猿の生肝(方言)

概要

 昔、子供時代に祖父さんたちから聞きました話を申し上げます。昔、昔、龍宮の神様が病気で、この龍宮ではこのミーバイという魚が医者であって、その医者が、「あなたの病気は、猿の心臓を取ってきて飲まなければ、なおらない。」というように診察して言われたもんですから、その龍宮の神は、みんな集めて、「それじゃ、猿というのは陸のものでありますけれども、誰が行って、この猿の心臓を取りきれるか。」といったようなことを言ったら、「亀(かみ)はやはり、海のものでありますけれども、これはもう陸にも行ったり、こうしてやっておるからそれじゃ、亀に頼んで亀を使おう。」ということで、亀を使ったのであります。すると、亀は幸い行って、陸に上がって、「龍宮の神様が病気で、必ずあなたを面会したいと言っているから、ですから面会されるように。」ということで、相談してから、猿を承諾させて、こうして、海の龍宮の神のところに連れて行く途中で、蛸が来られて、片側で言うのが、「あい、猿は気の毒だ。これは騙されとるんだ。これは龍宮の神様が病気で、是非この猿の心臓を取って来なければ龍宮の神様の病気は治らん。そういった診察されたので、わざわざこの心臓を取るためにこうして、龍宮に連れて行くけれども、それは分からんからこうして行くんだ。」という話を蛸が言うたから、猿が聞いて、猿はまたそれだけやはり利口なもんですから、「いやあ、私の心臓は、取って家に木の枝にがもう下げてあった。ああすぐそうであるということを聞かせば、私は行かんでもすぐ取って持たしてやるのに。」ということを言っているから、「はいはい、それじゃあ、戻ってくれ。それじゃあ、取ってすぐ持たそう。」と言うから、それで、また島に帰ったら、もう猿は亀をとうとう家まで連れてきて、大きい棒で叩いたり、ハンマーで叩いたりされたから、亀の甲羅は立派ななんであったけれども、猿に叩かれて、今のように割れ目を持って、また、亀は歩くものも早かったけれども、それから、もう足みたような物もこうして傍らからこっちにもこっちにも四つ出るだけになって、亀はもうとうとうもう歩くのも遅くなって、やっともう命だけは残して、龍宮に帰って来て、「こういうことであった。」ということを話したので、「誰がそういう事を言うた。」と言われて、「連れてくるうちに、蛸がそんなことを途中で言うたから、猿は、その話を聞いて、戻せと言って、こういう事になった。」ということを言われたので、「うん、それじゃあ、この蛸を連れてこい。」と連れて来られると、蛸は昔は、骨もあり、ちょうど魚みたような立派なもんであったけれども、もうそのことを猿にもらした関係で、みんなが集まって来てもう叩いたり突いたりしたところが、骨は全部外に出て、肉はもう裂け、こっちもあっちももう八つぐらいに分かれる。そういうことで今のような姿になった。そのとき、また、アバサという今は、この体いっぱいに骨持っとる魚がおるさあね、あれはまたこの蛸とは、仲が良いので、「ああ残念だ。こういうこと言うてこんな叩かれて、大変だ大変だ。」て、もう全部あれの骨をね、集めておるって。それがアバサ針になったそうだ。

再生時間:5:59

民話詳細DATA

レコード番号 47O200023
CD番号 47O20C002
決定題名 猿の生肝(方言)
話者がつけた題名
話者名 前野長用
話者名かな まえのちょうよう
生年月日 18920405
性別
出身地 沖縄県八重山郡竹富町字竹富
記録日 19760805
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 竹富町字竹富T32A04
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 11
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 沖国大国文学科平成8年度卒業論文 竹富島の民話 p104
キーワード 龍宮の神様,ミーバイ,亀,甲羅,蛸,アバサ
梗概(こうがい)  昔、子供時代に祖父さんたちから聞きました話を申し上げます。昔、昔、龍宮の神様が病気で、この龍宮ではこのミーバイという魚が医者であって、その医者が、「あなたの病気は、猿の心臓を取ってきて飲まなければ、なおらない。」というように診察して言われたもんですから、その龍宮の神は、みんな集めて、「それじゃ、猿というのは陸のものでありますけれども、誰が行って、この猿の心臓を取りきれるか。」といったようなことを言ったら、「亀(かみ)はやはり、海のものでありますけれども、これはもう陸にも行ったり、こうしてやっておるからそれじゃ、亀に頼んで亀を使おう。」ということで、亀を使ったのであります。すると、亀は幸い行って、陸に上がって、「龍宮の神様が病気で、必ずあなたを面会したいと言っているから、ですから面会されるように。」ということで、相談してから、猿を承諾させて、こうして、海の龍宮の神のところに連れて行く途中で、蛸が来られて、片側で言うのが、「あい、猿は気の毒だ。これは騙されとるんだ。これは龍宮の神様が病気で、是非この猿の心臓を取って来なければ龍宮の神様の病気は治らん。そういった診察されたので、わざわざこの心臓を取るためにこうして、龍宮に連れて行くけれども、それは分からんからこうして行くんだ。」という話を蛸が言うたから、猿が聞いて、猿はまたそれだけやはり利口なもんですから、「いやあ、私の心臓は、取って家に木の枝にがもう下げてあった。ああすぐそうであるということを聞かせば、私は行かんでもすぐ取って持たしてやるのに。」ということを言っているから、「はいはい、それじゃあ、戻ってくれ。それじゃあ、取ってすぐ持たそう。」と言うから、それで、また島に帰ったら、もう猿は亀をとうとう家まで連れてきて、大きい棒で叩いたり、ハンマーで叩いたりされたから、亀の甲羅は立派ななんであったけれども、猿に叩かれて、今のように割れ目を持って、また、亀は歩くものも早かったけれども、それから、もう足みたような物もこうして傍らからこっちにもこっちにも四つ出るだけになって、亀はもうとうとうもう歩くのも遅くなって、やっともう命だけは残して、龍宮に帰って来て、「こういうことであった。」ということを話したので、「誰がそういう事を言うた。」と言われて、「連れてくるうちに、蛸がそんなことを途中で言うたから、猿は、その話を聞いて、戻せと言って、こういう事になった。」ということを言われたので、「うん、それじゃあ、この蛸を連れてこい。」と連れて来られると、蛸は昔は、骨もあり、ちょうど魚みたような立派なもんであったけれども、もうそのことを猿にもらした関係で、みんなが集まって来てもう叩いたり突いたりしたところが、骨は全部外に出て、肉はもう裂け、こっちもあっちももう八つぐらいに分かれる。そういうことで今のような姿になった。そのとき、また、アバサという今は、この体いっぱいに骨持っとる魚がおるさあね、あれはまたこの蛸とは、仲が良いので、「ああ残念だ。こういうこと言うてこんな叩かれて、大変だ大変だ。」て、もう全部あれの骨をね、集めておるって。それがアバサ針になったそうだ。
全体の記録時間数 6:21
物語の時間数 5:59
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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