ムティガラ(方言)

概要

昔、ムティアガラという貧乏で一人暮らしのかわいそうな男がいた。岩の下で暮らしていたが、荒地を耕して粟などを作り実らせていた。ある日、御主の3人娘がその畑の近くを歩いていて、上の二人の姉はわざと畑の真ん中を通って踏み荒らし、末の妹は、「貧乏人の粟とはいえ、よく育っているのにその中を歩くのはよくない」と言って、畑の端の方を歩いていた。すると、二人の姉は家に帰ると父親に、「妹はムティアガラを夫にしているから、こんな者を家に置くのはよくない。追い出しなさい」と言う。両親はすぐに妹を追い出す。妹は家を出るとムティアガラの所へ行き、家を追い出されたのでここにおいて、と頼む。すると、ムティアガラは「そんな偉い役人の子供と一緒にいることはできない」と断わる。でも、娘は「家に帰ることはできない」と言う。ムティアガラは「ここには敷物もなければ鍋もない。このようなところに住めるか」と言うと、娘は「大丈夫。自分で鍋も何もかも探してくるから」と言う。ムティアガラは仕方なく御主の末娘を妻にして一緒に暮らすことにした。末娘が近くの浜を歩いていると、昔の五十銭玉がいっぱい広がっているのを見た。それを拾い、ムティアガラに「お金がいっぱい落ちていたので拾ってきた。これで何でも買える」と言う。ムティアガラは「そんなのはいくらでもある。自分はそれを投げ付けて海鳥も取る」と言う。妻は「これは宝物だからそんな使い方はいけない」と言って、それをいっぱい拾ってきて、生活に必要な物を買い揃えた。そのうち、妻の父親の御主はまた、こんな者を婿にしていては恥だから亡き者にしよう、と企んで、「さあ、首里に行くから準備しなさい」と言う。ムティアガラは仕方なく承知して行くことにした。するとその妻が、竜糞を袋ガマに入れてムティアガラの首に掛け、「何か企みがあって、木の斧で薪を割らせるはずfだから、その時は斧の刃にこれを塗り、そしてこれを舐めなさい」と言う。首里の御主のところへ行くと、七日七晩の間、飯を一口も食べさせないで薪を割らされた。でもムティアガラは元気で割り続けた。首里の御主は、「これは人と違う。呼んできなさい」と言って御主の前に呼び出され、「お前がこんなに長いこと何も食べずに元気でいるのは不思議なことだ。その首に掛けている物を見せなさい」と言う。ムティアガラは、妻が持たせてくれたこと、斧の刃に塗ったこと、時々舐めていたことなどを話し、「それで元気でやれて来れた」と言って袋を渡した。御主はその袋を見ながら、「こんな大事な物を持っている人はただの人ではない。殺すことはできない。お前の父親より上の、偉い役を与えて宮古へ帰す。船もムティアガラの船、と飾りを着けて、宝物をいっぱい積んで帰そう。その積もりで準備しなさい」と言う。そして父親を呼び、「この者はただ者ではないから、ムティアガラの船を先にして、お前の船は後になりなさい」と命じた。ムティアガラは、「ムティアガラの船」と書かれた旗をいっぱい掲げ、宝物をいっぱい積んで、沖縄へ行くときはボロだった着物も、絹の着物、袴に代え、父親よりも上の位を貰って宮古に帰っていった。宮古では、妻が浜辺に出て、もうムティアガラは死んだはず、と心配して突っ立ていると、「ムティアガラの船だぞおー」という声が聞こえてきた。行ってみると、本当に妻の自分にも分からないほど立派になって帰って来た。あんなに憎んでいた父親も、「あれが一番」と言って大切にしたそうだ。その娘も御主の妻と光り、ムティアガラも御主の役について一生幸せに暮らしたそうだ。

再生時間:8:21

民話詳細DATA

レコード番号 47O235301
CD番号 47O23C280
決定題名 ムティガラ(方言)
話者がつけた題名
話者名 佐久川米子
話者名かな さくかわよねこ
生年月日 19060410
性別
出身地 伊良部村字長浜
記録日 19760330
記録者の所属組織 沖縄国際大学口承研
元テープ番号 伊良部T32B02
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 いらぶの民話P375
キーワード ムティアガラ,貧乏で一人暮らし,御主の3人娘,畑を踏み荒らした,畑の端を歩いた,父親,妹を追い出す,御主の末娘を妻に,五十銭玉,海鳥,宝物,亡き者,首里,竜糞,木の斧,薪を割らせる,宮古へ帰す,ムティアガラの船,父親よりも上の位を
梗概(こうがい) 昔、ムティアガラという貧乏で一人暮らしのかわいそうな男がいた。岩の下で暮らしていたが、荒地を耕して粟などを作り実らせていた。ある日、御主の3人娘がその畑の近くを歩いていて、上の二人の姉はわざと畑の真ん中を通って踏み荒らし、末の妹は、「貧乏人の粟とはいえ、よく育っているのにその中を歩くのはよくない」と言って、畑の端の方を歩いていた。すると、二人の姉は家に帰ると父親に、「妹はムティアガラを夫にしているから、こんな者を家に置くのはよくない。追い出しなさい」と言う。両親はすぐに妹を追い出す。妹は家を出るとムティアガラの所へ行き、家を追い出されたのでここにおいて、と頼む。すると、ムティアガラは「そんな偉い役人の子供と一緒にいることはできない」と断わる。でも、娘は「家に帰ることはできない」と言う。ムティアガラは「ここには敷物もなければ鍋もない。このようなところに住めるか」と言うと、娘は「大丈夫。自分で鍋も何もかも探してくるから」と言う。ムティアガラは仕方なく御主の末娘を妻にして一緒に暮らすことにした。末娘が近くの浜を歩いていると、昔の五十銭玉がいっぱい広がっているのを見た。それを拾い、ムティアガラに「お金がいっぱい落ちていたので拾ってきた。これで何でも買える」と言う。ムティアガラは「そんなのはいくらでもある。自分はそれを投げ付けて海鳥も取る」と言う。妻は「これは宝物だからそんな使い方はいけない」と言って、それをいっぱい拾ってきて、生活に必要な物を買い揃えた。そのうち、妻の父親の御主はまた、こんな者を婿にしていては恥だから亡き者にしよう、と企んで、「さあ、首里に行くから準備しなさい」と言う。ムティアガラは仕方なく承知して行くことにした。するとその妻が、竜糞を袋ガマに入れてムティアガラの首に掛け、「何か企みがあって、木の斧で薪を割らせるはずfだから、その時は斧の刃にこれを塗り、そしてこれを舐めなさい」と言う。首里の御主のところへ行くと、七日七晩の間、飯を一口も食べさせないで薪を割らされた。でもムティアガラは元気で割り続けた。首里の御主は、「これは人と違う。呼んできなさい」と言って御主の前に呼び出され、「お前がこんなに長いこと何も食べずに元気でいるのは不思議なことだ。その首に掛けている物を見せなさい」と言う。ムティアガラは、妻が持たせてくれたこと、斧の刃に塗ったこと、時々舐めていたことなどを話し、「それで元気でやれて来れた」と言って袋を渡した。御主はその袋を見ながら、「こんな大事な物を持っている人はただの人ではない。殺すことはできない。お前の父親より上の、偉い役を与えて宮古へ帰す。船もムティアガラの船、と飾りを着けて、宝物をいっぱい積んで帰そう。その積もりで準備しなさい」と言う。そして父親を呼び、「この者はただ者ではないから、ムティアガラの船を先にして、お前の船は後になりなさい」と命じた。ムティアガラは、「ムティアガラの船」と書かれた旗をいっぱい掲げ、宝物をいっぱい積んで、沖縄へ行くときはボロだった着物も、絹の着物、袴に代え、父親よりも上の位を貰って宮古に帰っていった。宮古では、妻が浜辺に出て、もうムティアガラは死んだはず、と心配して突っ立ていると、「ムティアガラの船だぞおー」という声が聞こえてきた。行ってみると、本当に妻の自分にも分からないほど立派になって帰って来た。あんなに憎んでいた父親も、「あれが一番」と言って大切にしたそうだ。その娘も御主の妻と光り、ムティアガラも御主の役について一生幸せに暮らしたそうだ。
全体の記録時間数 8:31
物語の時間数 8:21
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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