モーイ親方と殿様の難題(方言)

概要

ほら、あそこからその大和から、「灰で綱を綯(な)ってきなさい。」と言うことと、またそれから「雄鶏の卵を持ってきなさい。」またそれから、「七曲り曲っている物に、糸を通してきなさい。山を持ってきなさい。」と、内地から琉球の方に命令がきたので、もう、親も、そういうことは出来ないでしょう。それで、とても心配して、どうすれば良いのだろう。もしそれが分らなければ、首になるが、どうすれば良いだろうかと迷っていると、モーイ親方が、「どうしたのお父さん、あなたはそんなにだまりこんでいるのですか。」と言うと、「だってお前、大和から、こんなに沢山の問題が来ているのに、これどうやって灰で綱が綯(な)えるか。また、雄鶏の卵というが、どこに雄鶏が卵を産む鶏がいるだろうか。」と言った。それからまた、「七曲り曲っている物に、糸を通してこいといえば、どうして通されるものか。山を持ってこいといえば、山だってどうして持って行けるものか。」とおっしゃったので、「それくらいのことも出来ないのですか。私が行きます。」と。「馬鹿な奴だなお前はー。お前が大和に行くか。それじゃお前も私も、馬鹿な人間になるんだなあ。」と言った。「私が行って立派に解決してきます。」と言うと、「それなら頑張ってくれわが子よ。」と…。 大和に行かせると、「どうしてお前が来たのか。」と聞かれて、「そうですね。私の父は、産気づいておりましたので…と云うと、「男が子供を産むのか。」と言われた。「そうだったら、雄鶏が卵を産みますか。」と言うと、もう、相手は負けてしまったのである。そうすると、「それでは君、灰で綱を綯え。」と言うとね、「それも持って来た。」と、綱をからませて焼き燃やしたものを持って行くと、それも相手は負けてしまった。負けたので、また、こうして七曲り曲っている物に糸を通してこいと言われていたのも、蟻の足を取り入れ、入口に砂糖を置いといて、曲った物から行かせると、砂糖の匂いに蟻はつられて、糸を引っぱって行ったのである。これも(相手が)負けた。「それでは山は?」と言うとね、「それだけ積める船がありませんので、船を出して下さい。積んで上げますから。」と言うと、だって、山を積める船なんて無いでしょうどこだって。 もう、負けたので、「お前というものは?こいつを生かしておくと、大和はもう、何になるか分らいから。」と、「褒美だ、ここの上座に上れ。」と言ってこの、そこのちょうど王様が座っている所に座らされて、そのモーイ親方を座らせて、ほら、こうして殺すつもりでー。 「どうして、貴殿は、私をここに座らせて、何かをなさろうとしているようだが、どうして、私達はね、貴殿たちがおっしゃっただけは全部なしとげたのに、打ち首の罪になるのか。それは出来ない。」と。「そんなことでは道理に反することだ。」と、そう言うとね。「まいった、この人の頭の良さには負けてしまった。」と感心されて、このモーイ親方は、褒美をもらって来たそうだよ。そういうことでモーイ親方は、あんまり頭がきれすぎているので、あのように気違いの真似をして歩いていたようだって、叔母は言っていたが。それもあの人たちが、話を聞いているだけで、それが、本当なのか嘘なのかは、私も分らない。私たちは、見たこともないから…。

再生時間:3:52

民話詳細DATA

レコード番号 47O370153
CD番号 47O37C007
決定題名 モーイ親方と殿様の難題(方言)
話者がつけた題名 モーイ親方
話者名 松田ミヨ
話者名かな まつだみよ
生年月日 19080202
性別
出身地 沖縄県読谷村喜名
記録日 19770619
記録者の所属組織 読谷村民話調査団第3班
元テープ番号 読谷村喜名T08B06
元テープ管理者 読谷村立歴史民俗資料館
分類 13
発句(ほっく)
伝承事情 叔母の比嘉ウシ
文字化資料 読谷村民話資料集2喜名の民話 P113
キーワード 灰縄,雄鶏の卵,七曲がりの玉,山,モーイ親方,
梗概(こうがい) ほら、あそこからその大和から、「灰で綱を綯(な)ってきなさい。」と言うことと、またそれから「雄鶏の卵を持ってきなさい。」またそれから、「七曲り曲っている物に、糸を通してきなさい。山を持ってきなさい。」と、内地から琉球の方に命令がきたので、もう、親も、そういうことは出来ないでしょう。それで、とても心配して、どうすれば良いのだろう。もしそれが分らなければ、首になるが、どうすれば良いだろうかと迷っていると、モーイ親方が、「どうしたのお父さん、あなたはそんなにだまりこんでいるのですか。」と言うと、「だってお前、大和から、こんなに沢山の問題が来ているのに、これどうやって灰で綱が綯(な)えるか。また、雄鶏の卵というが、どこに雄鶏が卵を産む鶏がいるだろうか。」と言った。それからまた、「七曲り曲っている物に、糸を通してこいといえば、どうして通されるものか。山を持ってこいといえば、山だってどうして持って行けるものか。」とおっしゃったので、「それくらいのことも出来ないのですか。私が行きます。」と。「馬鹿な奴だなお前はー。お前が大和に行くか。それじゃお前も私も、馬鹿な人間になるんだなあ。」と言った。「私が行って立派に解決してきます。」と言うと、「それなら頑張ってくれわが子よ。」と…。 大和に行かせると、「どうしてお前が来たのか。」と聞かれて、「そうですね。私の父は、産気づいておりましたので…と云うと、「男が子供を産むのか。」と言われた。「そうだったら、雄鶏が卵を産みますか。」と言うと、もう、相手は負けてしまったのである。そうすると、「それでは君、灰で綱を綯え。」と言うとね、「それも持って来た。」と、綱をからませて焼き燃やしたものを持って行くと、それも相手は負けてしまった。負けたので、また、こうして七曲り曲っている物に糸を通してこいと言われていたのも、蟻の足を取り入れ、入口に砂糖を置いといて、曲った物から行かせると、砂糖の匂いに蟻はつられて、糸を引っぱって行ったのである。これも(相手が)負けた。「それでは山は?」と言うとね、「それだけ積める船がありませんので、船を出して下さい。積んで上げますから。」と言うと、だって、山を積める船なんて無いでしょうどこだって。 もう、負けたので、「お前というものは?こいつを生かしておくと、大和はもう、何になるか分らいから。」と、「褒美だ、ここの上座に上れ。」と言ってこの、そこのちょうど王様が座っている所に座らされて、そのモーイ親方を座らせて、ほら、こうして殺すつもりでー。 「どうして、貴殿は、私をここに座らせて、何かをなさろうとしているようだが、どうして、私達はね、貴殿たちがおっしゃっただけは全部なしとげたのに、打ち首の罪になるのか。それは出来ない。」と。「そんなことでは道理に反することだ。」と、そう言うとね。「まいった、この人の頭の良さには負けてしまった。」と感心されて、このモーイ親方は、褒美をもらって来たそうだよ。そういうことでモーイ親方は、あんまり頭がきれすぎているので、あのように気違いの真似をして歩いていたようだって、叔母は言っていたが。それもあの人たちが、話を聞いているだけで、それが、本当なのか嘘なのかは、私も分らない。私たちは、見たこともないから…。
全体の記録時間数 3:52
物語の時間数 3:52
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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