
昔、楚辺に、非常に美人の娘がいたそうだ。そこで、その娘の親の友達が「娘は是非、私達の嫁にしてね。」と内話はしてあったようだね。今度は、楚辺殿内にカマダーヒーという青年がいて、そこは金持ちでもあり、部落中の水はそこから汲んでいたそうだが、この美人をその青年の妻にさせなければ、水は汲ませないということになってしまった。それで殿内青年に頼んで、「是非、私の嫁になって欲しい。」と頼んだが、「私には婚約している人がいるので、向こうの嫁にはなれない。」と断わると、カマダーは「その男を殺してしまえば、殿内の嫁になってくれる筈だ。」」と考えたようだね。それで、楚辺の青年達を全員頼んで、その男を殺してしまった。愛する夫を失ってしまった女は、その後、自暴自棄になって、あっちこっちと遊び歩いているところに、犬が楚辺クラガーから水浴びして出て来るのを、この女が見つけた。「その辺から、犬が水浴びして来るようだから、そこには、水が出ているかも知れない。」と思い、穴に入って行くと大きな泉から水がどんどん湧き出ていた。このことが楚辺部落中に知れて、「ここに井戸があって水も沢山あるので、ここから水は汲みなさい。」と布告を出すと、楚辺部落は殆んど、このクラガーを生活用水にしたようだ。だが、しかし女は、楚辺で生活することができず、離島に流されてしまった。そして宮古まで逃げて、そこで生活したようだが、その時先夫との子供を妊娠していたので、そこで出産もしていた。それで楚辺に残った親達には「一週間を過ぎたら来てもいいが、その前には来ないで欲しい。」と伝えた。だけども、親というのは待ち遠しくて、一週間も経たないうちに行ってしまった。行ってみると、顔形は人間だが、尾があった。親があと一日待ってくれれば尾もとれて、人間になり変わっていた筈なのに尾もあるし。「親達が一日だけでも辛抱して待っていたら、(今頃は)真人間になっていたのに。」と残念がった。この子供が子孫を増やしていったが、宮古の人は犬の子だという伝え話があるというんだね。
| レコード番号 | 47O370293 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C013 |
| 決定題名 | 赤犬子と宮古(方言) |
| 話者がつけた題名 | 楚辺登殿内の由来記 |
| 話者名 | 長浜真忠 |
| 話者名かな | ながはましんちゅう |
| 生年月日 | 19040211 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村長浜 |
| 記録日 | 19761031 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第6班 |
| 元テープ番号 | 読谷村長浜T05A03 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | あのうですねむかし |
| 伝承事情 | 隣の話好きなお爺さん |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集3長浜の民話 P222 |
| キーワード | 楚辺,美人の娘,楚辺殿内,カマダーヒー,青年,金持ち,男を殺す,女自暴自棄,犬,楚辺クラガ,水浴び,大きな泉,離島に流される,宮古,出産,顔形は人間だが尾があった,宮古の人は犬の子 |
| 梗概(こうがい) | 昔、楚辺に、非常に美人の娘がいたそうだ。そこで、その娘の親の友達が「娘は是非、私達の嫁にしてね。」と内話はしてあったようだね。今度は、楚辺殿内にカマダーヒーという青年がいて、そこは金持ちでもあり、部落中の水はそこから汲んでいたそうだが、この美人をその青年の妻にさせなければ、水は汲ませないということになってしまった。それで殿内青年に頼んで、「是非、私の嫁になって欲しい。」と頼んだが、「私には婚約している人がいるので、向こうの嫁にはなれない。」と断わると、カマダーは「その男を殺してしまえば、殿内の嫁になってくれる筈だ。」」と考えたようだね。それで、楚辺の青年達を全員頼んで、その男を殺してしまった。愛する夫を失ってしまった女は、その後、自暴自棄になって、あっちこっちと遊び歩いているところに、犬が楚辺クラガーから水浴びして出て来るのを、この女が見つけた。「その辺から、犬が水浴びして来るようだから、そこには、水が出ているかも知れない。」と思い、穴に入って行くと大きな泉から水がどんどん湧き出ていた。このことが楚辺部落中に知れて、「ここに井戸があって水も沢山あるので、ここから水は汲みなさい。」と布告を出すと、楚辺部落は殆んど、このクラガーを生活用水にしたようだ。だが、しかし女は、楚辺で生活することができず、離島に流されてしまった。そして宮古まで逃げて、そこで生活したようだが、その時先夫との子供を妊娠していたので、そこで出産もしていた。それで楚辺に残った親達には「一週間を過ぎたら来てもいいが、その前には来ないで欲しい。」と伝えた。だけども、親というのは待ち遠しくて、一週間も経たないうちに行ってしまった。行ってみると、顔形は人間だが、尾があった。親があと一日待ってくれれば尾もとれて、人間になり変わっていた筈なのに尾もあるし。「親達が一日だけでも辛抱して待っていたら、(今頃は)真人間になっていたのに。」と残念がった。この子供が子孫を増やしていったが、宮古の人は犬の子だという伝え話があるというんだね。 |
| 全体の記録時間数 | 3:02 |
| 物語の時間数 | 3:02 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |