
これはどんな話かと言うと、この娘は、先妻の娘であるわけ。継母はこの娘をもう打ったりたたいたりしていじめて、粗末に扱っていたが、ある時御主加那志が嫁選びをすることになったので、嫁に選ばれようとして娘たちがみんな集まって来て、調べる時に王様が、「今日は私が毬を打つから、この毬の当った人が私の妻だよ。」と言ってね。すると案のじょう姉にたまが当ったので、王の嫁になったそうだ。それで、本当は、この先妻の娘を国王、若い王が望んで結婚はこの娘とすると決まっていた。そしたら、継母は、「これを追い出して自分の子どもを連れて行くことにしよう。」と考えを出してね、その時父親は唐旅に出ていらっしゃっていたので、この継母は父親が唐に旅していらっしゃる間に、雪が降る時も庭の掃除をさせられていたそうだ。雪といっても沖縄ではあられが降っていますがね。そうこうしているうちに、このもう嫁入りの日になったので、継母は継子を追い出して、自分の娘を連れて行ったらしい。すると王は、「おい、なんだこれは、私が見た女ではない。」と、今の言い方にしたら、「私が見た女ではないから交代しなさい。この女ではなかった。もう一人だ、もう一人の娘だ。」と言って王は無理にでもとりかえる考えをしていたが、今さら取りかえられない。ところで、これからこの庭の雪払いの仕事は継子にさせているのだからね、継子は庭に出されていてね。その時に、父親が唐から旅して帰ってきて、継子が庭でこごえてふるえているのを見て、「どうした、お前はどうして、そうしているのか。」と聞くと、「家から出て行けと、お母さんに言われて家から出ていっても行く所がなくて、ここよりほかは死ぬ所はなくて。私が家に入ると、お母さんに殺されるから、それがくやしくて、ここにいるんだよ。」と答えたそうだ。それで父親は、継子を自分の後ろに隠してから、継母に、「おい、マジルーはどうした。」と聞くと、「マジルーは遊びにでも行ったのか、見えませんが。」としゃあしゃあと返答したわけさあ。そこで父親が、「お前は嘘をついて、この子をこんな姿にしたんだな。」と継子を引っぱり出して見せたから、ここでね、もう雪払いをさせられていたこのマジルーにね、マジルーに、こう言ったって、「お前は、こんな時に嘘をついて、お母さんが言うのを聞かないで、お前は掃除をしに外に出ていったんだね。」そう言ったので、「いいえ、お母さんは出て行きなさいと私に言いましたが、私はここを出て行ったら、行く所もなくてここにこうして隠れていたんだって。」と言ったそうだ。「そういうことなら、こんなひどいことをする女をここにおけない。お前たちは出て行け。」と言って追い払ったそうだ。追い払ったが、この妹は、また、とても姉を思っていて、「王の嫁になるという立身の道でも姉さんから先にとそう考えて、私はそう願っているのだが、お母さんがこんなにあんまり欲が強くて、それでこんなになってしまいました。」と妹が言うが、「それにしてもお前たちがぐるになって姉さんを苦労させたんだ。こんなにも。」と言って継母をこらしめたが、それでも後になって、この母親の言い分も聞いて仲直りしたというが。それで、継子は前に苦労したことも忘れたという話をしたが。それから、これまでのことを民謡で歌にしたって。「女がうぬぼれて上せると、毬の跳ねる高さまで上る。ところが見栄が崩れて落ちこむと生魚が(腐っていくようにどんどん下がる。」この歌を、年下の娘たちによんで聞かせたそうだ。それから次にこの話は薬の話になるけどね。継母が「これの生肝を取ってこい。」と父親に言ったようだよ。すると父親はうまくことばで言いくるめられてね、後は、継子を探しまわったらしい。しかし王府の役人に知られ、二人は処罰されたというのを聞いたさあ。
| レコード番号 | 47O375197 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C209 |
| 決定題名 | 継子の雪払い(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | 継子の雪払い |
| 話者名 | 宜次富マツ |
| 話者名かな | ぎしとみまつ |
| 生年月日 | 18980518 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県名護市宮里 |
| 記録日 | 19760222 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 恩納村T08B05 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 若い頃父親からよく話を聞かさた。 |
| 文字化資料 | 『恩納村の民話 昔話編』P117 |
| キーワード | 先妻の娘,継母,粗末に扱った,御主加那志が嫁選び,王の嫁,父親は唐旅,庭の雪払いの仕事 |
| 梗概(こうがい) | これはどんな話かと言うと、この娘は、先妻の娘であるわけ。継母はこの娘をもう打ったりたたいたりしていじめて、粗末に扱っていたが、ある時御主加那志が嫁選びをすることになったので、嫁に選ばれようとして娘たちがみんな集まって来て、調べる時に王様が、「今日は私が毬を打つから、この毬の当った人が私の妻だよ。」と言ってね。すると案のじょう姉にたまが当ったので、王の嫁になったそうだ。それで、本当は、この先妻の娘を国王、若い王が望んで結婚はこの娘とすると決まっていた。そしたら、継母は、「これを追い出して自分の子どもを連れて行くことにしよう。」と考えを出してね、その時父親は唐旅に出ていらっしゃっていたので、この継母は父親が唐に旅していらっしゃる間に、雪が降る時も庭の掃除をさせられていたそうだ。雪といっても沖縄ではあられが降っていますがね。そうこうしているうちに、このもう嫁入りの日になったので、継母は継子を追い出して、自分の娘を連れて行ったらしい。すると王は、「おい、なんだこれは、私が見た女ではない。」と、今の言い方にしたら、「私が見た女ではないから交代しなさい。この女ではなかった。もう一人だ、もう一人の娘だ。」と言って王は無理にでもとりかえる考えをしていたが、今さら取りかえられない。ところで、これからこの庭の雪払いの仕事は継子にさせているのだからね、継子は庭に出されていてね。その時に、父親が唐から旅して帰ってきて、継子が庭でこごえてふるえているのを見て、「どうした、お前はどうして、そうしているのか。」と聞くと、「家から出て行けと、お母さんに言われて家から出ていっても行く所がなくて、ここよりほかは死ぬ所はなくて。私が家に入ると、お母さんに殺されるから、それがくやしくて、ここにいるんだよ。」と答えたそうだ。それで父親は、継子を自分の後ろに隠してから、継母に、「おい、マジルーはどうした。」と聞くと、「マジルーは遊びにでも行ったのか、見えませんが。」としゃあしゃあと返答したわけさあ。そこで父親が、「お前は嘘をついて、この子をこんな姿にしたんだな。」と継子を引っぱり出して見せたから、ここでね、もう雪払いをさせられていたこのマジルーにね、マジルーに、こう言ったって、「お前は、こんな時に嘘をついて、お母さんが言うのを聞かないで、お前は掃除をしに外に出ていったんだね。」そう言ったので、「いいえ、お母さんは出て行きなさいと私に言いましたが、私はここを出て行ったら、行く所もなくてここにこうして隠れていたんだって。」と言ったそうだ。「そういうことなら、こんなひどいことをする女をここにおけない。お前たちは出て行け。」と言って追い払ったそうだ。追い払ったが、この妹は、また、とても姉を思っていて、「王の嫁になるという立身の道でも姉さんから先にとそう考えて、私はそう願っているのだが、お母さんがこんなにあんまり欲が強くて、それでこんなになってしまいました。」と妹が言うが、「それにしてもお前たちがぐるになって姉さんを苦労させたんだ。こんなにも。」と言って継母をこらしめたが、それでも後になって、この母親の言い分も聞いて仲直りしたというが。それで、継子は前に苦労したことも忘れたという話をしたが。それから、これまでのことを民謡で歌にしたって。「女がうぬぼれて上せると、毬の跳ねる高さまで上る。ところが見栄が崩れて落ちこむと生魚が(腐っていくようにどんどん下がる。」この歌を、年下の娘たちによんで聞かせたそうだ。それから次にこの話は薬の話になるけどね。継母が「これの生肝を取ってこい。」と父親に言ったようだよ。すると父親はうまくことばで言いくるめられてね、後は、継子を探しまわったらしい。しかし王府の役人に知られ、二人は処罰されたというのを聞いたさあ。 |
| 全体の記録時間数 | 5:19 |
| 物語の時間数 | 5:19 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |