
昔、竹富家の先祖にとても武芸達人で漁の得意な人がいて、ある日、岩礁のあるところへ漁に出かけたが帰って来ない。遭難して流されて、与那国まで流されたそうだ。流されて寒い中をやっと島にたどり着いたが、この島には人が見えない。無人島だろうかと上陸すると、山の中腹に煙が出ていたので、「ああ、人がいるんだ。」と喜んで、「これはなにがなんでも向こうまで行ってみよう。」と行くと、そこには若い女が一人だけいたと。「もしもし、お前さんはどうしてここに来たのか。」と言ったそうだ。「ああ、俺は魚釣りに出たが、遭難して流れ着いたので、どうにかして命を助けてくれ。」と頼んだそうだ。「ああ、助けたいがここは大変だ。この村には恐ろしい犬がいて、この村の人全員が噛み殺されて、私一人が生き残っているんだよ。」と言ったと。「いや、それでもなんとかして助けてくれ。」と言うと、「いや、どうか犬が来ないうちに早く逃げないと、お前さんは今すぐにでも食い殺されて、あの世へ行ってしまうよ。」と言ったので、「それじゃ。どこから来るのか。」「こんなこんなふうに来る。」と言ったので、その男は木の上に登って侍っていると、その犬が下からやって来て、この人を見て、下からうなり声を出して吠え、上に向かって跳び上がっては降り、跳び上がっては降りたりしていたが、その先祖の男はよいことに槍を持っていたそうで、犬を見て、その場で突き刺し、口の中を槍で突き刺して倒し、そこで、その犬を殺して女の所へ来だそうだ。殺し死なせたので、「殺して来た。」と言って、来たので、その女の人は、「犬でも情があるのに、かわいそうに。しかし死んでしまった。私たち二人は今から夫婦になりましょう。」と犬を殺してから夫婦になったそうだ。夫婦になっていたんだがもう、それから幾年かたつと島に帰りたくなったので、島に帰ってくると、妻子が大変歓迎し喜んでいたと。「ああ、俺はまた与那国に行かなければならない。」と言ったので、「ああ、二度と行かないでくれ。」と妻は頼んだ。「行く。必ず行く。」と。そこで二人は喧嘩になって、「お前さんがもう一度行くなら私は縁を切る。」と言い、「機織りにお前さんの布がたててあるが、しょうがない。」と、その布をたたき切って、それから行かせたそうだ。このようにして行かせたので、小浜と与那国とは仲が悪いと昔から言われているよ。しかし、今はそうではなく親善などもありとてもうまくいっているが、こういう話が今でも残っている。
| レコード番号 | 47O201991 |
|---|---|
| CD番号 | 47O20C106 |
| 決定題名 | 犬聟入(方言) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 桴海勇 |
| 話者名かな | ふかいいさむ |
| 生年月日 | 19041211 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡竹富町小浜 |
| 記録日 | 19760805 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄県口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 竹富町字小浜T27B03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 与那国 |
| 梗概(こうがい) | 昔、竹富家の先祖にとても武芸達人で漁の得意な人がいて、ある日、岩礁のあるところへ漁に出かけたが帰って来ない。遭難して流されて、与那国まで流されたそうだ。流されて寒い中をやっと島にたどり着いたが、この島には人が見えない。無人島だろうかと上陸すると、山の中腹に煙が出ていたので、「ああ、人がいるんだ。」と喜んで、「これはなにがなんでも向こうまで行ってみよう。」と行くと、そこには若い女が一人だけいたと。「もしもし、お前さんはどうしてここに来たのか。」と言ったそうだ。「ああ、俺は魚釣りに出たが、遭難して流れ着いたので、どうにかして命を助けてくれ。」と頼んだそうだ。「ああ、助けたいがここは大変だ。この村には恐ろしい犬がいて、この村の人全員が噛み殺されて、私一人が生き残っているんだよ。」と言ったと。「いや、それでもなんとかして助けてくれ。」と言うと、「いや、どうか犬が来ないうちに早く逃げないと、お前さんは今すぐにでも食い殺されて、あの世へ行ってしまうよ。」と言ったので、「それじゃ。どこから来るのか。」「こんなこんなふうに来る。」と言ったので、その男は木の上に登って侍っていると、その犬が下からやって来て、この人を見て、下からうなり声を出して吠え、上に向かって跳び上がっては降り、跳び上がっては降りたりしていたが、その先祖の男はよいことに槍を持っていたそうで、犬を見て、その場で突き刺し、口の中を槍で突き刺して倒し、そこで、その犬を殺して女の所へ来だそうだ。殺し死なせたので、「殺して来た。」と言って、来たので、その女の人は、「犬でも情があるのに、かわいそうに。しかし死んでしまった。私たち二人は今から夫婦になりましょう。」と犬を殺してから夫婦になったそうだ。夫婦になっていたんだがもう、それから幾年かたつと島に帰りたくなったので、島に帰ってくると、妻子が大変歓迎し喜んでいたと。「ああ、俺はまた与那国に行かなければならない。」と言ったので、「ああ、二度と行かないでくれ。」と妻は頼んだ。「行く。必ず行く。」と。そこで二人は喧嘩になって、「お前さんがもう一度行くなら私は縁を切る。」と言い、「機織りにお前さんの布がたててあるが、しょうがない。」と、その布をたたき切って、それから行かせたそうだ。このようにして行かせたので、小浜と与那国とは仲が悪いと昔から言われているよ。しかし、今はそうではなく親善などもありとてもうまくいっているが、こういう話が今でも残っている。 |
| 全体の記録時間数 | 3:14 |
| 物語の時間数 | 3:00 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |