
ある爺さんが村にはいろんな税金もあるし、穀物の税金があるから山奥に隠れて自分一人で住んでいた。自分一人で生活しているうちに、夕方にきれいな若い女が来た。そして、「お爺さん、宿に私を泊めて下さい。」と立派な女が言うから、「ああ、わしはこんなに野蛮だし、こんな家にはあんたのようなきれいな娘は泊まってはいけない。」と言って、貸さなかった。「いや、軒下でもいいから、どうぞ泊めて下さい。」と、その女が言と、「ああ、それなら泊まって下さい。」と言って、その晩一晩かと思っていたら、その女は二日経っても、三日経っても出て行かなった。そのうちに、「炊事は自分がするから。」と言って、炊事もしているうちに、五日も六日もなると爺さんも欲がついて女にしかけて、とうとう夫婦になったから、「命のある間、 二人でここに住もうなあ。」と言って住んでいるうちに、この爺さんはこの女に惚れて、女の顔ばかり見ていて仕事をしなくなったから、その妻になった女は、「ああ、あんた一人さえ、これまでやっと生活していたのに、今は私まであんたの傍にいるから、あんたは私の食べる分まで作って下さい。」とお願いしたら、爺さんは、「道具がないから田圃を開(あ)けることができない。」と言うので、妻は、「木をこれだけの長さに切って来なさい。」と言って、爺さんが木を切って来ると木で鍬(くわ)を作り、鍬を握る柄の所に女のホウ形を上等に作って、「この鍬の柄に私の形を作ってあんたにやるから、これを掴まえて田圃を耕して、疲れたらこれを見てヒャアヒャアと仕事をしなさい。」と言った。それで、爺さんは田圃を耕していて疲れると鍬の柄を見て、女を思い出し、ヒャアヒャアと仕事をやる。そのうちに山の中の畑に行って粟を作った。山の畑に行く時は妻もいっしょに行くこともあり、爺さんが一人で行くときもあったが、粟の草取りに行くと、爺さんはあんまり妻のことを思っているから、妻の顔ばかり見ていて仕事ができなかった。「ああ、あんたは私のことばかし思うたら仕事ができないから、どっかから板を探して来て下さい。」と爺さんに頼んで、板を探してくると、その板に自分の顔の絵姿を上手に描いて、「これを持って行って畑に行ったら、こっちで仕事をするときは、この絵姿が見えるように、あっちに下げて、絵形を見てヒャアヒャアと仕事をしないさい。」と言った。それから爺さんは、妻の絵形を見て面白く仕事をしていると、急に竜巻が来て絵形を天に飛ばしてしまった。その妻の絵形は大きなお城に落ちた。その絵形をお城の王様が見て、「ああ、こんなきれいな女がこの島にいる。わしはこの女を探す。」と考えて、部下の侍に、「この絵形のようにきれいな女がいたら連れて来い。」と探させたが、どの村をいくら探してもいなかった。王様は、山奥にいるのではないかと考えて、山奥に行くと家(やー)の中に絵形の女がいた。王様は、「あんたのような綺麗な女が、こんな年寄りの妻になって暮らしていてはいけない。あんたはわしの妻になれ。」と言った。「いいえ、私達は離れません。」と妻が言うと、王様は、「この年寄りがいるから、この女がそんなとを言うのだ。」と爺さんを殺し、二人の家来に、「天の川に持って行って捨てて来い。」と言ったので、家来が亡くなった爺さんを天の川へ持って行って投げ捨て、爺さんの妻に、「あんたの爺さんは殺して天の川に捨てたから、お前は私の妻になれ。」と言った。その女は、「爺さんの四十九日の焼香をやった後の五十日目になったら王様の妻になりますから待って下さい。」と言ったので、王様は喜んで、「そんなら結婚式は今日から五十日後にやろう。」と決めて帰って行った。王様は五十日目になるとお祝いの用意をして女を連れに来た。すると女はどこかに隠れてしまった。「多分に山に隠れているだろう。探して来い。」と家来に探させたが、どこにも見つからない。だから、「ははあ、爺さんは天の川に捨てたから天の川に行ったのだろう。」と思って、天の川に見に行った。思ったとおり天の川の岸に女の姿は見えたが、たちまち女は天の川に身を投げた。「ああ、あの女はこんなに頑固なんだなあ。」と見ているうちに、天の川から赤い鴛鴦(おしどり)と白い鴛鴦(おしどり)が出てきて王様の方に飛んできた。王様は、その綺麗な鴛鴦を面白がって「はあ、この鳥見たらきれいだなあ。面白い。」と見ているうちに、二羽の鴛鴦は王様に襲いかかると、王様の目玉を一つずつ取って飛んで行った。それを見ていた二人の家来は、「ああ、わしらが殺したのだから、わしらも目玉を取られる。」とあわてて逃げた。爺さんと女は、その鴛鴦になって二人の思いを契(ちぎ)ったという話だ。
| レコード番号 | 47O201857 |
|---|---|
| CD番号 | 47O20C101 |
| 決定題名 | 絵姿女房(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 大久真徳 |
| 話者名かな | だいくしんとく |
| 生年月日 | 18941018 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡竹富町小浜 |
| 記録日 | 19750808 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄県口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 竹富町字小浜T46A03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 爺さん,絵,王様,天の川,鷺 |
| 梗概(こうがい) | ある爺さんが村にはいろんな税金もあるし、穀物の税金があるから山奥に隠れて自分一人で住んでいた。自分一人で生活しているうちに、夕方にきれいな若い女が来た。そして、「お爺さん、宿に私を泊めて下さい。」と立派な女が言うから、「ああ、わしはこんなに野蛮だし、こんな家にはあんたのようなきれいな娘は泊まってはいけない。」と言って、貸さなかった。「いや、軒下でもいいから、どうぞ泊めて下さい。」と、その女が言と、「ああ、それなら泊まって下さい。」と言って、その晩一晩かと思っていたら、その女は二日経っても、三日経っても出て行かなった。そのうちに、「炊事は自分がするから。」と言って、炊事もしているうちに、五日も六日もなると爺さんも欲がついて女にしかけて、とうとう夫婦になったから、「命のある間、 二人でここに住もうなあ。」と言って住んでいるうちに、この爺さんはこの女に惚れて、女の顔ばかり見ていて仕事をしなくなったから、その妻になった女は、「ああ、あんた一人さえ、これまでやっと生活していたのに、今は私まであんたの傍にいるから、あんたは私の食べる分まで作って下さい。」とお願いしたら、爺さんは、「道具がないから田圃を開(あ)けることができない。」と言うので、妻は、「木をこれだけの長さに切って来なさい。」と言って、爺さんが木を切って来ると木で鍬(くわ)を作り、鍬を握る柄の所に女のホウ形を上等に作って、「この鍬の柄に私の形を作ってあんたにやるから、これを掴まえて田圃を耕して、疲れたらこれを見てヒャアヒャアと仕事をしなさい。」と言った。それで、爺さんは田圃を耕していて疲れると鍬の柄を見て、女を思い出し、ヒャアヒャアと仕事をやる。そのうちに山の中の畑に行って粟を作った。山の畑に行く時は妻もいっしょに行くこともあり、爺さんが一人で行くときもあったが、粟の草取りに行くと、爺さんはあんまり妻のことを思っているから、妻の顔ばかり見ていて仕事ができなかった。「ああ、あんたは私のことばかし思うたら仕事ができないから、どっかから板を探して来て下さい。」と爺さんに頼んで、板を探してくると、その板に自分の顔の絵姿を上手に描いて、「これを持って行って畑に行ったら、こっちで仕事をするときは、この絵姿が見えるように、あっちに下げて、絵形を見てヒャアヒャアと仕事をしないさい。」と言った。それから爺さんは、妻の絵形を見て面白く仕事をしていると、急に竜巻が来て絵形を天に飛ばしてしまった。その妻の絵形は大きなお城に落ちた。その絵形をお城の王様が見て、「ああ、こんなきれいな女がこの島にいる。わしはこの女を探す。」と考えて、部下の侍に、「この絵形のようにきれいな女がいたら連れて来い。」と探させたが、どの村をいくら探してもいなかった。王様は、山奥にいるのではないかと考えて、山奥に行くと家(やー)の中に絵形の女がいた。王様は、「あんたのような綺麗な女が、こんな年寄りの妻になって暮らしていてはいけない。あんたはわしの妻になれ。」と言った。「いいえ、私達は離れません。」と妻が言うと、王様は、「この年寄りがいるから、この女がそんなとを言うのだ。」と爺さんを殺し、二人の家来に、「天の川に持って行って捨てて来い。」と言ったので、家来が亡くなった爺さんを天の川へ持って行って投げ捨て、爺さんの妻に、「あんたの爺さんは殺して天の川に捨てたから、お前は私の妻になれ。」と言った。その女は、「爺さんの四十九日の焼香をやった後の五十日目になったら王様の妻になりますから待って下さい。」と言ったので、王様は喜んで、「そんなら結婚式は今日から五十日後にやろう。」と決めて帰って行った。王様は五十日目になるとお祝いの用意をして女を連れに来た。すると女はどこかに隠れてしまった。「多分に山に隠れているだろう。探して来い。」と家来に探させたが、どこにも見つからない。だから、「ははあ、爺さんは天の川に捨てたから天の川に行ったのだろう。」と思って、天の川に見に行った。思ったとおり天の川の岸に女の姿は見えたが、たちまち女は天の川に身を投げた。「ああ、あの女はこんなに頑固なんだなあ。」と見ているうちに、天の川から赤い鴛鴦(おしどり)と白い鴛鴦(おしどり)が出てきて王様の方に飛んできた。王様は、その綺麗な鴛鴦を面白がって「はあ、この鳥見たらきれいだなあ。面白い。」と見ているうちに、二羽の鴛鴦は王様に襲いかかると、王様の目玉を一つずつ取って飛んで行った。それを見ていた二人の家来は、「ああ、わしらが殺したのだから、わしらも目玉を取られる。」とあわてて逃げた。爺さんと女は、その鴛鴦になって二人の思いを契(ちぎ)ったという話だ。 |
| 全体の記録時間数 | 8:01 |
| 物語の時間数 | 4:48 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |