セーマのしかえし(シマグチ)

概要

国頭間切(くんじゃんまじり)の伊地(いじ)という村に、大きなジーフガーガジマルが庭にはえている家があって、その木の中に セーマが住んでいたそうだ。そこの家の主人はそのセーマと気があって、友だちになり、いい時分になるといつも海につれていかれて、行くたびにたくさんの魚を持って来て、食べてもあまるのであっちこっち売って、それでこの家はとってもゆたかになって銭金もたくさんもうかったそうだ。この家の主人は家を造りたいと思って、山に登り、人に隠れて木を倒してね。この仕事もセーマといっしょにやったんだって。木を倒す仕事をする時に、セーマはかならずその男に「後で。」と言ったって。こいつはどんなふうするのかと思って木を倒す仕事をしながら見ていると斧が、するっとすべってしまってセーマのとこに飛んでいきセーマは斧の刃をとっつかまえて、「危ないぞ兄さん。」といってまたよこしたそうだ。そして木をかついで帰る時、普通なら二人でかつぐ木だけど、その人だけでかついで歩いているのを他人が見て、「おかしいもんだな。かつぎ方がふつうとかわっている。一人でかつぐならまん中をかつぐはずなのに瑞のほうをかついで歩いているからね。これは不思議なものだな。」と評判になっていたって。そんなことをしているうちに家もふき終えて、なんの心配もなくなったからね。「もういつまでもこいつに毎日毎日起こされて連れていかれたのでは私の体が持たなくなってしまうので、どうにかして、これは手を切らんといかんな。」と考えている時に思いだしたことは、「こいつの恐い物は蛸だったな。」と考えてね、そして蛸取りのところに行って蛸を買って来て、戸口という戸口は全部、これの入りそうな所に下げておいたんだそうだ。その日の夜になると、セーマが、「もういい時分だよ兄さん。」と誘いに来たが蛸がさげられているので家の中に入れなくてね。「この下げられたものをとってくれ兄さん。」と言ったが主人は寝たふり、聞かんふりをしていた。するとまた、「恐くて入れないぞ兄さん、この下がっているものをとってくれ。」と言ったがその主人は聞かんふりをしたので、このセーマは、「もうここでは暮らせない。それなら私は久志間切で住むことにしよう。」と言ったって。その主人はそれを聞いていたそうだ。このせーマはその時からまったく姿も見せないので安心した主人は、「ああ、助かった。」と喜んで働いていたそうだ。そこで銭もあまるほどあるので今度は舟を造り、那覇や泊で薪の商売を始めようと思い舟を造ったそうだ。その舟ができ上がって、薪を積んで那覇に向かって行く時にフーヌサチという、鏡地(かがんぢ)の下にあるフーヌサチという所でひっかかって、舟は前の方から海に突っ込んで海にどんどん沈んでいってしまったそうだ。そして命からがら家に帰って来たが、そのあとその家は衰えてしまったということです。二、三年あと、そのあたりにセーマが住んでいるという話があったそうだ。実はあのセーマが久志間切(くしまじり)と言ったのは久志間切ではなく、家の後(くし)に住んでいてその夫婦の話を聞いていて、しかえしをしたと
いう話だよ。


再生時間:5:21

民話詳細DATA

レコード番号 47O376437
CD番号 47O37C259
決定題名 セーマのしかえし(シマグチ)
話者がつけた題名 キジムナー
話者名 仲田豊三
話者名かな なかたとよぞう
生年月日 19040528
性別
出身地 沖縄県恩納村名嘉真
記録日 19760530
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 恩納村T40B02
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 『恩納村の民話・昔話編』P27
キーワード ,国頭間切,伊地,大きなジーフガーガジマル,セーマ,友だち,海,木を倒す仕事,手を切らんといかん,恐い物は蛸,久志間切,舟,那覇や泊,薪の商売,フーヌサチ,鏡地の下,
梗概(こうがい) 国頭間切(くんじゃんまじり)の伊地(いじ)という村に、大きなジーフガーガジマルが庭にはえている家があって、その木の中に セーマが住んでいたそうだ。そこの家の主人はそのセーマと気があって、友だちになり、いい時分になるといつも海につれていかれて、行くたびにたくさんの魚を持って来て、食べてもあまるのであっちこっち売って、それでこの家はとってもゆたかになって銭金もたくさんもうかったそうだ。この家の主人は家を造りたいと思って、山に登り、人に隠れて木を倒してね。この仕事もセーマといっしょにやったんだって。木を倒す仕事をする時に、セーマはかならずその男に「後で。」と言ったって。こいつはどんなふうするのかと思って木を倒す仕事をしながら見ていると斧が、するっとすべってしまってセーマのとこに飛んでいきセーマは斧の刃をとっつかまえて、「危ないぞ兄さん。」といってまたよこしたそうだ。そして木をかついで帰る時、普通なら二人でかつぐ木だけど、その人だけでかついで歩いているのを他人が見て、「おかしいもんだな。かつぎ方がふつうとかわっている。一人でかつぐならまん中をかつぐはずなのに瑞のほうをかついで歩いているからね。これは不思議なものだな。」と評判になっていたって。そんなことをしているうちに家もふき終えて、なんの心配もなくなったからね。「もういつまでもこいつに毎日毎日起こされて連れていかれたのでは私の体が持たなくなってしまうので、どうにかして、これは手を切らんといかんな。」と考えている時に思いだしたことは、「こいつの恐い物は蛸だったな。」と考えてね、そして蛸取りのところに行って蛸を買って来て、戸口という戸口は全部、これの入りそうな所に下げておいたんだそうだ。その日の夜になると、セーマが、「もういい時分だよ兄さん。」と誘いに来たが蛸がさげられているので家の中に入れなくてね。「この下げられたものをとってくれ兄さん。」と言ったが主人は寝たふり、聞かんふりをしていた。するとまた、「恐くて入れないぞ兄さん、この下がっているものをとってくれ。」と言ったがその主人は聞かんふりをしたので、このセーマは、「もうここでは暮らせない。それなら私は久志間切で住むことにしよう。」と言ったって。その主人はそれを聞いていたそうだ。このせーマはその時からまったく姿も見せないので安心した主人は、「ああ、助かった。」と喜んで働いていたそうだ。そこで銭もあまるほどあるので今度は舟を造り、那覇や泊で薪の商売を始めようと思い舟を造ったそうだ。その舟ができ上がって、薪を積んで那覇に向かって行く時にフーヌサチという、鏡地(かがんぢ)の下にあるフーヌサチという所でひっかかって、舟は前の方から海に突っ込んで海にどんどん沈んでいってしまったそうだ。そして命からがら家に帰って来たが、そのあとその家は衰えてしまったということです。二、三年あと、そのあたりにセーマが住んでいるという話があったそうだ。実はあのセーマが久志間切(くしまじり)と言ったのは久志間切ではなく、家の後(くし)に住んでいてその夫婦の話を聞いていて、しかえしをしたと いう話だよ。
全体の記録時間数 5:21
物語の時間数 5:21
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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