
チョーフグン親方という人は若い時には、腕力だけをたよりにしていた。彼も百姓の子だったそうだ。それから、この人は金武の生まれだったという事だが、山に行っても、腕力だけで仕事をした。他の人は、道具を使って薪を取って来るが、このチョーフグン親方は、木の枝をかき折って投げ棄て、すぐ根っこから引き抜いて、それを家に担いで来たという話さ。そこで、この人を産んだ女の親には、夫はいなかったそうだ。それで、これはどうにかしてこの子を堕胎しなければと……。〈シルカニとはどういうものだったのだろうか〉、鉄を煎じて飲んだりすると、その子は流産できると思ったのに、この子は、全身が鉄になってね。チョーフグン親方は。それで、もう産婆さんを連れてきた。「どんなにしても、これは、子どもは大丈夫だが、親はよくないね。どうしようか。」と言うと、「もう、どうなろうと、だってこれは、親と子は別々にしなければ」と言った。もう、女の親は、これが肉体ではなく、鉄でできているので、産むことができずにね。ところで、この人は、身体から何まで全部、鉄なので、成長してから、刀で切っても切れなかったそうだ。のど口が少し開いていたようだ。それから、薩摩と戦争が起こる頃からは、この人は、亡くなっていたそうだがね。この人を殺した人はいないが、薩摩から、これは、どうにかして殺して退治しなければ、そして、この人がいる間は、沖縄は、自分達では滅ぼすことは出来ないという事になってね、それから、この人の家来で、その昔は、このヒゲの中剃りなどは、奥さんにさせたり、また、大変お気に入りの家来に、このヒゲの中剃りは、昔は、させたそうだ。すると、この家来にチョーフグン親方という人は、全身が鉄なので、どこも開き間がないと思ったが、「喉口が少し開いています。」と。「それでは、君がその人を殺して来るなら、どれだけ賄賂を上げるが、殺してきてくれないか。」と言った。自分の国が滅びることも知らず、銭に目がくらんで、ヒゲの中剃りをしながら、カミソリを刺し込まれて、この世を去ったということだ。そういうことで、この人は家来に殺された。今度は、薩摩が、それは今から三百年前だろうか、だが、この人は鉄なので、後生でも朽ちなかったそうだ。それが、内臓は全部朽ちて、手や足だけが、銅像のように突っ立っていた。それで、首里城の側にこの人は門番をして、杖をついて、今もチョーフグン親方は生きておられるので、どうすることも出来ないと言った。そういうことで、生きていて千人殺して、死んだ後にも千人殺したという昔物語なんだよ。このチョーフグン親方はね。
| レコード番号 | 47O370149 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C007 |
| 決定題名 | チョーフグン親方(方言) |
| 話者がつけた題名 | チョーフグン親方 |
| 話者名 | 松田栄清 |
| 話者名かな | まつだえいせい |
| 生年月日 | 18950220 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村喜名 |
| 記録日 | 19770619 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第4班 |
| 元テープ番号 | 読谷村喜名T08B02 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 年寄りの集まりで聞く |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集2喜名の民話 P192 |
| キーワード | チョーフグン親方,金武の生まれ,全部身体は鉄,薩摩と戦争,髭剃り,喉口,首里城,門番, |
| 梗概(こうがい) | チョーフグン親方という人は若い時には、腕力だけをたよりにしていた。彼も百姓の子だったそうだ。それから、この人は金武の生まれだったという事だが、山に行っても、腕力だけで仕事をした。他の人は、道具を使って薪を取って来るが、このチョーフグン親方は、木の枝をかき折って投げ棄て、すぐ根っこから引き抜いて、それを家に担いで来たという話さ。そこで、この人を産んだ女の親には、夫はいなかったそうだ。それで、これはどうにかしてこの子を堕胎しなければと……。〈シルカニとはどういうものだったのだろうか〉、鉄を煎じて飲んだりすると、その子は流産できると思ったのに、この子は、全身が鉄になってね。チョーフグン親方は。それで、もう産婆さんを連れてきた。「どんなにしても、これは、子どもは大丈夫だが、親はよくないね。どうしようか。」と言うと、「もう、どうなろうと、だってこれは、親と子は別々にしなければ」と言った。もう、女の親は、これが肉体ではなく、鉄でできているので、産むことができずにね。ところで、この人は、身体から何まで全部、鉄なので、成長してから、刀で切っても切れなかったそうだ。のど口が少し開いていたようだ。それから、薩摩と戦争が起こる頃からは、この人は、亡くなっていたそうだがね。この人を殺した人はいないが、薩摩から、これは、どうにかして殺して退治しなければ、そして、この人がいる間は、沖縄は、自分達では滅ぼすことは出来ないという事になってね、それから、この人の家来で、その昔は、このヒゲの中剃りなどは、奥さんにさせたり、また、大変お気に入りの家来に、このヒゲの中剃りは、昔は、させたそうだ。すると、この家来にチョーフグン親方という人は、全身が鉄なので、どこも開き間がないと思ったが、「喉口が少し開いています。」と。「それでは、君がその人を殺して来るなら、どれだけ賄賂を上げるが、殺してきてくれないか。」と言った。自分の国が滅びることも知らず、銭に目がくらんで、ヒゲの中剃りをしながら、カミソリを刺し込まれて、この世を去ったということだ。そういうことで、この人は家来に殺された。今度は、薩摩が、それは今から三百年前だろうか、だが、この人は鉄なので、後生でも朽ちなかったそうだ。それが、内臓は全部朽ちて、手や足だけが、銅像のように突っ立っていた。それで、首里城の側にこの人は門番をして、杖をついて、今もチョーフグン親方は生きておられるので、どうすることも出来ないと言った。そういうことで、生きていて千人殺して、死んだ後にも千人殺したという昔物語なんだよ。このチョーフグン親方はね。 |
| 全体の記録時間数 | 5:06 |
| 物語の時間数 | 5:06 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |