
母親が亡くなり、父親と兄弟三人が暮らしていた。長男の太郎は、家が貧しいため、旅に出て技術を身につけ金をもうけて成功したいと考え、弟達に相談する。二人の弟は「兄さんがそう考えるのなら、自分達も一緒に行く」と賛成した。そこで三人揃って父親に、三年間の許しを乞う。父親は「上の二人は行っても良いが、末の三郎はまだ小さいから置いて行け」という。ところが三郎は、「兄さん達と一緒に行って、技術も習い、偉い人になって帰って来る」といって、父親が止めるのも聞かない。仕方なく父親が承諾したので、三人は出発の日を決め、当日になると、「成功して誰が先に帰って来るか楽しみにしていて下さい。お父さんも元気で」とあいさつをして旅に出る。家を出て歩いているうちに最初の分かれ道に差し掛かった。ところが三人はとても仲が良いものだから、なかなか別れられず、次の岐路まで一緒に歩く。そこでも駄目で、三つ目の分かれ道に来た時に決心して、末の弟を先に見送ることにする。太郎、次郎の二人の兄は高い所に登り、三郎の姿が見えなくなるまで見送る。三郎は夜中まで歩き続けてやっと山中に一軒の家を見つける。その家では爺と婆が萱を敷いて暮らしていた。宿を乞うと、爺が「こんな汚い所でよければ泊まりなさい。だけど、明日の朝までだよ」といって泊めてくれる。夜が明けると三年が経過していた。朝になると婆が、「もう家に帰りなさい」という。三郎が「自分は三年の約束で出てきたので今は帰れない」というと、婆は「もう三年が経っているよ」といって、ハタカケマカイ(縁が欠けた椀)を与え、「これを掌に載せ、手を合わせて欲しい物を願い、三回グルグルグル回してから、こんなに擦って飛ばすと、これが空を飛んでいって欲しい物はなんでも持ってくるよ。これがあんたの技術だ。懐に入れてお父さんの所に持って帰りなさい」という。三郎は仕方なくそれをもらって帰るが、途中、、「こんな欠けマカイ」といって草原に捨てる。するとその中に小人がいて声を掛け、捨てさせない。そこで家まで持ち帰り、「これが私の働きです」と父親の前に差し出し、婆から聞いた不思議な話をする。父親は「ハタカケマカイでもお前の働きであればそれでいい」と喜んだ。そしてその不思議な話を他人に話すと、それが王様の耳に入る。王様は三郎をお城に呼びつけ、「私の家の天井の上にある金庫を持ってきなさい」と難題を課す。欠椀は飛んでいって金庫を運んできた。王様は感心して三郎を役人にする。次男の次郎は矢を一本持ち帰る。それは遠くまで飛んでいって的に当て、また戻ってくる矢だった。王様が試させると、その通りになった。これも感心して役人にする。長男の太郎は帽子作りの技術を習得してきた。王様が試みると、一時の間にりっぱな帽子を作る。王様は感心して長男をも役人とする。父親と三人の兄弟は共に王様の側で働いて成功したそうだ。
| レコード番号 | 47O235466 |
|---|---|
| CD番号 | 47O23C291 |
| 決定題名 | 三郎の欠椀(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 三人兄弟 |
| 話者名 | 豊見山千代 |
| 話者名かな | とみやまちよ |
| 生年月日 | 19080000 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 伊良部村字前里添 |
| 記録日 | 19760726 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 伊良部T42B04 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | いらぶの民話P163 |
| キーワード | 母親,父親,兄弟三人,長男の太郎,貧しい,旅,一軒の家,爺と婆,宿を乞う,ハタカケマカイ,王様,難題 |
| 梗概(こうがい) | 母親が亡くなり、父親と兄弟三人が暮らしていた。長男の太郎は、家が貧しいため、旅に出て技術を身につけ金をもうけて成功したいと考え、弟達に相談する。二人の弟は「兄さんがそう考えるのなら、自分達も一緒に行く」と賛成した。そこで三人揃って父親に、三年間の許しを乞う。父親は「上の二人は行っても良いが、末の三郎はまだ小さいから置いて行け」という。ところが三郎は、「兄さん達と一緒に行って、技術も習い、偉い人になって帰って来る」といって、父親が止めるのも聞かない。仕方なく父親が承諾したので、三人は出発の日を決め、当日になると、「成功して誰が先に帰って来るか楽しみにしていて下さい。お父さんも元気で」とあいさつをして旅に出る。家を出て歩いているうちに最初の分かれ道に差し掛かった。ところが三人はとても仲が良いものだから、なかなか別れられず、次の岐路まで一緒に歩く。そこでも駄目で、三つ目の分かれ道に来た時に決心して、末の弟を先に見送ることにする。太郎、次郎の二人の兄は高い所に登り、三郎の姿が見えなくなるまで見送る。三郎は夜中まで歩き続けてやっと山中に一軒の家を見つける。その家では爺と婆が萱を敷いて暮らしていた。宿を乞うと、爺が「こんな汚い所でよければ泊まりなさい。だけど、明日の朝までだよ」といって泊めてくれる。夜が明けると三年が経過していた。朝になると婆が、「もう家に帰りなさい」という。三郎が「自分は三年の約束で出てきたので今は帰れない」というと、婆は「もう三年が経っているよ」といって、ハタカケマカイ(縁が欠けた椀)を与え、「これを掌に載せ、手を合わせて欲しい物を願い、三回グルグルグル回してから、こんなに擦って飛ばすと、これが空を飛んでいって欲しい物はなんでも持ってくるよ。これがあんたの技術だ。懐に入れてお父さんの所に持って帰りなさい」という。三郎は仕方なくそれをもらって帰るが、途中、、「こんな欠けマカイ」といって草原に捨てる。するとその中に小人がいて声を掛け、捨てさせない。そこで家まで持ち帰り、「これが私の働きです」と父親の前に差し出し、婆から聞いた不思議な話をする。父親は「ハタカケマカイでもお前の働きであればそれでいい」と喜んだ。そしてその不思議な話を他人に話すと、それが王様の耳に入る。王様は三郎をお城に呼びつけ、「私の家の天井の上にある金庫を持ってきなさい」と難題を課す。欠椀は飛んでいって金庫を運んできた。王様は感心して三郎を役人にする。次男の次郎は矢を一本持ち帰る。それは遠くまで飛んでいって的に当て、また戻ってくる矢だった。王様が試させると、その通りになった。これも感心して役人にする。長男の太郎は帽子作りの技術を習得してきた。王様が試みると、一時の間にりっぱな帽子を作る。王様は感心して長男をも役人とする。父親と三人の兄弟は共に王様の側で働いて成功したそうだ。 |
| 全体の記録時間数 | 20:42 |
| 物語の時間数 | 20:33 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |