
親の代は、金持ちであった。京判(升)は、貧乏者に芋などの品物を売る時には、升の底を二つに重ね
て入れて、貧乏者から自分が品物を買う時には、升の底を一つ抜いて買っていた。そのようにして、自分は儲けていた。貧乏者から(買う時)底を抜いたら、たくさんはいるでしょう。それに、自分が売る時底を二重にしたら、少ししかはいらないでしょう。そんなふうにして、売っていたので、今度は秤の重りを見たらば、抜き出して見たら、貧乏者から買う時使う重りには、どこに二つ入れたか、入れられてあった。また、自分が売る時には、重りを抜いて同じ重さにしていた。(そのようにして金儲けをしたので)私達の親は、悪金持ちであったんだなあと思った。そこで、その人は、貧乏者に(自分の財産を)全部配り与えられた。それから、御主の交代の時期がきたので、今度の御主は誰にがんばってもらおうかということになった。(貧乏者達は)「食べ物を与えた方が、私にとっては御主だ。あの人が御主にふさわしい。」と言った。その貧乏者に食べ物を与えた人は、自分はもう(すべてを失って)亡くなってしまった。御主になっておられたが……。そして、ある洞窟に貧乏者達が、御主を葬った。(そこへ犬が来て、こぶしを握(にぎ)って葬られている御主を食べた。)それからその犬は、子をほしがっている人が(犬を食べると子宝が授かるというので)食べてしまった。(犬は手を握ったまま死んだ人を食っていたので、)そのあたりで、拳(こぶし)をした子が生まれた。心配しているところへ、「易はいらないか。」と易者が歩いていたので、「易者を呼び止めなさい、どんな願いでもかなうということがあるから、よんでごらん。」と言った。「どうしたんだ。」と聞くと、そうこうだと答えた。「この指をおこすことはなんでもない、すぐやってあげる。」と言った。「しかし、お前はそう言うのだが、できないということもあるので、賭をしよう。お前(易者)が負けたり、私が負ける場合もあるから、いくら賭ようか。」と言った。易者は、「そうか、私はやってあげると言っているのに……。じゃあ、あなた方はいくらの賭をするか。」と言った。そして、賭をすることになり、いくらか賭金を出した。ここの子を産んだ所は負けたそうだ。易者が「『陰徳益あり、陰徳益あり』と三回言ったら、指は開きます。」と言ったので、「陰徳益あり、陰徳益あり、ふっ。」と、そのとうりにやってみると、その子の拳(こぶし)は開いた。易者は「どうだ、どうだ。」と言い、賭は易者が勝って、その賭金を残さず持って帰った。
| レコード番号 | 47O370261 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C011 |
| 決定題名 | 悪金持(方言) |
| 話者がつけた題名 | アクイェーキ |
| 話者名 | 松田ウシ |
| 話者名かな | まつだうし |
| 生年月日 | 18870514 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村長浜 |
| 記録日 | 19761031 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第7班 |
| 元テープ番号 | 読谷村長浜T03B09 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集3長浜の民話 P66 |
| キーワード | 悪金持,貧乏者に財産を与え,御主,洞窟御主を葬った,犬が御主を食べた,犬を食べると子宝が授かる,易者,賭,陰徳益あり |
| 梗概(こうがい) | 親の代は、金持ちであった。京判(升)は、貧乏者に芋などの品物を売る時には、升の底を二つに重ね て入れて、貧乏者から自分が品物を買う時には、升の底を一つ抜いて買っていた。そのようにして、自分は儲けていた。貧乏者から(買う時)底を抜いたら、たくさんはいるでしょう。それに、自分が売る時底を二重にしたら、少ししかはいらないでしょう。そんなふうにして、売っていたので、今度は秤の重りを見たらば、抜き出して見たら、貧乏者から買う時使う重りには、どこに二つ入れたか、入れられてあった。また、自分が売る時には、重りを抜いて同じ重さにしていた。(そのようにして金儲けをしたので)私達の親は、悪金持ちであったんだなあと思った。そこで、その人は、貧乏者に(自分の財産を)全部配り与えられた。それから、御主の交代の時期がきたので、今度の御主は誰にがんばってもらおうかということになった。(貧乏者達は)「食べ物を与えた方が、私にとっては御主だ。あの人が御主にふさわしい。」と言った。その貧乏者に食べ物を与えた人は、自分はもう(すべてを失って)亡くなってしまった。御主になっておられたが……。そして、ある洞窟に貧乏者達が、御主を葬った。(そこへ犬が来て、こぶしを握(にぎ)って葬られている御主を食べた。)それからその犬は、子をほしがっている人が(犬を食べると子宝が授かるというので)食べてしまった。(犬は手を握ったまま死んだ人を食っていたので、)そのあたりで、拳(こぶし)をした子が生まれた。心配しているところへ、「易はいらないか。」と易者が歩いていたので、「易者を呼び止めなさい、どんな願いでもかなうということがあるから、よんでごらん。」と言った。「どうしたんだ。」と聞くと、そうこうだと答えた。「この指をおこすことはなんでもない、すぐやってあげる。」と言った。「しかし、お前はそう言うのだが、できないということもあるので、賭をしよう。お前(易者)が負けたり、私が負ける場合もあるから、いくら賭ようか。」と言った。易者は、「そうか、私はやってあげると言っているのに……。じゃあ、あなた方はいくらの賭をするか。」と言った。そして、賭をすることになり、いくらか賭金を出した。ここの子を産んだ所は負けたそうだ。易者が「『陰徳益あり、陰徳益あり』と三回言ったら、指は開きます。」と言ったので、「陰徳益あり、陰徳益あり、ふっ。」と、そのとうりにやってみると、その子の拳(こぶし)は開いた。易者は「どうだ、どうだ。」と言い、賭は易者が勝って、その賭金を残さず持って帰った。 |
| 全体の記録時間数 | 2:58 |
| 物語の時間数 | 2:58 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |