
昔、侍がお通りになる時に、百姓が田んぼ、田を耕していたそうだが、侍がいらっしゃっても、その仕事を止めて、頭を下げないと言って、その罰として、「私が首里に行って来る間、幾鍬で、その田を、幾鍬打ったかを勘定しておきなさい。」と言われたので、百姓はいよいよ、その田を耕す鍬の数を数えようとしたが、いくつだったのか、その勘定を忘れてしまった。百姓の長男は九つになるが、九つになる子供がお弁当を持って来たが、お父さんは、親はもう心配して、「打ち首になってしまう。侍が帰っていらっしゃると、私は今日までの命なんだよ。」と、その九つになる長男がせっかく持って来た弁当も心配で食べられなかった。食べないでいたら、「どうして、そんなにお父さんは心配して、せっかく弁当を持って来たのに、召し上がらないのですか。」と言ったら、「もう侍が帰って来たら、私は今日までの命だから、打ち首の罰だからね。もうその鍬の数は、幾鍬打ったかということを、すっかり忘れてしまったから。」昔は、お父さんと言わないで、「すう。」と言っていたそうですよ。「すう、そのくらいのことで心配なさらないでください。」と言ったら、「お前のような子どもが、それで、どうやってお前は侍に言葉を返すのか。」と言ったので、「大丈夫です。私が返事をするから心配しないで、昼ご飯を召し上がってください、お父さん。」と言った。それでも、お父さんはもう心配で、死ぬ覚悟をしていらっしゃったそうだが、首里から、いよいよ午後になって、侍が帰って、帰っていらっしゃって、「百姓、幾鍬打ったか。」こう侍が言うと、侍はもう親子の話をわからないので、この九つになる子どもが、「侍さんは、それであなたの馬は、何歩で首里まで行っていらっしゃたのですか。」とたずねると、侍は返事に大変困っていた。それで今度は、侍が、「赤いお菓子と白いお菓子を、一口に口に入れて食べなさい。」とおっしゃったので、食べたようだが、侍が、「白いお菓子と赤いお菓子とではどっちがおいしかったか。」と言ったら、これをまた食べながら、子どもは、両方の手をばちばち打った。子供が、「私の手は、右と左とでは、どっちが鳴りましたか。」と言ったので、この侍も返事に困って、「こいつを生かしておくと、侍に敵がい心、恨みをもつ恐れがあるから。」と言って、九つの子を、ほら昔は、もう侍の勝手だから、「百姓は殺しても青菜や千草と同じようなものだ。」と言って、殺したようでございます。
| レコード番号 | 47O376401 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C258 |
| 決定題名 | 鍬の数(共通語混) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 比嘉姓栄 |
| 話者名かな | ひがせいえい |
| 生年月日 | 19050914 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県恩納村山田 |
| 記録日 | 19760516 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T39B28 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 主にお年寄りや父から聞いた。 |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話・昔話編』P211 |
| キーワード | 侍,百姓,田,頭を下げない,罰,幾鍬,勘定を忘れた,子供がお弁当,打ち首,馬,何歩,赤いお菓子,白いお菓子,両方の手 |
| 梗概(こうがい) | 昔、侍がお通りになる時に、百姓が田んぼ、田を耕していたそうだが、侍がいらっしゃっても、その仕事を止めて、頭を下げないと言って、その罰として、「私が首里に行って来る間、幾鍬で、その田を、幾鍬打ったかを勘定しておきなさい。」と言われたので、百姓はいよいよ、その田を耕す鍬の数を数えようとしたが、いくつだったのか、その勘定を忘れてしまった。百姓の長男は九つになるが、九つになる子供がお弁当を持って来たが、お父さんは、親はもう心配して、「打ち首になってしまう。侍が帰っていらっしゃると、私は今日までの命なんだよ。」と、その九つになる長男がせっかく持って来た弁当も心配で食べられなかった。食べないでいたら、「どうして、そんなにお父さんは心配して、せっかく弁当を持って来たのに、召し上がらないのですか。」と言ったら、「もう侍が帰って来たら、私は今日までの命だから、打ち首の罰だからね。もうその鍬の数は、幾鍬打ったかということを、すっかり忘れてしまったから。」昔は、お父さんと言わないで、「すう。」と言っていたそうですよ。「すう、そのくらいのことで心配なさらないでください。」と言ったら、「お前のような子どもが、それで、どうやってお前は侍に言葉を返すのか。」と言ったので、「大丈夫です。私が返事をするから心配しないで、昼ご飯を召し上がってください、お父さん。」と言った。それでも、お父さんはもう心配で、死ぬ覚悟をしていらっしゃったそうだが、首里から、いよいよ午後になって、侍が帰って、帰っていらっしゃって、「百姓、幾鍬打ったか。」こう侍が言うと、侍はもう親子の話をわからないので、この九つになる子どもが、「侍さんは、それであなたの馬は、何歩で首里まで行っていらっしゃたのですか。」とたずねると、侍は返事に大変困っていた。それで今度は、侍が、「赤いお菓子と白いお菓子を、一口に口に入れて食べなさい。」とおっしゃったので、食べたようだが、侍が、「白いお菓子と赤いお菓子とではどっちがおいしかったか。」と言ったら、これをまた食べながら、子どもは、両方の手をばちばち打った。子供が、「私の手は、右と左とでは、どっちが鳴りましたか。」と言ったので、この侍も返事に困って、「こいつを生かしておくと、侍に敵がい心、恨みをもつ恐れがあるから。」と言って、九つの子を、ほら昔は、もう侍の勝手だから、「百姓は殺しても青菜や千草と同じようなものだ。」と言って、殺したようでございます。 |
| 全体の記録時間数 | 2:59 |
| 物語の時間数 | 2:59 |
| 言語識別 | 混在 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |