
ある所に姉妹が二人いてね、女の双児だが、顔も美しく、知恵もあるそうだ。二人はよくにていて親も見分けがつかないくらい、どっちが妹か、姉かわからないので、妹、姉と名をつけたんだって。その家は金持で、「二人を見分けられるなら、この娘と、家の財産をやろう。」といって、それで人と指切りをしてかけをしたそうだよ。そのかけというのは姉と妹を見分けられない時は首を切るというかけになっていてね。私が見わけてみせると言った人は、指切りをして、いついつと日を決めてから、それからというもの、「私は首を取られてしまうのか、それとも成功するか。」といろいろと考えて、生きものすべてを大切にして、生かしておいたそうだ。どんなものに自分が助けられるかわからないといって、死にそうな蠅であっても生かしてやり、片羽がなくてパタパタと苦しんでいるのも立派に生かしてやってね。自分の命を助けるためにと思ってね。そんなにして考えていたところ、もういよいよその日がやって来て、それで、その家に行ってみると、そこの娘たちは二人とも並んで酒をついでいて、盃を持って行ったり来たりしているので、入って来た男には、誰が誰だかわからないそうだよ。一人はそこに盆を持ってきて、一人はまた酒をついでやったりして、二人でそんなふうにしているので、よくわからない、この男は。酒をのんで盃を本当の姉に返すということになっていたって。すると蚊がとんできて耳もとで「ワンワンワンワン。」と鳴いたので、別の人には「ワンワンワンワン。」としか聞こえないが、その男には「 ビントゥイビントゥイ。」と聞こえたらしい。それで男は感じとって、盃は妹がやっているのだが、びんとぅい(酒をつぐ)をやっている姉に、盃を返したそうだ。それでこの男はその娘を妻にして、財産ももらったって。
| レコード番号 | 47O376096 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C245 |
| 決定題名 | 蚊の援助(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 蚊の始まり |
| 話者名 | 山内マカテ |
| 話者名かな | やまうちまかて |
| 生年月日 | 18960705 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県恩納村南恩納 |
| 記録日 | 197602225 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T31A14 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 昼食後や夕食後に昔話をたくさん知っているお祖父さんから聞いた。 |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話・昔話編』P98 |
| キーワード | 双子の姉妹,美人,知恵,金持ち,蚊 |
| 梗概(こうがい) | ある所に姉妹が二人いてね、女の双児だが、顔も美しく、知恵もあるそうだ。二人はよくにていて親も見分けがつかないくらい、どっちが妹か、姉かわからないので、妹、姉と名をつけたんだって。その家は金持で、「二人を見分けられるなら、この娘と、家の財産をやろう。」といって、それで人と指切りをしてかけをしたそうだよ。そのかけというのは姉と妹を見分けられない時は首を切るというかけになっていてね。私が見わけてみせると言った人は、指切りをして、いついつと日を決めてから、それからというもの、「私は首を取られてしまうのか、それとも成功するか。」といろいろと考えて、生きものすべてを大切にして、生かしておいたそうだ。どんなものに自分が助けられるかわからないといって、死にそうな蠅であっても生かしてやり、片羽がなくてパタパタと苦しんでいるのも立派に生かしてやってね。自分の命を助けるためにと思ってね。そんなにして考えていたところ、もういよいよその日がやって来て、それで、その家に行ってみると、そこの娘たちは二人とも並んで酒をついでいて、盃を持って行ったり来たりしているので、入って来た男には、誰が誰だかわからないそうだよ。一人はそこに盆を持ってきて、一人はまた酒をついでやったりして、二人でそんなふうにしているので、よくわからない、この男は。酒をのんで盃を本当の姉に返すということになっていたって。すると蚊がとんできて耳もとで「ワンワンワンワン。」と鳴いたので、別の人には「ワンワンワンワン。」としか聞こえないが、その男には「 ビントゥイビントゥイ。」と聞こえたらしい。それで男は感じとって、盃は妹がやっているのだが、びんとぅい(酒をつぐ)をやっている姉に、盃を返したそうだ。それでこの男はその娘を妻にして、財産ももらったって。 |
| 全体の記録時間数 | 3:51 |
| 物語の時間数 | 3:51 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |