
昔、あるところに、戦に敗れた武士が行くあてもなくて、あの村この村さまよい歩いていたようだ。その人は空腹になって、「どうしようか」と思って山道をたよって歩いていると、その山の中で川を渡ろうとしたら、そこに山亀がいたようだ。この山亀を拾って持って、ある村に下りて行った。この村では泥棒に金を盗まれて、村中の人が揃ってこの泥棒は誰がやったんだろうと、吟味して騒いでいた。この武士はそこへ通りかかったので、「どうしてあなた方は、騒いでいますか。」と尋ねると、「実は、金をかくかくしかじかで盗まれて、村中で誰が盗んだか分らず、もうこういうふうに騒いでいるところなんだが。」と言うと、「そうか、そういうことだったら私には分る。」とこの武士は言った。「では、私の言う通りにして下さい」と。「それでは、皆な円になって座って下さい。そして、今度は皆うつむいて、私の言う通りにしなさい。その前に、ここに大きな餅一個を作って来て供えなければいけない」と。そうしたら、その武士は、この餅を手に持って、一枚の紙の上に大きな餅を乗せて、皆を円座でうつむかせて声をかけながら、誰が首を上げるかと待っていた。盗人は、「盗人の首は高く上る」というように、私の前に歩いては来ないかと思って、頭を上げた。そうしたら武士は、亀をその前に歩かせた。そこで「金はお前が盗んでいる」と言ったら、「私が盗みました」と、その問題は片付いた。それで、「盗人の首は高く上る」という諺は、それ以来できたという話を聞いているわけだよ。
| レコード番号 | 47O370253 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C011 |
| 決定題名 | 盗人ぬ首高上い(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 盗人首ぬ高は上い |
| 話者名 | 長浜真長 |
| 話者名かな | ながはましんちょう |
| 生年月日 | 19080422 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村長浜 |
| 記録日 | 19761031 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第1班 |
| 元テープ番号 | 読谷村長浜T03A04 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | あのうむかしあるところにですね |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 侍,空腹,山亀,泥棒,大きな餅一個,盗人の首は高く上る |
| 梗概(こうがい) | 昔、あるところに、戦に敗れた武士が行くあてもなくて、あの村この村さまよい歩いていたようだ。その人は空腹になって、「どうしようか」と思って山道をたよって歩いていると、その山の中で川を渡ろうとしたら、そこに山亀がいたようだ。この山亀を拾って持って、ある村に下りて行った。この村では泥棒に金を盗まれて、村中の人が揃ってこの泥棒は誰がやったんだろうと、吟味して騒いでいた。この武士はそこへ通りかかったので、「どうしてあなた方は、騒いでいますか。」と尋ねると、「実は、金をかくかくしかじかで盗まれて、村中で誰が盗んだか分らず、もうこういうふうに騒いでいるところなんだが。」と言うと、「そうか、そういうことだったら私には分る。」とこの武士は言った。「では、私の言う通りにして下さい」と。「それでは、皆な円になって座って下さい。そして、今度は皆うつむいて、私の言う通りにしなさい。その前に、ここに大きな餅一個を作って来て供えなければいけない」と。そうしたら、その武士は、この餅を手に持って、一枚の紙の上に大きな餅を乗せて、皆を円座でうつむかせて声をかけながら、誰が首を上げるかと待っていた。盗人は、「盗人の首は高く上る」というように、私の前に歩いては来ないかと思って、頭を上げた。そうしたら武士は、亀をその前に歩かせた。そこで「金はお前が盗んでいる」と言ったら、「私が盗みました」と、その問題は片付いた。それで、「盗人の首は高く上る」という諺は、それ以来できたという話を聞いているわけだよ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:46 |
| 物語の時間数 | 4:46 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |