武士喜屋武ミーグヮー(方言)

概要

チャンミーグヮーという人は、見た目には、そんなにめだたないじいさんだった。武術に秀れた人のようには見えなかったが、その人は終戦直後まで元気だった人である。ある日、チャンミーグヮーは、那覇の塩会社に、馬車を持って、朝早く出かけたそうだ。その後に与那原の青年たち四、五人が馬車でやって来た。そこでは、チャンミーグヮーが先にいらしていたので、与那原の青年たちは中に入れなかった。「ほら、ウスメーグヮー、貴方も塩を積みに来たのなら、早く積んでくれないか。」と言った。「年寄りだし、ゆっくりゆっくりしか出来ないので、待っててくれないか青年たちよ。」とチャンミーグヮーは頼んだ。「では、そんなに急いでいるんだったら、私達が手伝って積んであげるから、積ませてくれ。」と、与那原の青年たちが言った。そして、すまんが積んでくれと頼まれ、積んであげた。「もう、これだけで結構だ。今度は君たちの馬車に積むがよい。」と言い、「どれ、私の馬車は片づけよう。」と、チャンミーグヮーは側に馬車をよけた。「よし、君たちの馬車を入れなさい。」と言った。その後で、「どれ、あそこにある薪の中に杖になるのがあるようだから、それを私に持ってきてくれ。」と頼んだ。「これで何をするのですか。」と聞くと、「私が使うんだ。」と答えた。そして、「さあ、君たちも積む準備をしなさい。私は馬車の上に立って待っているから、塩は私にどんどん投げてくれ、君たちは腕力はあるし、俵の一俵ぐらい平気で投げられるさ。」と、チャンミーグヮーは、青年たちを励ましたようだ。与那原の青年たちは、「実に、この人は珍らしいなあ。」と思いながら、塩を取って投げると、すばやく杖で受けて、馬車にどんどん積んでいった。青年たちは一人残らず、目をくるくるさせて驚いた。「どうだ、もっと積むか。」とチャンミーグヮーが言うと、「いや、それだけ積んで下さい。」「どうも有難う。私の馬車の荷も積んでもらったし、また、私も君たちの手伝いができた。本当に有難とう。」と言った。「ねえ青年たちよ、人はどんなに悪者でも、長者であっても、順番はその通りに守り、一人一人が助け合うってこともあることだし、人にはあまり無理を言わないほうがいいね。」と、チャンミーグヮーが悟した。また、ある人がこの近くを通りかかり、「君たちは、この人に何て言ったか。」と聞いた。そしてその人が「この人は読谷山チャンミーグヮーという方で、名高い武術者でいらっしゃる。幸い君たちは殺されなくて運がよかった。人は見かけで判断するのではなく、立派に話をするもんなんだよ。」と言った。それから、与那原の青年たち四、五人の馬車持ちたちは、一人一人が顔を見合わせ、「悪うございました。」と繰り返し詫びた。そして、一人一人の顔を見ながらお辞儀をした。すると今度はチャンミーが、「ねえ、青年たちよ、君たちはそんなに恐縮しているようだが、私も年が年だしこれまでに皆と同じような行動をして歩んできたが、武術者だからとて、人を殺したことはない。自分が武術者だからといって、手当たりしだいに青年たちを傷つけては罪になる。そんなことをしてはいけないんだ。人間は親しくよく話した上で、そのような短気はするものだよ。単に、自分が頑丈だからといって、私は他人に拳一つでも与えたことがない。もちろん、受けはずしはするけど。」と言われた。「本当に悪いことをしました。チャンさんという方は貴方でしたか。」と詫びたようだ。「チャンさんではなくて、チャンミーグヮーと呼ぶがよい。」そこで、青年たちは「ご無礼を申し上げました。」と、お辞儀したという話なんだよ。

再生時間:4:07

民話詳細DATA

レコード番号 47O370437
CD番号 47O37C020
決定題名 武士喜屋武ミーグヮー(方言)
話者がつけた題名 喜屋武ミーグヮー
話者名 松田永助
話者名かな まつだえいすけ
生年月日 19050219
性別
出身地 沖縄県読谷村長浜
記録日 19810219
記録者の所属組織 読谷ゆうがおの会
元テープ番号 読谷村長浜T11B01
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 読谷村民話資料集3長浜の民話 P254
キーワード チャンミーグヮー,見た目にめだたないじいさん,武術に秀れた人,那覇の塩会社,馬車,与那原の青年たち四、五人,杖,塩を杖で受けて馬車にどんどん積んだ,読谷山チャンミーグヮーという名高い武術者
梗概(こうがい) チャンミーグヮーという人は、見た目には、そんなにめだたないじいさんだった。武術に秀れた人のようには見えなかったが、その人は終戦直後まで元気だった人である。ある日、チャンミーグヮーは、那覇の塩会社に、馬車を持って、朝早く出かけたそうだ。その後に与那原の青年たち四、五人が馬車でやって来た。そこでは、チャンミーグヮーが先にいらしていたので、与那原の青年たちは中に入れなかった。「ほら、ウスメーグヮー、貴方も塩を積みに来たのなら、早く積んでくれないか。」と言った。「年寄りだし、ゆっくりゆっくりしか出来ないので、待っててくれないか青年たちよ。」とチャンミーグヮーは頼んだ。「では、そんなに急いでいるんだったら、私達が手伝って積んであげるから、積ませてくれ。」と、与那原の青年たちが言った。そして、すまんが積んでくれと頼まれ、積んであげた。「もう、これだけで結構だ。今度は君たちの馬車に積むがよい。」と言い、「どれ、私の馬車は片づけよう。」と、チャンミーグヮーは側に馬車をよけた。「よし、君たちの馬車を入れなさい。」と言った。その後で、「どれ、あそこにある薪の中に杖になるのがあるようだから、それを私に持ってきてくれ。」と頼んだ。「これで何をするのですか。」と聞くと、「私が使うんだ。」と答えた。そして、「さあ、君たちも積む準備をしなさい。私は馬車の上に立って待っているから、塩は私にどんどん投げてくれ、君たちは腕力はあるし、俵の一俵ぐらい平気で投げられるさ。」と、チャンミーグヮーは、青年たちを励ましたようだ。与那原の青年たちは、「実に、この人は珍らしいなあ。」と思いながら、塩を取って投げると、すばやく杖で受けて、馬車にどんどん積んでいった。青年たちは一人残らず、目をくるくるさせて驚いた。「どうだ、もっと積むか。」とチャンミーグヮーが言うと、「いや、それだけ積んで下さい。」「どうも有難う。私の馬車の荷も積んでもらったし、また、私も君たちの手伝いができた。本当に有難とう。」と言った。「ねえ青年たちよ、人はどんなに悪者でも、長者であっても、順番はその通りに守り、一人一人が助け合うってこともあることだし、人にはあまり無理を言わないほうがいいね。」と、チャンミーグヮーが悟した。また、ある人がこの近くを通りかかり、「君たちは、この人に何て言ったか。」と聞いた。そしてその人が「この人は読谷山チャンミーグヮーという方で、名高い武術者でいらっしゃる。幸い君たちは殺されなくて運がよかった。人は見かけで判断するのではなく、立派に話をするもんなんだよ。」と言った。それから、与那原の青年たち四、五人の馬車持ちたちは、一人一人が顔を見合わせ、「悪うございました。」と繰り返し詫びた。そして、一人一人の顔を見ながらお辞儀をした。すると今度はチャンミーが、「ねえ、青年たちよ、君たちはそんなに恐縮しているようだが、私も年が年だしこれまでに皆と同じような行動をして歩んできたが、武術者だからとて、人を殺したことはない。自分が武術者だからといって、手当たりしだいに青年たちを傷つけては罪になる。そんなことをしてはいけないんだ。人間は親しくよく話した上で、そのような短気はするものだよ。単に、自分が頑丈だからといって、私は他人に拳一つでも与えたことがない。もちろん、受けはずしはするけど。」と言われた。「本当に悪いことをしました。チャンさんという方は貴方でしたか。」と詫びたようだ。「チャンさんではなくて、チャンミーグヮーと呼ぶがよい。」そこで、青年たちは「ご無礼を申し上げました。」と、お辞儀したという話なんだよ。
全体の記録時間数 4:07
物語の時間数 4:07
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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