動物が言葉を話さない理由(方言)

概要

昔、天から神様が降りて来て人間を作った。神様は人間をたいそうかわいがったが、人間は朝寝坊だった。神様は、人間の朝寝坊を何とか直してやろうと思って、青鳩(あおばと)、青鷺(あおさぎ)、鶏(にわとり)を連れて来て、「お前たちがきれいに鳴いたら、大切にしてやろう。鳴いてみなさい。」と言って、まず青鳩に鳴かせると、青鳩は寂(さみ)しい声でオーオオ、オー、ウオータトー、ウオーオオ、ウオーオオ、オーオオ、ウオーオオー、ウオー、ウオーと鳴いた。その声を聞いた神様は、「ああ、お前の鳴き声は、寂し過ぎて役に立たない。これでは、人間が悲しくなって泣いてしまう。」と灰を青鳩の目にすりつけたので、青鳩は目がはれて赤くなり、昼間は目が見えなくなった。だから青鳩は朝と夕方の時だけ食べ物を探して食べて苦労している。次に青鷺に鳴かせると、すごく大きな声でグワア、グワアと鳴いた。「そんな声では眠っている子供まで驚いてみな起きてしまう。休んでいるお年寄りもびっくりするだろう。お前の鳴き声もだめだ。」と青鷺の首を引っ張ったので、青鷺の首は長くなった。その後で鶏を鳴かせた。鶏は、気持ちのいい声で上手(じょうず)に鳴いた。「お前の声はとてもいい。お前は早く寝て、朝の三時に起きなさい。そのときは夜が明けますよと鳴きなさい。二回目は四時ごろになったら、早くご飯食(はんた)べよ。早くご飯食べよ鳴き、三回目は五時になったら、早く畑へ出なさい。早く畑へ出なさいと鳴きなさい。」と言った。それから人間は一回目の鶏の鳴き声で起きてご飯を炊き、二回目の鳴き声でご飯を食べ、三回目の鳴き声で畑へ行くようになった。こうして人間は毎日朝早く起きて畑で一生懸命働くようになったが、人間は身体が小さくて、重い物を持つのが大変なので、牛と馬に人間の手伝いをさせることにした。まず、牛に言った。「お前は人間の手伝いをしない。」と言うと、牛は、鋭(するど)い歯を剥(む)き出しにして、「あなたはあきれた方だ。俺(おれ)は牛だ。あんな小さくて弱い人間なんかこの歯で食ってしまうよ。」と言った。神様は、牛の八本の前歯をポンと折って、「そうか、これでも人間を食うか。人間を手伝わなかったら、残った二本の歯も折ってしまうぞ。」と言った。牛は残った二本の歯までなくなったら、物も食えず死んでしまうから、「はい、使われます。」と言った。それから、牛は人間に使われるようになった。今度は、馬を連れて来て言った。「お前は人を乗せ、荷物もお前が運べ。」と言うと、そのころの馬には立派な角があったので、「ああ、たかが人間に使われるくらいなら、俺は人間をこの角で突き殺してやる。」と言った。神様はすぐに馬の角を折って捨てた。それから、馬には角がなくなった。「どうだ、人間を手伝うか。」と言うと、馬は、「角がなくなっても、この足で人間を蹴(け)ってやる。」と言うから、「お前が蹴るなら、その足を鉈(なた)で切ってやる。」と足の後ろを鉈で叩いた。馬の足には今もその傷跡が蹄(ひずめ)の上に残っている。「どうだい。これでも人間を乗せないなら、足を全部切るぞ。」と言ったので、馬はびっくりして、「足を切られたら歩けなくて死んでしまう。切られるぐらいなら人間を手伝う。」と言った。それから、人間は牛と馬に手伝ってもらったので、身体が楽になった。ところが、そのころは、牛も馬も言葉を話したので、ずる休みをしようと思って、「ああ、今日は疲れたから、このぐらいで休ませてくれ。」と言ったり、何でもないときでも、「お腹が痛い。頭も痛い。」と言うので、牛や馬に手伝ってもらうのが難しかった。そこで、神様は牛と馬から言葉を取り上げたので、それからは馬と牛は言葉を話さなくなった。

再生時間:5:12

民話詳細DATA

レコード番号 47O200076
CD番号 47O20C005
決定題名 動物が言葉を話さない理由(方言)
話者がつけた題名
話者名 大久真徳
話者名かな だいくしんとく
生年月日 18941018
性別
出身地 沖縄県八重山郡竹富町字小浜
記録日 19750808
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 竹富町字竹富T39B6
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 11
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 青鳩,鷺,鶏,牛,馬
梗概(こうがい) 昔、天から神様が降りて来て人間を作った。神様は人間をたいそうかわいがったが、人間は朝寝坊だった。神様は、人間の朝寝坊を何とか直してやろうと思って、青鳩(あおばと)、青鷺(あおさぎ)、鶏(にわとり)を連れて来て、「お前たちがきれいに鳴いたら、大切にしてやろう。鳴いてみなさい。」と言って、まず青鳩に鳴かせると、青鳩は寂(さみ)しい声でオーオオ、オー、ウオータトー、ウオーオオ、ウオーオオ、オーオオ、ウオーオオー、ウオー、ウオーと鳴いた。その声を聞いた神様は、「ああ、お前の鳴き声は、寂し過ぎて役に立たない。これでは、人間が悲しくなって泣いてしまう。」と灰を青鳩の目にすりつけたので、青鳩は目がはれて赤くなり、昼間は目が見えなくなった。だから青鳩は朝と夕方の時だけ食べ物を探して食べて苦労している。次に青鷺に鳴かせると、すごく大きな声でグワア、グワアと鳴いた。「そんな声では眠っている子供まで驚いてみな起きてしまう。休んでいるお年寄りもびっくりするだろう。お前の鳴き声もだめだ。」と青鷺の首を引っ張ったので、青鷺の首は長くなった。その後で鶏を鳴かせた。鶏は、気持ちのいい声で上手(じょうず)に鳴いた。「お前の声はとてもいい。お前は早く寝て、朝の三時に起きなさい。そのときは夜が明けますよと鳴きなさい。二回目は四時ごろになったら、早くご飯食(はんた)べよ。早くご飯食べよ鳴き、三回目は五時になったら、早く畑へ出なさい。早く畑へ出なさいと鳴きなさい。」と言った。それから人間は一回目の鶏の鳴き声で起きてご飯を炊き、二回目の鳴き声でご飯を食べ、三回目の鳴き声で畑へ行くようになった。こうして人間は毎日朝早く起きて畑で一生懸命働くようになったが、人間は身体が小さくて、重い物を持つのが大変なので、牛と馬に人間の手伝いをさせることにした。まず、牛に言った。「お前は人間の手伝いをしない。」と言うと、牛は、鋭(するど)い歯を剥(む)き出しにして、「あなたはあきれた方だ。俺(おれ)は牛だ。あんな小さくて弱い人間なんかこの歯で食ってしまうよ。」と言った。神様は、牛の八本の前歯をポンと折って、「そうか、これでも人間を食うか。人間を手伝わなかったら、残った二本の歯も折ってしまうぞ。」と言った。牛は残った二本の歯までなくなったら、物も食えず死んでしまうから、「はい、使われます。」と言った。それから、牛は人間に使われるようになった。今度は、馬を連れて来て言った。「お前は人を乗せ、荷物もお前が運べ。」と言うと、そのころの馬には立派な角があったので、「ああ、たかが人間に使われるくらいなら、俺は人間をこの角で突き殺してやる。」と言った。神様はすぐに馬の角を折って捨てた。それから、馬には角がなくなった。「どうだ、人間を手伝うか。」と言うと、馬は、「角がなくなっても、この足で人間を蹴(け)ってやる。」と言うから、「お前が蹴るなら、その足を鉈(なた)で切ってやる。」と足の後ろを鉈で叩いた。馬の足には今もその傷跡が蹄(ひずめ)の上に残っている。「どうだい。これでも人間を乗せないなら、足を全部切るぞ。」と言ったので、馬はびっくりして、「足を切られたら歩けなくて死んでしまう。切られるぐらいなら人間を手伝う。」と言った。それから、人間は牛と馬に手伝ってもらったので、身体が楽になった。ところが、そのころは、牛も馬も言葉を話したので、ずる休みをしようと思って、「ああ、今日は疲れたから、このぐらいで休ませてくれ。」と言ったり、何でもないときでも、「お腹が痛い。頭も痛い。」と言うので、牛や馬に手伝ってもらうのが難しかった。そこで、神様は牛と馬から言葉を取り上げたので、それからは馬と牛は言葉を話さなくなった。
全体の記録時間数 6:04
物語の時間数 5:12
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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