クスクェー由来(シマグチ)

概要

これは、昔、独身の男が昔のね、遊女と仲良くし、辻の遊女と恋もしていたけれども、この男というのは、「あの女はまあ商売女だから。」と言って、もう新しい女をさがしたって。結婚する前によ、この男はさ、町に買いものに行ったそうだ。捨てられた女は悲しんで、すぐ死んでしまっていたんだ。すると、死んだ女が幽霊になって化けて出て、男が買い物の途中それに出くわしてね、そして、男に、「あなたはどこに行くのか。」と言うので、「私は妻になる女を見つけて、何月何日は結婚式だから、町に買い物しに行くんだよ。」と言ったようだ、幽霊に。それで幽霊は、「ああ、結婚するんだなあ。」と言ってね、結婚の日に、死んだ女が幽霊に化けてその男の家に、結婚を祝いに来ていたらしい。昔はランプだったからな、幽霊はランプの下の暗い所に座って、歌をうたい、三味線をひいたりしたんだな。それで夜遅くまで歌をうたったり三味線をひいたりしたので、近所の人が、「珍らしいことだ、こんな夜明け近くなるまで、女が歌をうたったり三味線をひいたりしているが、これは普通の女ではないはずだ。」と言ってね、それで近所の人が夜明けごろ起きて行ってね板戸の節穴からのぞいてみたそうだ。するとこの女はランプの下に座っているがね、普通の人ではないんだな。あの世の人だからね、「これは大変だ。」と言ってね、集まっている男たちが、「この女は普通の女ではないから、確かにあの世の女だからここを追い出して後を追っていこう。」ということでな。もう集まっている人たちで女を追いたてて、その後を追うと、その女は幽霊だから墓に入っていったんだな。やっぱり墓に入っていったんだよ。そして、後をついていった男たちは墓のそばに隠れてね、墓の中から聞こえてくる話を聞いたんだ。あの世の一番えらい閻魔王(えんまおう)が帰ってきた女にこう言っているんだ。「お前は今までどこをほっつき歩いていたのか。」と。女は、「実は私と仲良くしていた男の結婚式があって、むこうの家に行って三味線をひいたり歌をうたったりして、今戻りました。」と閻魔王に返答すると、閻魔王は、「お前はこんなに遅くまで外をほっつき歩いて、お前は罰せねばならん。」と言ってね、また、「どこどこの子どもが病気にかかっているから、お前はその子どもの魂をここに取ってこないかぎり許さん。」と言っにようだ。すると、幽霊の女が、「じゃあ、どうしてその子どもの命を取るんですか。」と言うと、「お前があの子どもの命を取りに行くのなら私が教えてやろう。」と言って、閻魔王がね、「子どもがクシャミをしたり、水を飲んだりするときにこの子どもの魂はとりやすいから、取ってこい。」と言うと、幽霊の女は、「しかし、その子どもがクシャミをするときにクスタッケーと(親などが)言うときにはどうしますか。」と言ったようだ。また、「子どもが水が飲みたいと言うときに ふぃんと、親などが言ったらどうしますか。」と閻魔王に聞くと、閻魔王は、「それでも良いから行け。」と、幽霊の女を行かしたんだ。それで、その女の後を追って行った男たちは、先に家に行ってその病気の子どもというのは結婚式をした家の子じゃなくて、別の家の子どもだけどね。その家に行って、「今日、墓に行ってみると、閻魔王があなたたちの子どもの魂を取ってこいと女の幽霊に言っていたので、きっとこの子はクシャミをするはずだから、そのときはクスタッケーと言いなさい。」と教えたそうだ。そして、「もし、その子が水が飲みたいと言って水をあげる時は、その前にふぃんと息を吹きかけなさいよ。」とこの追っていった男たちが家の主人に教えたそうだよ。そして、いよいよそこで待っていると、板戸の節穴から冷たい風が入ってきたんだ。「ははあ、これは、冷たい風が入ったので、確かにここに幽霊がくるな。」と待ちかまえているんだな、たくさんの人たちで。その子を見守っているとクシャミをしたんだな。その子がクシャミをしたのでそこにいる人にちは大声で、「クスタッケー。」「クスタッケー。」と言ったんだ。また今度は、「水が飲みたい。」と言うので、そこにいる人たちが、茶碗に水を入れてその子に飲ます前に、「ふぃん。」(と息を吹きかけてから)飲ましたんだ。するとな、これでその幽霊はことばを返されて、その子の魂は取れなかったという話なんだ。クスタッケーの道理はそれなんだよ。


再生時間:5:51

民話詳細DATA

レコード番号 47O375288
CD番号 47O37C213
決定題名 クスクェー由来(シマグチ)
話者がつけた題名 クスクェー由来
話者名 石川元助
話者名かな いしかわげんすけ
生年月日 19130707
性別
出身地 沖縄県恩納村谷茶
記録日 19760223
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 恩納村T11A02
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情 父親が谷茶大工といわれるほどの優れた大工で、少年期から青年期にかけて父親からよく話を聞かされた。また友人間からの話も多い。
文字化資料 『恩納村の民話 昔話編』P7
キーワード 遊女,幽霊,歌や三味線,閻魔王,子どもの魂,クシャミ,クスタッケー
梗概(こうがい) これは、昔、独身の男が昔のね、遊女と仲良くし、辻の遊女と恋もしていたけれども、この男というのは、「あの女はまあ商売女だから。」と言って、もう新しい女をさがしたって。結婚する前によ、この男はさ、町に買いものに行ったそうだ。捨てられた女は悲しんで、すぐ死んでしまっていたんだ。すると、死んだ女が幽霊になって化けて出て、男が買い物の途中それに出くわしてね、そして、男に、「あなたはどこに行くのか。」と言うので、「私は妻になる女を見つけて、何月何日は結婚式だから、町に買い物しに行くんだよ。」と言ったようだ、幽霊に。それで幽霊は、「ああ、結婚するんだなあ。」と言ってね、結婚の日に、死んだ女が幽霊に化けてその男の家に、結婚を祝いに来ていたらしい。昔はランプだったからな、幽霊はランプの下の暗い所に座って、歌をうたい、三味線をひいたりしたんだな。それで夜遅くまで歌をうたったり三味線をひいたりしたので、近所の人が、「珍らしいことだ、こんな夜明け近くなるまで、女が歌をうたったり三味線をひいたりしているが、これは普通の女ではないはずだ。」と言ってね、それで近所の人が夜明けごろ起きて行ってね板戸の節穴からのぞいてみたそうだ。するとこの女はランプの下に座っているがね、普通の人ではないんだな。あの世の人だからね、「これは大変だ。」と言ってね、集まっている男たちが、「この女は普通の女ではないから、確かにあの世の女だからここを追い出して後を追っていこう。」ということでな。もう集まっている人たちで女を追いたてて、その後を追うと、その女は幽霊だから墓に入っていったんだな。やっぱり墓に入っていったんだよ。そして、後をついていった男たちは墓のそばに隠れてね、墓の中から聞こえてくる話を聞いたんだ。あの世の一番えらい閻魔王(えんまおう)が帰ってきた女にこう言っているんだ。「お前は今までどこをほっつき歩いていたのか。」と。女は、「実は私と仲良くしていた男の結婚式があって、むこうの家に行って三味線をひいたり歌をうたったりして、今戻りました。」と閻魔王に返答すると、閻魔王は、「お前はこんなに遅くまで外をほっつき歩いて、お前は罰せねばならん。」と言ってね、また、「どこどこの子どもが病気にかかっているから、お前はその子どもの魂をここに取ってこないかぎり許さん。」と言っにようだ。すると、幽霊の女が、「じゃあ、どうしてその子どもの命を取るんですか。」と言うと、「お前があの子どもの命を取りに行くのなら私が教えてやろう。」と言って、閻魔王がね、「子どもがクシャミをしたり、水を飲んだりするときにこの子どもの魂はとりやすいから、取ってこい。」と言うと、幽霊の女は、「しかし、その子どもがクシャミをするときにクスタッケーと(親などが)言うときにはどうしますか。」と言ったようだ。また、「子どもが水が飲みたいと言うときに ふぃんと、親などが言ったらどうしますか。」と閻魔王に聞くと、閻魔王は、「それでも良いから行け。」と、幽霊の女を行かしたんだ。それで、その女の後を追って行った男たちは、先に家に行ってその病気の子どもというのは結婚式をした家の子じゃなくて、別の家の子どもだけどね。その家に行って、「今日、墓に行ってみると、閻魔王があなたたちの子どもの魂を取ってこいと女の幽霊に言っていたので、きっとこの子はクシャミをするはずだから、そのときはクスタッケーと言いなさい。」と教えたそうだ。そして、「もし、その子が水が飲みたいと言って水をあげる時は、その前にふぃんと息を吹きかけなさいよ。」とこの追っていった男たちが家の主人に教えたそうだよ。そして、いよいよそこで待っていると、板戸の節穴から冷たい風が入ってきたんだ。「ははあ、これは、冷たい風が入ったので、確かにここに幽霊がくるな。」と待ちかまえているんだな、たくさんの人たちで。その子を見守っているとクシャミをしたんだな。その子がクシャミをしたのでそこにいる人にちは大声で、「クスタッケー。」「クスタッケー。」と言ったんだ。また今度は、「水が飲みたい。」と言うので、そこにいる人たちが、茶碗に水を入れてその子に飲ます前に、「ふぃん。」(と息を吹きかけてから)飲ましたんだ。するとな、これでその幽霊はことばを返されて、その子の魂は取れなかったという話なんだ。クスタッケーの道理はそれなんだよ。
全体の記録時間数 5:51
物語の時間数 5:51
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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