
カンチアジャマグーっていう武士の屋敷跡は、名石部落の西のあっちの果てにあるよ。カンチっていうのは、あの畑をカンチというから屋敷の名前じゃないかねえ。またユナチマヤーという武士は前部落の南にユナチ村があったから、そこの人でユナチ村の香炉は今もあったはずよ。この二人の武士同士の争いがあったって。やっぱし昔はどっちか強いのが勝ちだから、ユナチマヤーは妹をカンチアジャマグーに毒酒でも何でも飲まして殺すつもりで嫁入りさせたわけさ。ユナチマヤーの妹はカンチアジャマグーが自分の夫だから殺すこともできないでしょ。だから毒を入れて飲まそうとしたけど、飲まないうちに、「いや、これは飲むな。」ってこんなにしてもう落としてこぼしたって。カンチアジャマグーは、「なんで人が飲んでるのに。」って言ってよ、ユナチマヤーの計画が分かったわけですよ。それで、ユナチマヤーは殺せと言っても命を取りきれないから怒ってよ、「そんなら自分がカンチアジャマグーの命を取る。」と言っていた。そしてある朝、カンチアジャマグーの妻が自分の旦那さんによ、「ねえ、あんた。今日は東に向かって家から出るなよ。」と言うたら、カンチマジャマグーの畑は東部落の道の側にあるから、「なんでよ。自分は東に向かって出るんだ。」「いや、今日の朝はよ、何かがあるはずだから出るな。」と言ってもよ、旦那さんはもう自分の嫁がもう奥さんが言うことを聞かないで出ていったらしい。家から出て東へ向かって出ると同時によ、もうすぐ近くから弓の名人であったユナチマヤーの矢が飛んできてカンチマジャマグーに当たったって。カンチアジャーマグーの妻は、「今日の朝、せっかく出るな言うたのにやられた。」と言って残念がった。また近くにカンチアジャマグーの妾がおったって。妾はアジャマグーが亡くなったと聞いたもんだから、「今日はもうカンチアジャマグーの葬式を見送りする。」とあっちの道の側にマブチ井戸(げー)という井戸のがあるよ。その井戸の高く積まれた石に座って待っておって、夕方になるまで待っても葬式が出てこないから、その妾は諦めてその井戸にこうやって落ちて死んだって。だからその妾は自分の屋敷の所に葬ったって。あの井戸は、今は水を使用しないから今は口も見えないくらい雑木が生えた井戸であったさね。今は御願所にしてあって、富嘉部落なんか豊年祭の神行事の時に水をこっちに持って行って祀っておくんですよ。
| レコード番号 | 47O201337 |
|---|---|
| CD番号 | 47O20C064 |
| 決定題名 | カンチアジャマグーとユナチマヤーの争い(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 金嶺秋 |
| 話者名かな | かなみねあき |
| 生年月日 | 19151110 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡竹富町波照間 |
| 記録日 | 19950911 |
| 記録者の所属組織 | 竹富町口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 竹富町字波照間T20A08 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 武士,妾,井戸 |
| 梗概(こうがい) | カンチアジャマグーっていう武士の屋敷跡は、名石部落の西のあっちの果てにあるよ。カンチっていうのは、あの畑をカンチというから屋敷の名前じゃないかねえ。またユナチマヤーという武士は前部落の南にユナチ村があったから、そこの人でユナチ村の香炉は今もあったはずよ。この二人の武士同士の争いがあったって。やっぱし昔はどっちか強いのが勝ちだから、ユナチマヤーは妹をカンチアジャマグーに毒酒でも何でも飲まして殺すつもりで嫁入りさせたわけさ。ユナチマヤーの妹はカンチアジャマグーが自分の夫だから殺すこともできないでしょ。だから毒を入れて飲まそうとしたけど、飲まないうちに、「いや、これは飲むな。」ってこんなにしてもう落としてこぼしたって。カンチアジャマグーは、「なんで人が飲んでるのに。」って言ってよ、ユナチマヤーの計画が分かったわけですよ。それで、ユナチマヤーは殺せと言っても命を取りきれないから怒ってよ、「そんなら自分がカンチアジャマグーの命を取る。」と言っていた。そしてある朝、カンチアジャマグーの妻が自分の旦那さんによ、「ねえ、あんた。今日は東に向かって家から出るなよ。」と言うたら、カンチマジャマグーの畑は東部落の道の側にあるから、「なんでよ。自分は東に向かって出るんだ。」「いや、今日の朝はよ、何かがあるはずだから出るな。」と言ってもよ、旦那さんはもう自分の嫁がもう奥さんが言うことを聞かないで出ていったらしい。家から出て東へ向かって出ると同時によ、もうすぐ近くから弓の名人であったユナチマヤーの矢が飛んできてカンチマジャマグーに当たったって。カンチアジャーマグーの妻は、「今日の朝、せっかく出るな言うたのにやられた。」と言って残念がった。また近くにカンチアジャマグーの妾がおったって。妾はアジャマグーが亡くなったと聞いたもんだから、「今日はもうカンチアジャマグーの葬式を見送りする。」とあっちの道の側にマブチ井戸(げー)という井戸のがあるよ。その井戸の高く積まれた石に座って待っておって、夕方になるまで待っても葬式が出てこないから、その妾は諦めてその井戸にこうやって落ちて死んだって。だからその妾は自分の屋敷の所に葬ったって。あの井戸は、今は水を使用しないから今は口も見えないくらい雑木が生えた井戸であったさね。今は御願所にしてあって、富嘉部落なんか豊年祭の神行事の時に水をこっちに持って行って祀っておくんですよ。 |
| 全体の記録時間数 | 10:09 |
| 物語の時間数 | 9:47 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |