長間家(なーまやー)屋敷は鳩間島の中森の墓地の後ろでちょと上がっている所があるさ。昔よ、あの長間家(なーまやー)屋敷に住まれた方もおったって。その長間家(なーまやー)は子供が六人もいて食べるのが少ないから、大概あっちこっちの子どもなんかがいる家(うち)を回って食べ物を貰っていたから、長間家(なーまやー)屋敷の子どもなんかが来たらよ、「またよ、長間家(なーまやー)の子どもなんかが来るど。食べているの早く隱せ。」と言われたのも子どもらは聞いているでしょ。別の家(うち)ではまた御飯食べている時に来たらよ、「長間家(なーまやー)の子どもなんかが来ているから。」って、方言ではティビーラというしゃもじですくって御飯を手にやって食べさせる方もいるから、ありがとうと言って、お家(うち)に帰って話をしたでしょ。その子どもなんかが大きくなってからよ、家を作ってお祝いの夜に全部招待してるわけさあね。そのとき、長間家(なーまやー)屋敷のお父さんは、子どもなんかからも、「どこの家の人はよくやってくれてかわいがってくれた。また、どこの家は嫌われた。」と聞いて、分かっていらっしゃるでしょ。だから、そのとき、長間家(なーまやー)の旦那さんは新築の挨拶で、「どこの家(うち)の人はよくやってくれた。」という話をしたって。そのとき、「あらあら隠せ隠せ、長間家(なーまやー)の孫子(まーふぁ)が来たからよ、はやく隠しなさい。」と言っていて、長間家(なーまやー)の子供を嫌っていた家の人なんかは家に帰られたって。その長間家(なーまやー)の家の人があるとき浜に行くと、一人で舟を下ろそうとしている人がいたので、その人が舟を下ろすのを加勢やってあげたって。そしたら、「自分は人間ではないよ。風邪の神だよ。」と言って、その風邪の神が、「夜クヮークヮーと鳴く鳥が来て鳴いたらよ、長間家(なーまやー)の孫子(まーふぁ)どぉって言って、臼を三回鳴らしなさい。」と教えてくれたって。だから、その鳥がクヮークヮーと鳴いてきたら、「長間家(なーまやー)の孫子(まーふぁ)どぉ。」って米を入れてつく臼を三回鳴らすと、風邪をひかなかったそうだ。それから他の家でも夜烏がクヮークヮーと鳴いたら長間家(なーまやー)の真似をして、「長間家(なーまやー)の孫子(まーふぁ)どぉ。」って言って臼を三回鳴らすようになったのさ。
①長間家(なーまやー)屋敷‥‥中森の西に位置し、貝殻などが残っている。②ティビーラ‥‥しゃもじ。
レコード番号 | 47O200605 |
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CD番号 | 47O20C036 |
決定題名 | ナーマ屋由来(共通語) |
話者がつけた題名 | - |
話者名 | 鳩間ヒヤマ |
話者名かな | はとまひやま |
生年月日 | 19061020 |
性別 | 女 |
出身地 | 沖縄県八重山郡竹富町字鳩間 |
記録日 | 19970330 |
記録者の所属組織 | 竹富町口承文芸学術調査団 |
元テープ番号 | 竹富町字鳩間T130A07 |
元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
分類 | 20 |
発句(ほっく) | - |
伝承事情 | - |
文字化資料 | 沖国大国文学科平成9度卒業論文 鳩間島の民話 p32 |
キーワード | 舟,風邪の神,臼 |
梗概(こうがい) | 長間家(なーまやー)屋敷は鳩間島の中森の墓地の後ろでちょと上がっている所があるさ。昔よ、あの長間家(なーまやー)屋敷に住まれた方もおったって。その長間家(なーまやー)は子供が六人もいて食べるのが少ないから、大概あっちこっちの子どもなんかがいる家(うち)を回って食べ物を貰っていたから、長間家(なーまやー)屋敷の子どもなんかが来たらよ、「またよ、長間家(なーまやー)の子どもなんかが来るど。食べているの早く隱せ。」と言われたのも子どもらは聞いているでしょ。別の家(うち)ではまた御飯食べている時に来たらよ、「長間家(なーまやー)の子どもなんかが来ているから。」って、方言ではティビーラというしゃもじですくって御飯を手にやって食べさせる方もいるから、ありがとうと言って、お家(うち)に帰って話をしたでしょ。その子どもなんかが大きくなってからよ、家を作ってお祝いの夜に全部招待してるわけさあね。そのとき、長間家(なーまやー)屋敷のお父さんは、子どもなんかからも、「どこの家の人はよくやってくれてかわいがってくれた。また、どこの家は嫌われた。」と聞いて、分かっていらっしゃるでしょ。だから、そのとき、長間家(なーまやー)の旦那さんは新築の挨拶で、「どこの家(うち)の人はよくやってくれた。」という話をしたって。そのとき、「あらあら隠せ隠せ、長間家(なーまやー)の孫子(まーふぁ)が来たからよ、はやく隠しなさい。」と言っていて、長間家(なーまやー)の子供を嫌っていた家の人なんかは家に帰られたって。その長間家(なーまやー)の家の人があるとき浜に行くと、一人で舟を下ろそうとしている人がいたので、その人が舟を下ろすのを加勢やってあげたって。そしたら、「自分は人間ではないよ。風邪の神だよ。」と言って、その風邪の神が、「夜クヮークヮーと鳴く鳥が来て鳴いたらよ、長間家(なーまやー)の孫子(まーふぁ)どぉって言って、臼を三回鳴らしなさい。」と教えてくれたって。だから、その鳥がクヮークヮーと鳴いてきたら、「長間家(なーまやー)の孫子(まーふぁ)どぉ。」って米を入れてつく臼を三回鳴らすと、風邪をひかなかったそうだ。それから他の家でも夜烏がクヮークヮーと鳴いたら長間家(なーまやー)の真似をして、「長間家(なーまやー)の孫子(まーふぁ)どぉ。」って言って臼を三回鳴らすようになったのさ。 ①長間家(なーまやー)屋敷‥‥中森の西に位置し、貝殻などが残っている。②ティビーラ‥‥しゃもじ。 |
全体の記録時間数 | 4:17 |
物語の時間数 | 4:00 |
言語識別 | 共通語 |
音源の質 | ○ |
テープ番号 | - |
予備項目1 | - |