
これはどんな話かというとね、そろって歩きながら、波之上神社から歩いてくる時、月夜の晩に二人で歩いていると、一人は首がないんだな。影が写らないそうだな。「どうしたことだ。お前の首は落ちてなくなっているぞ。頭はないぞ。」と仲間が言ったそうだ。「そんな馬鹿な、お前はあるのに私の影に首が無いということがあるか。」と言うと、「いや本当だ。それならば並んで立ってみよう。」と月にむかって二人立ってみると、本当に自分のは見えなかったそうだ。「どうしたことだ。お前たちの首はあるのに私の首はない。」と言ったそうだ。三人は友だちだったそうだ。「今日は寂しいからそれでもう一人友だちをよんできて、波之上で月ながめをしてこよう。」と三人で行き、そこで夜明けまで月ながめをして家に帰る時、一人の友だちが、「お前は今日は家にすぐ入って行くなよ。」と言ったそうだ。「なんでお前はそんなことを言うのだ。」と言うと、「いやいや、今日家に帰ったら、お前が一番大切にしているものに弓をうってから入った方がよいぞ。」と言ったそうだな。それで、「友だちがそう言っていたから。」と言って、帰ってから、「一番大切なものは馬だから。」と馬に向けて矢を射ようとすると、「ミーヒーヒー。」と鳴いて、一つも射ることができない。それで、一番大切なのは妻だと思いなおし、妻に向け弓を射ると、その妻は間男がいたそうだ。夫を殺してその間男と二人で夫婦になるつもりでいたそうだ。それで、床に大きな ハジ桶が置かれていたそうだが、弓はそれに当って妻はどうもなく、けがもなかったが桶に当ってそれに入っていた若者を射ぬいて殺してしまったそうだ。妻は間男をその桶の中に泊めておいたわけよ。そんなことがあって、翌朝、妻が、「もう勤めにおくれてしまうから早く勤めに行ってきて下さい。」と言って、夫を勤めに出してから、桶を見ると矢がささっているんだね、ふたを開けて逃がすつもりだったんだが、弓で命をとられているので、しかたなくそのままにして、その桶もいっしょに外に出したということだ。それから、夫の友だちが、「こんなことがあるから、毎年月ながめをしなければならない。私たちは忘れないでやろうな。」と言ったそうだ。そんなことから月ながめをするようになったそうだ。それで月ながめというのは大切なことだから八月十五夜には、その時には、何を作るかと言えば、あずきのフチャギを作って、それにあずきをつけて、それを食べながらながめたそうだ。そうだったという話を聞いたんだ。
| レコード番号 | 47O375207 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C210 |
| 決定題名 | 首のない影(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 十五夜の話 |
| 話者名 | 宜次富マツ |
| 話者名かな | ぎしとみまつ |
| 生年月日 | 18980518 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県名護市宮里 |
| 記録日 | 19760222 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T08B12 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 若い頃父親からよく話を聞かさた。 |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話 昔話編』P85 |
| キーワード | 波之上神社,月夜の晩,首がない,月ながめ,妻に向け弓を射る,間男,八月十五夜,フチャギ |
| 梗概(こうがい) | これはどんな話かというとね、そろって歩きながら、波之上神社から歩いてくる時、月夜の晩に二人で歩いていると、一人は首がないんだな。影が写らないそうだな。「どうしたことだ。お前の首は落ちてなくなっているぞ。頭はないぞ。」と仲間が言ったそうだ。「そんな馬鹿な、お前はあるのに私の影に首が無いということがあるか。」と言うと、「いや本当だ。それならば並んで立ってみよう。」と月にむかって二人立ってみると、本当に自分のは見えなかったそうだ。「どうしたことだ。お前たちの首はあるのに私の首はない。」と言ったそうだ。三人は友だちだったそうだ。「今日は寂しいからそれでもう一人友だちをよんできて、波之上で月ながめをしてこよう。」と三人で行き、そこで夜明けまで月ながめをして家に帰る時、一人の友だちが、「お前は今日は家にすぐ入って行くなよ。」と言ったそうだ。「なんでお前はそんなことを言うのだ。」と言うと、「いやいや、今日家に帰ったら、お前が一番大切にしているものに弓をうってから入った方がよいぞ。」と言ったそうだな。それで、「友だちがそう言っていたから。」と言って、帰ってから、「一番大切なものは馬だから。」と馬に向けて矢を射ようとすると、「ミーヒーヒー。」と鳴いて、一つも射ることができない。それで、一番大切なのは妻だと思いなおし、妻に向け弓を射ると、その妻は間男がいたそうだ。夫を殺してその間男と二人で夫婦になるつもりでいたそうだ。それで、床に大きな ハジ桶が置かれていたそうだが、弓はそれに当って妻はどうもなく、けがもなかったが桶に当ってそれに入っていた若者を射ぬいて殺してしまったそうだ。妻は間男をその桶の中に泊めておいたわけよ。そんなことがあって、翌朝、妻が、「もう勤めにおくれてしまうから早く勤めに行ってきて下さい。」と言って、夫を勤めに出してから、桶を見ると矢がささっているんだね、ふたを開けて逃がすつもりだったんだが、弓で命をとられているので、しかたなくそのままにして、その桶もいっしょに外に出したということだ。それから、夫の友だちが、「こんなことがあるから、毎年月ながめをしなければならない。私たちは忘れないでやろうな。」と言ったそうだ。そんなことから月ながめをするようになったそうだ。それで月ながめというのは大切なことだから八月十五夜には、その時には、何を作るかと言えば、あずきのフチャギを作って、それにあずきをつけて、それを食べながらながめたそうだ。そうだったという話を聞いたんだ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:15 |
| 物語の時間数 | 4:15 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |