
昔、ある所に夫婦と男の子の三人暮らしの家があった。男の子がまだ幼かった頃、父親が悪い人に殺された。この悪人は死体を自分の屋敷の片隅に埋めて、知らんかぶりをしていた。何年か経って、死体を埋めた所から木が生え、やがて目の覚めるような美しい花が咲いた。悪人は、世にも珍しい花だと言って、観覧料をとって人々に見せ、その賑わい振りが噂になった。男の子はそれとは知らず花見に行きたいと、母親にせがんだ。母親は事情を知っていたので、子供が花見に行くことを喜ばなかったが、どうしてもとせがむので仕方なく見物にやった。男の子は花が余りにも美しいので、側の人にその名を聞くと、その人は「ニチイの花」と教えてくれた。男の子は父親の名前がニチイであることを知っていたので、急に父親のことを思い出し、思わず泣いてしまった。すると不思議なことに、それまで咲き誇っていたニチイの花が音を立てて散ってしまった。見物人が驚いていると、その悪人が出て来て、男の子を殴ったり蹴ったりして帰した。子供が泣きながら帰って来たので、母親はそれまでのいきさつを懇々と話して聞かせた。男の子は毅然とした態度に立ち返り、父の御霊、天の神に「私たち母子を守ってください」と祈り、必ず成功するから、と叫んだ。悪人はその後、日に日に貧乏になったという。
| レコード番号 | 47O234609 |
|---|---|
| CD番号 | 47O23C240 |
| 決定題名 | ニチイ花の由来(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 佐和田カニ |
| 話者名かな | さわだかに |
| 生年月日 | 19001210 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 伊良部村佐和田 |
| 記録日 | 19760325 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 伊良部T01B02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 隣のおばさんから |
| 文字化資料 | 伊良部郷土誌P234 |
| キーワード | 夫婦と男の子,三人暮らし,父親が悪い人に殺された,死体,屋敷の片隅に埋めた,木,美しい花,世にも珍しい花,観覧料,母親,ニチイの花,父親の名前,父の御霊,天の神 |
| 梗概(こうがい) | 昔、ある所に夫婦と男の子の三人暮らしの家があった。男の子がまだ幼かった頃、父親が悪い人に殺された。この悪人は死体を自分の屋敷の片隅に埋めて、知らんかぶりをしていた。何年か経って、死体を埋めた所から木が生え、やがて目の覚めるような美しい花が咲いた。悪人は、世にも珍しい花だと言って、観覧料をとって人々に見せ、その賑わい振りが噂になった。男の子はそれとは知らず花見に行きたいと、母親にせがんだ。母親は事情を知っていたので、子供が花見に行くことを喜ばなかったが、どうしてもとせがむので仕方なく見物にやった。男の子は花が余りにも美しいので、側の人にその名を聞くと、その人は「ニチイの花」と教えてくれた。男の子は父親の名前がニチイであることを知っていたので、急に父親のことを思い出し、思わず泣いてしまった。すると不思議なことに、それまで咲き誇っていたニチイの花が音を立てて散ってしまった。見物人が驚いていると、その悪人が出て来て、男の子を殴ったり蹴ったりして帰した。子供が泣きながら帰って来たので、母親はそれまでのいきさつを懇々と話して聞かせた。男の子は毅然とした態度に立ち返り、父の御霊、天の神に「私たち母子を守ってください」と祈り、必ず成功するから、と叫んだ。悪人はその後、日に日に貧乏になったという。 |
| 全体の記録時間数 | 3:17 |
| 物語の時間数 | 2:53 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |