
漢文の易者がいらっしゃった。その人は久米村(那覇)の人だった。その久米村の人は支那人だとのこと。その人が「本当に唐船の航海は簡単ではない。唐船がここから行くと来年しか帰らないから。」と言った。五月の夏至のころ吹く南風に乗ってここから出て、また来年の同じ頃に沖縄に戻って来ていた。ところが戻ってくるはずの唐船が戻ってこなかったそうです。中国で帰国を延期させられ学問をさせられた。そのために連絡が出来ず二ケ年の役目が延期になり四年目に帰って来た。それで、待ちに待っても行った若者たちは帰ってこなかった。そこで妻たちは「ああ、もう帰らないんだなあ。そうだったら再婚した方がいい。」と思った。幾人かが再婚した。だが久米村の近くの人が非常に頑張り抜いて、「いや、私には子どももいることだし、死ぬまでここにいる。」と頑張り通した。〈昔は、豚小屋の前に洗った女の袴(はかま)、下裳(かかん)をずらっとさげていたでしょう。昔はね。〉そして、四年目にして唐船が入ったという知らせがあった時、頑張り抜いた女は掃除をしているところだった。「唐船が入ったよー。」と隣り近所の人々が呼びかけるとその女は、「えっ!」と言ったかと思うと持っていた箒を肩にかついで迎えに出た。あまりにも急いだので、その瞬間に袴が箒にまつわってしまった。隣りの人が、「ちょっと待って、あなたの箒に袴が。」と、注意してもその女は聞くどころではなかった。そして、そのまま港で迎えたそうだ。だから、夫も妻が狂っていると思った。あまりにも夢中だったので他には何も見えなかったのでしょう。だって他の人は再婚してしまっていたから。四年もの長い間、夫を待ちわびていたのだから。兵隊だったら待つことも出来る。今年行けば来年は必ず帰る。という規定があったから、周囲の人が、「あなたの袴が。」と言ったところで絶対に聞き入れず、夫と抱き合っていたそうだ。こんなことがあってから唐船ドーエーの歌がはやり出したそうだ。これは本当のことだと久米村(くにんだ)の人が話していた。
| レコード番号 | 47O370024 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C001 |
| 決定題名 | 唐船ドーイ(方言混) |
| 話者がつけた題名 | 唐船ドーイ |
| 話者名 | 比嘉正貞 |
| 話者名かな | ひがせいてい |
| 生年月日 | 19000925 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村喜名 |
| 記録日 | 19761017 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第一班 |
| 元テープ番号 | 読谷村喜名T01B07 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 易者から聞いた |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集2喜名の民話 P122 |
| キーワード | 易者,唐船ドーイ |
| 梗概(こうがい) | 漢文の易者がいらっしゃった。その人は久米村(那覇)の人だった。その久米村の人は支那人だとのこと。その人が「本当に唐船の航海は簡単ではない。唐船がここから行くと来年しか帰らないから。」と言った。五月の夏至のころ吹く南風に乗ってここから出て、また来年の同じ頃に沖縄に戻って来ていた。ところが戻ってくるはずの唐船が戻ってこなかったそうです。中国で帰国を延期させられ学問をさせられた。そのために連絡が出来ず二ケ年の役目が延期になり四年目に帰って来た。それで、待ちに待っても行った若者たちは帰ってこなかった。そこで妻たちは「ああ、もう帰らないんだなあ。そうだったら再婚した方がいい。」と思った。幾人かが再婚した。だが久米村の近くの人が非常に頑張り抜いて、「いや、私には子どももいることだし、死ぬまでここにいる。」と頑張り通した。〈昔は、豚小屋の前に洗った女の袴(はかま)、下裳(かかん)をずらっとさげていたでしょう。昔はね。〉そして、四年目にして唐船が入ったという知らせがあった時、頑張り抜いた女は掃除をしているところだった。「唐船が入ったよー。」と隣り近所の人々が呼びかけるとその女は、「えっ!」と言ったかと思うと持っていた箒を肩にかついで迎えに出た。あまりにも急いだので、その瞬間に袴が箒にまつわってしまった。隣りの人が、「ちょっと待って、あなたの箒に袴が。」と、注意してもその女は聞くどころではなかった。そして、そのまま港で迎えたそうだ。だから、夫も妻が狂っていると思った。あまりにも夢中だったので他には何も見えなかったのでしょう。だって他の人は再婚してしまっていたから。四年もの長い間、夫を待ちわびていたのだから。兵隊だったら待つことも出来る。今年行けば来年は必ず帰る。という規定があったから、周囲の人が、「あなたの袴が。」と言ったところで絶対に聞き入れず、夫と抱き合っていたそうだ。こんなことがあってから唐船ドーエーの歌がはやり出したそうだ。これは本当のことだと久米村(くにんだ)の人が話していた。 |
| 全体の記録時間数 | 4:11 |
| 物語の時間数 | 4:11 |
| 言語識別 | 混在 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |