
普天間の人だったんでしょうね、とても美しい女がいたそうだ。評判の高い美女だったが、いつもクチャ(裏座)に閉じ込もって芭蕉布を、績んでいたそうだ。美女には妹がいたそうだ。それである侍で、大変きれいな男の人がいたんでしょうね、この人が、いつもこの美女を見に来るけど、美女は裏座に閉じ込もって芭蕉の繊維を績んでいるので見ることが出来ない。それで、この美女の妹に親しく近づき、「あなたの姉さんをひと目でも見せてくれるなら、私がお菓子を呉れるから。」と言うと、「じゃあ、どうして姉を見せれば良いのか」と言った。すると考えを出して、「あなたが池に〈昔はどこにでもあったでしょう〉落ちる真似をして落ち真似をした後で、姉さーん、私は池に落ちてしまったよー、と呼べば、飛び出して来るから、そうすれば、私達の姉さんは出て来るから、その時は、『見た、見た』と言わないで下さい。叫ばないで下さい。」と言ってあるのに、とっさのことでしょう、池に落ち真似をして、「姉さーん、池に落ちてしまったよー」と言ったので、姉さんは咄嗟に飛び出して来た。すると、男は、「見た、見た」と手を打って喜んだ。男が手を打ったので「私は人に見られてしまっては、見つかっては、生きる甲斐がない。」と、自分の績(う)んだウー(芭蕉糸)を持って、普天間権現の洞窟に入って行ったそうだ。それで、この姉妹には親たちがいないので、このウーを辿って行ったそうだ。ウーを辿って行くと、もうこんなに小さな穴になっていて、途中まではいったがその先は暗くて分らず、姉は行方不明になってしまった。今度は、内地(本土)から、たぶん偉い人が沖縄にやって来たんでしょうね。この普天間の洞窟の近くに、太刀を忘れたそうだ。(偉い人が)太刀を忘れたが、取りに戻らずにそのまま帰ってしまった。すると、(穴に入って行った)この美女が太刀を見守っていたそうだ。この内地に帰った人は、「普天間権現に霊験があるならば、どうか太刀をそのまま見守っていて下さい。」と祈った。そしてその後、再び来てみると、この太刀は置いてあったようにそのまま同じ場所にあったそうだよ。それで、普天間権現は霊験あらたかだということで皆なが拝むようになったそうだよ向うは。あの美人が入って行った穴だそうだけどね。今はあちこちに洞窟はたくさんあるのに、あの普天間権現は霊験があるというので、子どもたちも普天間権現は守り神として拝んでいるそうだよ。普天間権現というところはね。
| レコード番号 | 47O370114 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C005 |
| 決定題名 | 普天間権現(方言) |
| 話者がつけた題名 | 普天間権現 |
| 話者名 | 松田ミヨ |
| 話者名かな | まつだみよ |
| 生年月日 | 19080202 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村喜名 |
| 記録日 | 19761017 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第8班 |
| 元テープ番号 | 読谷村喜名T06A12 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 叔母(比嘉ウシ)家で57,8歳の頃 |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集2喜名の民話 P134 |
| キーワード | 普天間権現,美人,芭蕉,刀 |
| 梗概(こうがい) | 普天間の人だったんでしょうね、とても美しい女がいたそうだ。評判の高い美女だったが、いつもクチャ(裏座)に閉じ込もって芭蕉布を、績んでいたそうだ。美女には妹がいたそうだ。それである侍で、大変きれいな男の人がいたんでしょうね、この人が、いつもこの美女を見に来るけど、美女は裏座に閉じ込もって芭蕉の繊維を績んでいるので見ることが出来ない。それで、この美女の妹に親しく近づき、「あなたの姉さんをひと目でも見せてくれるなら、私がお菓子を呉れるから。」と言うと、「じゃあ、どうして姉を見せれば良いのか」と言った。すると考えを出して、「あなたが池に〈昔はどこにでもあったでしょう〉落ちる真似をして落ち真似をした後で、姉さーん、私は池に落ちてしまったよー、と呼べば、飛び出して来るから、そうすれば、私達の姉さんは出て来るから、その時は、『見た、見た』と言わないで下さい。叫ばないで下さい。」と言ってあるのに、とっさのことでしょう、池に落ち真似をして、「姉さーん、池に落ちてしまったよー」と言ったので、姉さんは咄嗟に飛び出して来た。すると、男は、「見た、見た」と手を打って喜んだ。男が手を打ったので「私は人に見られてしまっては、見つかっては、生きる甲斐がない。」と、自分の績(う)んだウー(芭蕉糸)を持って、普天間権現の洞窟に入って行ったそうだ。それで、この姉妹には親たちがいないので、このウーを辿って行ったそうだ。ウーを辿って行くと、もうこんなに小さな穴になっていて、途中まではいったがその先は暗くて分らず、姉は行方不明になってしまった。今度は、内地(本土)から、たぶん偉い人が沖縄にやって来たんでしょうね。この普天間の洞窟の近くに、太刀を忘れたそうだ。(偉い人が)太刀を忘れたが、取りに戻らずにそのまま帰ってしまった。すると、(穴に入って行った)この美女が太刀を見守っていたそうだ。この内地に帰った人は、「普天間権現に霊験があるならば、どうか太刀をそのまま見守っていて下さい。」と祈った。そしてその後、再び来てみると、この太刀は置いてあったようにそのまま同じ場所にあったそうだよ。それで、普天間権現は霊験あらたかだということで皆なが拝むようになったそうだよ向うは。あの美人が入って行った穴だそうだけどね。今はあちこちに洞窟はたくさんあるのに、あの普天間権現は霊験があるというので、子どもたちも普天間権現は守り神として拝んでいるそうだよ。普天間権現というところはね。 |
| 全体の記録時間数 | 2:31 |
| 物語の時間数 | 2:31 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |