
これは爺ちゃん婆ちゃん代の暮らしの時代じゃなかったかと思うんだが、昔、東の家の方が金持ちで、西の家の方が貧乏なんだな。金持ちの方は何でも余裕があるからさあね、非常にお正月とかああいった祭りの場合はね、子供たちに食べ物にしても何でも食べさせて、非常に派手にして歩くわけなんですよね。そうしたら西の家はお正月であるのに、普通ならばある程度の作り物も食べ物も用意しなくちゃいかないけれどもさ、貧乏だから食べるものもないからお正月は火を焚いてさ、お湯でも何かあるもんで過ごそうじゃないかっちゅうて火正月(ぴぃそうがち)っちゅうものをしておるわけさあね。そうしたら、大晦日に来るのは当たり前の人間ではないさあね。この者の姿っちゅうものは実際の見すぼらしい姿で来ておるわけさあね。その人が東の方の金持ちの家の方に一応は、「宿をさせてもらえませんか。」と頼んだら、その家では、よそもんがね、そんな姿で来たから怒りもあったでしょうな。何回お願いしても、「今日はね、お正月だから、我々共々に正月は立派にやって年をとって迎えようとしておりますから、今日あなたに宿を貸すことはできません。」と断ったさあね。そういうことであれば仕方がないから、「あそうですか。では、どうもありがとう。」って、そのまま西の貧乏な家に行って爺さん婆さんに、「実は自分もお正月であるのにみなさん方にはね、大変失礼と思うんですけどもね、一夜でもいいから宿を貸していただけませんか。」と話したらしいんすよ。そう頼んだら、「本当はね、宿も貸してあげたいとも思うですけどね、こういうふな見すぼらしい所ですのでよ。あなたさえそれでもいいっちゅうことであればね、どうぞ泊まってください。」と爺さん婆さんは、快くね、泊めてくれると言うから、「ああそうですか。」と泊めてもらうことになったから、そこでの話は、「本当のお正月は食べ物もちゃんとやるのが当たり前だけど、お正月であるのによ、あんたがたはね、何でその食べるものもないのかね。」て言ったら、「実はね、自分たちは貧乏でさ、東の金持ちのようにはねできないですよ。食べるものそんなにない。だから芋とかいったあるものでが過ごしてさ、火を焚いて火正月(ぴぃそうがち)っつうをやって正月をね、迎えようかと思っております。あなたにもあれば飯(めし)あげたいけど、無いんですからね、我慢してさ、一晩だけお休みになって下さいと。」と言ったら、旅の人はその方たちの心を見に来ておるわけですから、「じゃそんならね、鍋と釜をちゃんと準備しておきなさい。」と言うから、「珍しいな。何もないのに鍋、釜をちゃんと用意しっちゅうことはおかしいな。」と思ったが、「まずあの人が言うように、聞いてみましょう。」と火を焚いて鍋、釜にちゃあんと水も入れてさあね、置いたらしい。そうするとよ、その旅の方はさあ、姿が見えなくなってしまったらしいんだよな。おかしいなあと思って蓋を開けてちゃんとみたら、中にいろいろな物凄い御馳走がさ、食べられるようにね、ちゃんと炊かれておるらしいんだよ。そうしたら、何かしらんけれども、着けるものもね、派手なような着物になってさあ、それを着てこうちゃんとして。東の方の家によ、年頭の挨拶に行ったらしい。そうすっとね、「今までの生活とうってかわってさあ、あんた方はねえ、なんでそんなにねきれいな姿をして珍しいんじゃないか。」って聞くからね、「実はね、旅の方が宿を貸してくれっちゅうことで来られたのでよ、我々もね、いや見苦しい所でありはしますけれどもね、あんたがここでもよければとお泊めしましたらですね、自分たち着物もちゃあんと置かれて、鍋にもいろんな御馳走がね、ちゃあんと炊かれて置いてあった。それが珍しいんですよ。」って言ったらですよ、東の家の方もね、「ああそうすると、自分の家にも来ておられた方だなあ。」と思っていると、東の家の家族は、犬と猫になって、犬は外の番。猫は家(やあ)の番っちゅうふうになったちゅうことがあるんですよね。
| レコード番号 | 47O200557 |
|---|---|
| CD番号 | 47O20C033 |
| 決定題名 | 大歳の客(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 鳩間昭一 |
| 話者名かな | はとましょういち |
| 生年月日 | 19240514 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡竹富町鳩間 |
| 記録日 | 19960915 |
| 記録者の所属組織 | 竹富町口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 竹富町字鳩間T121B4 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 沖国大国文学科平成9度卒業論文 鳩間島の民話 p56 |
| キーワード | 犬,猫 |
| 梗概(こうがい) | これは爺ちゃん婆ちゃん代の暮らしの時代じゃなかったかと思うんだが、昔、東の家の方が金持ちで、西の家の方が貧乏なんだな。金持ちの方は何でも余裕があるからさあね、非常にお正月とかああいった祭りの場合はね、子供たちに食べ物にしても何でも食べさせて、非常に派手にして歩くわけなんですよね。そうしたら西の家はお正月であるのに、普通ならばある程度の作り物も食べ物も用意しなくちゃいかないけれどもさ、貧乏だから食べるものもないからお正月は火を焚いてさ、お湯でも何かあるもんで過ごそうじゃないかっちゅうて火正月(ぴぃそうがち)っちゅうものをしておるわけさあね。そうしたら、大晦日に来るのは当たり前の人間ではないさあね。この者の姿っちゅうものは実際の見すぼらしい姿で来ておるわけさあね。その人が東の方の金持ちの家の方に一応は、「宿をさせてもらえませんか。」と頼んだら、その家では、よそもんがね、そんな姿で来たから怒りもあったでしょうな。何回お願いしても、「今日はね、お正月だから、我々共々に正月は立派にやって年をとって迎えようとしておりますから、今日あなたに宿を貸すことはできません。」と断ったさあね。そういうことであれば仕方がないから、「あそうですか。では、どうもありがとう。」って、そのまま西の貧乏な家に行って爺さん婆さんに、「実は自分もお正月であるのにみなさん方にはね、大変失礼と思うんですけどもね、一夜でもいいから宿を貸していただけませんか。」と話したらしいんすよ。そう頼んだら、「本当はね、宿も貸してあげたいとも思うですけどね、こういうふな見すぼらしい所ですのでよ。あなたさえそれでもいいっちゅうことであればね、どうぞ泊まってください。」と爺さん婆さんは、快くね、泊めてくれると言うから、「ああそうですか。」と泊めてもらうことになったから、そこでの話は、「本当のお正月は食べ物もちゃんとやるのが当たり前だけど、お正月であるのによ、あんたがたはね、何でその食べるものもないのかね。」て言ったら、「実はね、自分たちは貧乏でさ、東の金持ちのようにはねできないですよ。食べるものそんなにない。だから芋とかいったあるものでが過ごしてさ、火を焚いて火正月(ぴぃそうがち)っつうをやって正月をね、迎えようかと思っております。あなたにもあれば飯(めし)あげたいけど、無いんですからね、我慢してさ、一晩だけお休みになって下さいと。」と言ったら、旅の人はその方たちの心を見に来ておるわけですから、「じゃそんならね、鍋と釜をちゃんと準備しておきなさい。」と言うから、「珍しいな。何もないのに鍋、釜をちゃんと用意しっちゅうことはおかしいな。」と思ったが、「まずあの人が言うように、聞いてみましょう。」と火を焚いて鍋、釜にちゃあんと水も入れてさあね、置いたらしい。そうするとよ、その旅の方はさあ、姿が見えなくなってしまったらしいんだよな。おかしいなあと思って蓋を開けてちゃんとみたら、中にいろいろな物凄い御馳走がさ、食べられるようにね、ちゃんと炊かれておるらしいんだよ。そうしたら、何かしらんけれども、着けるものもね、派手なような着物になってさあ、それを着てこうちゃんとして。東の方の家によ、年頭の挨拶に行ったらしい。そうすっとね、「今までの生活とうってかわってさあ、あんた方はねえ、なんでそんなにねきれいな姿をして珍しいんじゃないか。」って聞くからね、「実はね、旅の方が宿を貸してくれっちゅうことで来られたのでよ、我々もね、いや見苦しい所でありはしますけれどもね、あんたがここでもよければとお泊めしましたらですね、自分たち着物もちゃあんと置かれて、鍋にもいろんな御馳走がね、ちゃあんと炊かれて置いてあった。それが珍しいんですよ。」って言ったらですよ、東の家の方もね、「ああそうすると、自分の家にも来ておられた方だなあ。」と思っていると、東の家の家族は、犬と猫になって、犬は外の番。猫は家(やあ)の番っちゅうふうになったちゅうことがあるんですよね。 |
| 全体の記録時間数 | 9:09 |
| 物語の時間数 | 8:45 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |