぼりした様子である。そしたら、年寄りのじいさん猿が、「どうして、お前はそのようにしょんぼりしているのか。」と、言って猿に聞いたので、「もう、三郎が家に帰る時に、あの宝物を持たしてあげてはどうでしょうか。」と、じいさんに頼んだ。「そんなら、そうしよう。」と言って、ヌーブシヌタマと称するもの、そのタマをおみやげとして持たすことにした。そういうことで、その三郎に見せて、家へのみやげとしてあげた。その玉は、自分の必要なものはなんでも出るから、自分の必要なものを出しなさいと、習ってきた。家に帰って来て、自分の必要なものだけを出した。さらに、家も造って、裕福に暮らしていたそうである。そうしたら、隣りにいる欲張者が、その話を聞いて、「それを借してくれ。」と来たようである。「それじゃ借りなさい。」と言って貸すことにした。しかし、貸しはしたものの‥‥。返しに持ってきたものは偽物を持って来た。それで、欲張者が返した後からは、「何々出なさいこれこれ出なさい。」と言っても、何も出なかったようである。それからは、もうこれは偽物であると彼は怒った。どうしても自分のものではない、と三郎は怒った。そのように話をしたら、猫がいち早くそれを聞いて、自分で奪い返しに行ったようである。欲張者の家へ行き、そうして、倉の下にうずくまっていた。ちょうど鼠がいたので捕えて、「おまえの主人は心が悪いので、おまえは今日は見逃すわけにはいかない。」と言った。すると、別の鼠たちが、「このねずみは、きょう花嫁として立って行く身であるので、どうか見逃がして下さい。」と言った。「そうであるなら見逃してもよいが、おまえたちの主人のしたことで、あの玉を持って来たら見逃してあげよう。」と言った。「それなら取って来ます。」と言って、その鼠は隠してあるところから取って、ヨイショ、ヨイショと持って来た。猫は、それを受け取ると、すぐ急いで家へ行った。途中で犬に会ってしまった。犬もそのような話を聞いていたらしく、(自分が玉を持って行くつもりで)猫から玉を奪い取りにきたのである。犬は猫より、五体は丈夫であるからね。奪い取りに来て、途中で出会ったので、「おまえには持つのは無理だから、私が持とう。」と言って、強引に犬が持ったようである。それから、川の上に来たので、川を渡ろうとしたら、水面に自分の姿が映るでしょう。それで、「ワン。」と吠えたようである。吠えたので、その玉を川の中へ落としてしまった。猫は、犬に玉を奪われてしまったので、犬が玉を落としたその川で、魚が浮いていたので、なんとなくその魚を捕えて来たようである。その魚を捕えて家に帰って来た。「玉を取って来たか。」と(主人が)言うと、「魚の腹を開けなさい。」と、主人に言った。なるほど、腹を開けると、その中に玉が入っていた。それで猫はほめられた。一方、犬の方は、「おまえは何の役にもたたない。このような失敗をしでかして。おまえは外で生活しなさい。家の中には入りなさんな。外をかけずり廻りなさい。」と言い、猫には、「主人の側で暮らしなさい。」と言った。それからは、猫は主人の側、家の中で暮らし、犬は外で暮らしたという話。

再生時間:8:59

民話詳細DATA

レコード番号 47O370698
CD番号 47O37C032
決定題名 犬と猫の業比べ(方言)
話者がつけた題名 犬と猫の業比べ(方言)
話者名 神谷カマド
話者名かな かみやかまど
生年月日 19020608
性別
出身地 沖縄県読谷村瀬名波
記録日 19770815
記録者の所属組織 読谷村民話調査団第10班
元テープ番号 読谷村瀬名波T08A01
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情 喜納緑村先生(小学校の時)
文字化資料 読谷村民話資料集4瀬名波の民話 P52
キーワード 犬と猫の業比べ,三郎,猫,犬,猿,タキギ取り,御馳走,年寄りのじいさん猿,宝物,ヌブシの玉,隣りの欲張者,ねずみ,花嫁,犬猫は家の中,犬は外
梗概(こうがい) 犬と猫との業比べの話であるが、昔、ある所に、三郎という人がいたようだ。その三郎は、親が、「仕事を探して来なさい。」と、旅費を持たして旅に行かせた。すると、行く道中で、猫を引きずって歩いている人に会って、「どうして、この猫をこのように泣かして、引きずって歩くのかね。」と聞くと、「この猫は役に立たないから、捨てて来いというので、引きずって歩いているわけだがね。」と、答えた。この三郎は、大変動物思いであったようで、「どれ、その猫はそうだったら私が買おう。」と言って買った。もう、旅費として持たせられたお金で買って、家に帰って行った。親はまた、(仕事を捜してこいと)旅費を持たせて行かした。行く道中で、今度は犬を引きずって来る人がいたようである。「どうして、犬をそのようにいじめているのか。」と問うたら、「これももう邪魔者だから殺して捨てて来る。」と言って、引きずって行ったようである。「どれ、それなら私が買おう。」と言って、またそれも買ったので、旅費はなくなって家へ帰って行った。もう、親たちも怒って、「もう、それならこれまでだよ。」と言って、またも旅費を持たして行かせたようである。そこで、また行きなさいと、行かせたようである。今度は、子供たちが猿を捕えて大勢でいたずらしている所に出会ったようである。「おい、いったいお前たちはどういう理由で猿をいじめているのか。」と言った。そうしたら子供たちは逆らって、「どうして、これは私たちが捕えたものだのに。」と、、答えたようである。「どれ、そんなら私が買おう。」と言って、お金をあげたので、子供達も喜んだ。そうして、その猿を離してやった。山に離してやって、自分は家に帰って来た。親は、「もうそれでおしまい。もうお前には旅費を持たす必要はない。」と言った。それからは、家でタキギ取りをして暮らしていたようである。そして、山でタキギ取りをしているある日のこと、タキギを取ろうとしたら、「三郎よ、三郎。」と呼ぶ者がいたようである。「はて、どこに人がいるのだろうか。」と、あたりを見まわしてみると、猿が一匹いた。その猿が、「この前は、大変お世話になりま七た。おかげで助かったから、私たちのおじいさんがね、三郎を連れて来なさいと言って、待ち望んでいらっしゃるので、私と一緒に行ってくれませんか。」と言った。「それなら、どこへ行くのかね。」と言うと、「私の尾を掴まえて下さい。」「さあ、行きますよ。」と言って、猿の尾を掴まえた。しばらくしてから、目を開けてみると、すぐさま大変美しい家で、良い所に着いていた。そうして、そこであるだけのたくさんの御馳走を出して、大変な楽しみをしたようである。もう、家に帰る時間になったので、その猿は大変しょんぼりした様子である。そしたら、年寄りのじいさん猿が、「どうして、お前はそのようにしょんぼりしているのか。」と、言って猿に聞いたので、「もう、三郎が家に帰る時に、あの宝物を持たしてあげてはどうでしょうか。」と、じいさんに頼んだ。「そんなら、そうしよう。」と言って、ヌーブシヌタマと称するもの、そのタマをおみやげとして持たすことにした。そういうことで、その三郎に見せて、家へのみやげとしてあげた。その玉は、自分の必要なものはなんでも出るから、自分の必要なものを出しなさいと、習ってきた。家に帰って来て、自分の必要なものだけを出した。さらに、家も造って、裕福に暮らしていたそうである。そうしたら、隣りにいる欲張者が、その話を聞いて、「それを借してくれ。」と来たようである。「それじゃ借りなさい。」と言って貸すことにした。しかし、貸しはしたものの‥‥。返しに持ってきたものは偽物を持って来た。それで、欲張者が返した後からは、「何々出なさいこれこれ出なさい。」と言っても、何も出なかったようである。それからは、もうこれは偽物であると彼は怒った。どうしても自分のものではない、と三郎は怒った。そのように話をしたら、猫がいち早くそれを聞いて、自分で奪い返しに行ったようである。欲張者の家へ行き、そうして、倉の下にうずくまっていた。ちょうど鼠がいたので捕えて、「おまえの主人は心が悪いので、おまえは今日は見逃すわけにはいかない。」と言った。すると、別の鼠たちが、「このねずみは、きょう花嫁として立って行く身であるので、どうか見逃がして下さい。」と言った。「そうであるなら見逃してもよいが、おまえたちの主人のしたことで、あの玉を持って来たら見逃してあげよう。」と言った。「それなら取って来ます。」と言って、その鼠は隠してあるところから取って、ヨイショ、ヨイショと持って来た。猫は、それを受け取ると、すぐ急いで家へ行った。途中で犬に会ってしまった。犬もそのような話を聞いていたらしく、(自分が玉を持って行くつもりで)猫から玉を奪い取りにきたのである。犬は猫より、五体は丈夫であるからね。奪い取りに来て、途中で出会ったので、「おまえには持つのは無理だから、私が持とう。」と言って、強引に犬が持ったようである。それから、川の上に来たので、川を渡ろうとしたら、水面に自分の姿が映るでしょう。それで、「ワン。」と吠えたようである。吠えたので、その玉を川の中へ落としてしまった。猫は、犬に玉を奪われてしまったので、犬が玉を落としたその川で、魚が浮いていたので、なんとなくその魚を捕えて来たようである。その魚を捕えて家に帰って来た。「玉を取って来たか。」と(主人が)言うと、「魚の腹を開けなさい。」と、主人に言った。なるほど、腹を開けると、その中に玉が入っていた。それで猫はほめられた。一方、犬の方は、「おまえは何の役にもたたない。このような失敗をしでかして。おまえは外で生活しなさい。家の中には入りなさんな。外をかけずり廻りなさい。」と言い、猫には、「主人の側で暮らしなさい。」と言った。それからは、猫は主人の側、家の中で暮らし、犬は外で暮らしたという話。
全体の記録時間数 8:59
物語の時間数 8:59
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

トップに戻る

TOP