
昔、天から降りた女の人がある川で水を浴びようとして、着物を天から着てきた天に飛ぶ着物をどいて置
いて水浴びてくるうちに、ある男が来て、飛ぶ着物は飛ばれないように隠しておいてね、「それじゃ、二人
は踊りして遊ぼう。」ということで、遊びになったら、天から降りた女の人は、もうあの着物がないので飛
ぶこと出来ないし、 もうあの着物はどうしても探せない、米倉の稲の下に保管しておいて、その男は、い
つまでも知らんと言うておるから、女の人はなかなかどこにあると分からんさ。そうして分からないんでお
るうちに、その男との間にね、二人の子供が出来るよ。その子供が出来たから、子供をおんぶさせようとし
て、子守を雇うてきたところが、その子守がね、子守歌で、「お母さんの着物は、この米倉の稲の下にある
。」と言うて知らせたのでね、天の女の人は、自分の飛び着物取り出してね、そのまま着けて、また一番下
の子供は、脇に抱っこし、もう一人は素手に入れてね、一羽あおうて上がれば松木に飛び掛かってね、二羽
上げれば天の中ら、三羽(みーはね)上げたところが天知らずと言って、天の人は、向こうまで行くという
そんなお話があるんですよ。しかしあれに歌もあるさ。
あれとまた違った話でね、沖縄のことだね。やはり天から下りた女の人が飛ばれなくなってね、子供を産
んであったところが、子供はまず女の子供が一人、それからカミジューという男の子供が一人産んであった
さ。そうしてあったところが男の子供のカミジューはとっても働きも上手でね、何もかも上手でもう働いて
、自分の働いてきたのは自分が食べようともしないで、貧しい者にみんなくれたそうですよ。
そうしておるうちに、妻も連れなければならないという年頃までなってきたさ。そしたところがこのカミ
ジューは、沖縄には按司という人がいらっしゃったんですから、ある按司の一人妹を自分の妻にもらいたい
という希望でね、向こうの按司の家に行って、そうしたら按司の家といったら門番もおるしね、なかなかた
だで入られんけれども、そのカミジューは、着物も立派な着物着けないで、悪い着物着けて行ったから、門
番はどこの乞食かと思っておるのに、門番のところに来て、「私は按司様との用事ですから、僕をこっちに
通してくれ。」と言う。「いや、通さない。それじゃあまず按司に伺ってみよう。」と伺ったところが、「
そうまでであるなら、まず通せ。来るようにやれ。」と門番に言ったから、門番も許してやったから、カミ
ジュー家に入って来て、按司加那志に会ってね、「あんたの娘の子を私の嫁に下さい。」と言ってこういう
話が出たそうですね。「ああ、もうどこの乞食かあんなものが来て、自分の子を嫁にくれとなんかいうのは
これはもったいないことだが。」と言ったが、自分の娘を呼んだらしい。呼んでから、娘に、「あんたこの
人の妻に行くか。」と言ったら、そうすると、この娘は、「あたしの夢見たところが、あなたを自分の妻にくれと言って来る人と結婚しなさいとという夢を見た。」と言うから、もう按司加那志も仕方なくそのカミジューに娘をくれたらしいね。そして、カミジューは、娘をもらって行ってね、もう自分の家に連れて行っくことになってから、「どんな家かまず行ってみてみよう。」と、按司は、そのまたくれた娘と一緒に、カミジューの家に行って見たら、もうやなー潰れた家(や)ぐわぁーで、小さいあばら屋であったらしい。「こういうあばら屋にも人間が住めるのか。」と按司が言ったら、「御主加那志(うしゅんがなしー)はあばら屋と思っていらっしゃるけれども私は、もうあなたの家よりいい家だと思ってがここに住まっているよ。」という話をしたらしいいね。そして按司が家に入って、その家の台所で煮ておったけど、台所の御飯炊く竈よ。あの竈に金が沢山入っておったらしい。「この竈の土は、どこから持ってきてこの竈を作ったか。」と言ったら、「自分が畑から持ってきた。」「これは珍しいね。それじゃ、あんたのは、この竈を取って金を出したら、これで一生は食べても終われるほどの金が入っておる。」ということで按司が言うたから、カミジューは、「これ金か。私の畑に大きな洞穴があるけれども、あれの中には、こんな物が沢山あるよ。」と話したらしいね。「それじゃ、向こうまで行ってみよう。」と戻ってきて、洞穴を見たら、黄金がもう大変とあったさ。そして、このカミジュー家は富豪家になってね、またカミジューは、人のために若いときか
らちゃんとやってきたところが、後はあれが、御主加那志(うしゅんがなしー)になったそうです。 カミジューが御主加那志(うしゅんがなしー)になったといって、ある夏の日のこと、自分のお父さんとあの姉さんの住んでいる山道を通ってきたらしいね。来たところが、首里城の王様、御主加那志(うしゅんがなしー)が、こちらから来るからと言って、前払いとしてもう道掃除やる人が来て、「あんたら向こうより、御主加那志(うしゅんがなしー)がいらっしゃるけれども、見ないで頭を下げていなさい。首なんた上たりしたら大変よ。」と、前払い、道払いする人が話したから、カミジューの姉さんは、「絶対私は、私が首なんか伸ばさんでよ。こうしてから見る。」というようなことで、お父さんと姉さんは、家に座っておったところが、向こうから来るのが、自分の弟のカミジューだから、「うちの、カミジューだよ。」と言うたらしいね。そしたところが、お父さんは、「何お前、御主加那志(うしゅんがなしー)をうちのカミジューと言って、それは何という言葉か。」と言うと叱り付けていたら、それでも、姉さんは、「自分のカミジューだのに。」と言うて、言うたところが、本当にカミジューが御主加那志(うしゅんがなしー)までなってね、もう巡回しているところだったのさ。だから、奥さんも連れて、二人で車に乗って来たけれども、お父さんと姉さんを見てね、自分の親だから、下りたらしい。下りて姉さんとまた自分のお父さんとは自分らが乗ってきた車に乗せて、自分らは歩いて行ったと言って昔までは狂言でしてました。これは、芝居で見たことがある。
・按司‥‥沖縄本島の各地で勢力をはっていた支配者のこと。大名に相当する位階。もとは地方の豪族であったが、尚真王時代(一四七七~一五二六)に首里に移住させられて一間切りを領する身分となった。・御主加那志前(うしゅんがなしー)‥‥琉球国王のこと。
| レコード番号 | 47O200184 |
|---|---|
| CD番号 | 47O20C011 |
| 決定題名 | 天人女房(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 大山功 |
| 話者名かな | おおさんこう |
| 生年月日 | 18921025 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡竹富町字竹富 |
| 記録日 | 19750807 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 竹富町字竹富T41B4 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 沖国大国文学科平成8度卒業論文 竹富島の民話 p70 |
| キーワード | 川,飛ぶ着物,子守歌,米倉,カミジュー,按司,金,御主加那志 |
| 梗概(こうがい) | 昔、天から降りた女の人がある川で水を浴びようとして、着物を天から着てきた天に飛ぶ着物をどいて置 いて水浴びてくるうちに、ある男が来て、飛ぶ着物は飛ばれないように隠しておいてね、「それじゃ、二人 は踊りして遊ぼう。」ということで、遊びになったら、天から降りた女の人は、もうあの着物がないので飛 ぶこと出来ないし、 もうあの着物はどうしても探せない、米倉の稲の下に保管しておいて、その男は、い つまでも知らんと言うておるから、女の人はなかなかどこにあると分からんさ。そうして分からないんでお るうちに、その男との間にね、二人の子供が出来るよ。その子供が出来たから、子供をおんぶさせようとし て、子守を雇うてきたところが、その子守がね、子守歌で、「お母さんの着物は、この米倉の稲の下にある 。」と言うて知らせたのでね、天の女の人は、自分の飛び着物取り出してね、そのまま着けて、また一番下 の子供は、脇に抱っこし、もう一人は素手に入れてね、一羽あおうて上がれば松木に飛び掛かってね、二羽 上げれば天の中ら、三羽(みーはね)上げたところが天知らずと言って、天の人は、向こうまで行くという そんなお話があるんですよ。しかしあれに歌もあるさ。 あれとまた違った話でね、沖縄のことだね。やはり天から下りた女の人が飛ばれなくなってね、子供を産 んであったところが、子供はまず女の子供が一人、それからカミジューという男の子供が一人産んであった さ。そうしてあったところが男の子供のカミジューはとっても働きも上手でね、何もかも上手でもう働いて 、自分の働いてきたのは自分が食べようともしないで、貧しい者にみんなくれたそうですよ。 そうしておるうちに、妻も連れなければならないという年頃までなってきたさ。そしたところがこのカミ ジューは、沖縄には按司という人がいらっしゃったんですから、ある按司の一人妹を自分の妻にもらいたい という希望でね、向こうの按司の家に行って、そうしたら按司の家といったら門番もおるしね、なかなかた だで入られんけれども、そのカミジューは、着物も立派な着物着けないで、悪い着物着けて行ったから、門 番はどこの乞食かと思っておるのに、門番のところに来て、「私は按司様との用事ですから、僕をこっちに 通してくれ。」と言う。「いや、通さない。それじゃあまず按司に伺ってみよう。」と伺ったところが、「 そうまでであるなら、まず通せ。来るようにやれ。」と門番に言ったから、門番も許してやったから、カミ ジュー家に入って来て、按司加那志に会ってね、「あんたの娘の子を私の嫁に下さい。」と言ってこういう 話が出たそうですね。「ああ、もうどこの乞食かあんなものが来て、自分の子を嫁にくれとなんかいうのは これはもったいないことだが。」と言ったが、自分の娘を呼んだらしい。呼んでから、娘に、「あんたこの 人の妻に行くか。」と言ったら、そうすると、この娘は、「あたしの夢見たところが、あなたを自分の妻にくれと言って来る人と結婚しなさいとという夢を見た。」と言うから、もう按司加那志も仕方なくそのカミジューに娘をくれたらしいね。そして、カミジューは、娘をもらって行ってね、もう自分の家に連れて行っくことになってから、「どんな家かまず行ってみてみよう。」と、按司は、そのまたくれた娘と一緒に、カミジューの家に行って見たら、もうやなー潰れた家(や)ぐわぁーで、小さいあばら屋であったらしい。「こういうあばら屋にも人間が住めるのか。」と按司が言ったら、「御主加那志(うしゅんがなしー)はあばら屋と思っていらっしゃるけれども私は、もうあなたの家よりいい家だと思ってがここに住まっているよ。」という話をしたらしいいね。そして按司が家に入って、その家の台所で煮ておったけど、台所の御飯炊く竈よ。あの竈に金が沢山入っておったらしい。「この竈の土は、どこから持ってきてこの竈を作ったか。」と言ったら、「自分が畑から持ってきた。」「これは珍しいね。それじゃ、あんたのは、この竈を取って金を出したら、これで一生は食べても終われるほどの金が入っておる。」ということで按司が言うたから、カミジューは、「これ金か。私の畑に大きな洞穴があるけれども、あれの中には、こんな物が沢山あるよ。」と話したらしいね。「それじゃ、向こうまで行ってみよう。」と戻ってきて、洞穴を見たら、黄金がもう大変とあったさ。そして、このカミジュー家は富豪家になってね、またカミジューは、人のために若いときか らちゃんとやってきたところが、後はあれが、御主加那志(うしゅんがなしー)になったそうです。 カミジューが御主加那志(うしゅんがなしー)になったといって、ある夏の日のこと、自分のお父さんとあの姉さんの住んでいる山道を通ってきたらしいね。来たところが、首里城の王様、御主加那志(うしゅんがなしー)が、こちらから来るからと言って、前払いとしてもう道掃除やる人が来て、「あんたら向こうより、御主加那志(うしゅんがなしー)がいらっしゃるけれども、見ないで頭を下げていなさい。首なんた上たりしたら大変よ。」と、前払い、道払いする人が話したから、カミジューの姉さんは、「絶対私は、私が首なんか伸ばさんでよ。こうしてから見る。」というようなことで、お父さんと姉さんは、家に座っておったところが、向こうから来るのが、自分の弟のカミジューだから、「うちの、カミジューだよ。」と言うたらしいね。そしたところが、お父さんは、「何お前、御主加那志(うしゅんがなしー)をうちのカミジューと言って、それは何という言葉か。」と言うと叱り付けていたら、それでも、姉さんは、「自分のカミジューだのに。」と言うて、言うたところが、本当にカミジューが御主加那志(うしゅんがなしー)までなってね、もう巡回しているところだったのさ。だから、奥さんも連れて、二人で車に乗って来たけれども、お父さんと姉さんを見てね、自分の親だから、下りたらしい。下りて姉さんとまた自分のお父さんとは自分らが乗ってきた車に乗せて、自分らは歩いて行ったと言って昔までは狂言でしてました。これは、芝居で見たことがある。 ・按司‥‥沖縄本島の各地で勢力をはっていた支配者のこと。大名に相当する位階。もとは地方の豪族であったが、尚真王時代(一四七七~一五二六)に首里に移住させられて一間切りを領する身分となった。・御主加那志前(うしゅんがなしー)‥‥琉球国王のこと。 |
| 全体の記録時間数 | 11:45 |
| 物語の時間数 | 11:21 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |