抱死(方言)

だちじん(ほうげん)

概要

〔方言原話〕 抱死(だちぢん)でぃせー、抱(だ)ちょーるまま死ぬんでぃる事(くとぅ)やしが、ちゃーしうりが始まったがんでぃ言(いー)ねー、かーまかーま大昔(うーんかせー)、動物達(いちむしぬちゃー)や皆(んな)、各々(なーめーめー)自分達(どぅーなーたー)神ぬめんそーりち、人(ちゅ)ぬ神、牛ぬ神んち、やたんでぃしが、あんしうぬ動物達(いちむしぬちゃー)や願事(にげーぐとぅ)頼(たぬ)み事(ぐとぅ)ぬ有(あ)ねー、各々(なーめーめー)ぬ神んかいすたんでぃしが、ある時(ばー)に、知恵(じんぶん)ぬある牛ぬ、自分達(どぅーなーたー)神んかい願(にげー)出(んぢ)てぃ、「くぬ世(ゆー)んかい火(ふぃ)ぬ有(あ)いねー、私達(わったー)牛ぬ一門(いちむのー)むる、人(ちゅ)んかい焼(や)ち喰(くゎー)てぃ、一向(てぃーちん)多(うふ)こーならんくとぅ、ちゃーがなしくぬ世(ゆー)から私達(わったー)焼(や)ちゅれう火(ふぃー)隠(くゎっくゎ)ちくぃみそーり。」んち申し出(んぢ)たくとぅ、牛ぬ神(かめー)、「あんやんなー、あんせー火(ふぃー)隠(くゎっくゎ)さやー。」んでぃ言(い)みそーやーなかい、くぬ世(ゆー)から火(ふぃー)隠(くゎっくゎ)しみそーちゃくとぅ、だーなー、火(ふぃー)ぬ全部(むる)消(ちゃー)てぃねーらんなたくとぅ、人間(にんじ)のー牛どぅくろーあらん、煮物(にーむ)ん、焼物(やちむぬ)ん、ぬーんならんなてぃさくとぅ、人(ちゅ)、人間(にんじ)のー生物(なまむん)びけーせー生(い)ちからん。あんさくとぅ、今度(くんどー)、人(ちゅ)、人間(にんじん)ぬうぃーんかい立(たっ)しが、あまはい、くまはい、火(ふぃー)かめーてぃ歩(あっ)ちゅしが、まーにんねーらんなてぃさくとぅ、今度(くんどー)他(ふか)ぬ動物達(いちむしぬちゃー)んかい問(とー)てぃん、誰(たー)んわからん、後(あとぅ)ぬうんじゅみねー、セーんかい問(とー)たくとぅ、「あー、うれーやー、石とぅ、鉄(かに)とぅぬ間(たばさ)んかい隠(くゎっくゎ)さっとーさ。」んち教(ならー)ちゃくとぅ、人(ちゅ)、人間(にんじ)のー、「あー、あんどぅやるい、あんせーわかたん。」りち、石とぅ、鉄(かに)とぅ打ち合(あー)ちゃくとぅ、間(たばさ)から火(ふぃー)ぬ出(んぢ)てぃさーなかい、人(ちゅ)、人間(にんじ)のー、また、火(ふぃー)造(ちゅく)い出(んぢゃ)ち、牛焼(や)ち食(か)むる事(くとぅ)なたくとぅ、、うーぐさみちさせー牛、「私達(わったー)が隠(くゎっくゎ)しみてー火(ふぃー)ぬあっとぅくま、くぬひゃーセーぬ教(ならー)しくゎいくとぅ、だーなー、私達(わったー)やまた、焼(や)ち喰(くゎー)りーせー。」んでぃち、くさみちさーなかい、「あー、しかしよー。」んちセーや、草ぬ生(みー)とーる土手(あぶし)ぬ下(しちゃ)んかい、卵(くーが)産(な)すくとぅ、牛原(うせーもー)んかい出(んぢゃ)しーねー。土手(あぶし)かめーてぃ、角(ちぬ)さーなかい、全部(むる)掘(ふ)い返(けー)らち、あんさーに、土(んーちゃ)しーてぃセーぬ卵(くーが)、全部(むる)うち食(くゎ)てぃとぅらちゃんでぃ。あんすくとぅ、うぬ牛ぬ、子(くゎ)、孫達(んまがちゃー)や、今(なま)ん、土手(あぶし)かみてぃ、土(んーちゃ)食(くゎ)いん、あんし今度(くんどー)うゎーびぬ人(ちゅ)ぬ火(ふぃー)ぬあっとぅくま教(なら)ちぇーる、セー、会(い)ちゃてぃさくとぅ、「やーが火(ふぃー)ぬあっとぅくま教(なら)ちくぃてぃかふーしどー、うぬ恩返(うんじ)とぅし、やーや何時(いち)までぃんうぬままぬ生(い)ち姿(しがた)し残(ぬく)しよー、抱死(だちぢん)しーよー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、セーや、死にーねー甘蓑(うーじ)ぬ穂柄(ばらん)まん抱(だ)ちし死ぬしが、生(い)ちちがうら、死ぢがうら、触(さー)てぃ見(んー)だんあれーわからんあたい、ミイラなとーん。人(ちゅ)、人間(にんじん)ぬ一番ぬ成仏ぬ仕方(しーかたー)抱死(だちぢん)ないしやんでぃ。抱死(だちぢん)ぬ話い。〔共通語訳〕  抱死(だちぢん)というのは、何かに抱きついたまま死ぬという事なんだが、いかにしてそれが始まったかと言うと、ずうっとずうっと大昔は、動物達はみな各々自分達の神様がおられて、人は人の神様、牛は牛の神様というようにしていたそうですが、それではその動物達の願い事や頼み事がある時は、各々の神様にしよったそうだが、ある時、知恵のある牛が、自分達の神様に願い出て、「この世に火があると、私達牛の一門は皆、人に焼いて食べられて一向に増えないから、何とかしてこの世の中から、私達を焼く火を消して下さい。」と申し出ました。すると牛の神様は、「そうであったか、それでは火を隠そうね。」と言われて、この世の中から火を隠してしまわれました。そうするともう、火が全部消えて無くなりますと、人間は牛どころではなく、煮物も炒め物も何にもできなくなったのです。人、人間は生物だけでは生きられません。それで今度は、人、人間の上位にいる人が、あそこへ行き、ここへ行きしてて火を捜して歩いていたのですが、どこにも見当たりません。すると今度は他の動物達に聞いても誰もわかりません。最後にセー〔いなご〕に問いますと、「ああ、それは石と鉄との間に隠されているよ。」と教えてくれましたので、「ああそうだったのか、それでわかった。」と、石と鉄を打ち合わせますと、合間から火が出てきましたので、人間はまた火を創りだして、牛を焼いて食べるようになりますと、大いに憤慨したのは牛、「私達が隠させてある火のありかをこやつが教えるから私達はまた焼いて喰われる。」と大いに怒ってからに、「よし見ておれ。」と言って、セーは草の生えている土手の下の方に卵を産むので、牛は野原に出て土手を捜して、角で土手の土を取り返して、そこの土と一緒にセーの卵を全部食べてしまったそうです。そうすると、その牛の子も孫も、今に至るまで、土手を突いて食べるのです。そして今度は上位の人が、火のありかを教えてくれたセーに出会いますと、「君が火のありかを教えてくれて、有り難う。その恩返しに、君はいつまでもそのままの生姿を残して抱死しなさい。」と申しますと、セーは死ぬ時、その蓑の穂柄をまる抱きして死にますが、生きているのか死んでいるのか、触れてみないとわからないくらいのミイラになっています。人、人間の一番の成仏の仕方は抱死、ミイラになる事だそうだ。これが抱死の話。平成9年2月17日 高江洲亮翻字 T2B6

再生時間:3:23

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民話詳細DATA

レコード番号 47O170019
CD番号 47O17C002
決定題名 抱死(方言)
話者がつけた題名 抱死(だちぢん)
話者名 阿波根昌栄
話者名かな あはごんしょうえい
生年月日 19210309
性別
出身地 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭
記録日 19970217
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 T02B07
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 『想い出の昔話』
キーワード 牛,火を隠す,石と鉄,イナゴ,ミイラ
梗概(こうがい) 〔方言原話〕 抱死(だちぢん)でぃせー、抱(だ)ちょーるまま死ぬんでぃる事(くとぅ)やしが、ちゃーしうりが始まったがんでぃ言(いー)ねー、かーまかーま大昔(うーんかせー)、動物達(いちむしぬちゃー)や皆(んな)、各々(なーめーめー)自分達(どぅーなーたー)神ぬめんそーりち、人(ちゅ)ぬ神、牛ぬ神んち、やたんでぃしが、あんしうぬ動物達(いちむしぬちゃー)や願事(にげーぐとぅ)頼(たぬ)み事(ぐとぅ)ぬ有(あ)ねー、各々(なーめーめー)ぬ神んかいすたんでぃしが、ある時(ばー)に、知恵(じんぶん)ぬある牛ぬ、自分達(どぅーなーたー)神んかい願(にげー)出(んぢ)てぃ、「くぬ世(ゆー)んかい火(ふぃ)ぬ有(あ)いねー、私達(わったー)牛ぬ一門(いちむのー)むる、人(ちゅ)んかい焼(や)ち喰(くゎー)てぃ、一向(てぃーちん)多(うふ)こーならんくとぅ、ちゃーがなしくぬ世(ゆー)から私達(わったー)焼(や)ちゅれう火(ふぃー)隠(くゎっくゎ)ちくぃみそーり。」んち申し出(んぢ)たくとぅ、牛ぬ神(かめー)、「あんやんなー、あんせー火(ふぃー)隠(くゎっくゎ)さやー。」んでぃ言(い)みそーやーなかい、くぬ世(ゆー)から火(ふぃー)隠(くゎっくゎ)しみそーちゃくとぅ、だーなー、火(ふぃー)ぬ全部(むる)消(ちゃー)てぃねーらんなたくとぅ、人間(にんじ)のー牛どぅくろーあらん、煮物(にーむ)ん、焼物(やちむぬ)ん、ぬーんならんなてぃさくとぅ、人(ちゅ)、人間(にんじ)のー生物(なまむん)びけーせー生(い)ちからん。あんさくとぅ、今度(くんどー)、人(ちゅ)、人間(にんじん)ぬうぃーんかい立(たっ)しが、あまはい、くまはい、火(ふぃー)かめーてぃ歩(あっ)ちゅしが、まーにんねーらんなてぃさくとぅ、今度(くんどー)他(ふか)ぬ動物達(いちむしぬちゃー)んかい問(とー)てぃん、誰(たー)んわからん、後(あとぅ)ぬうんじゅみねー、セーんかい問(とー)たくとぅ、「あー、うれーやー、石とぅ、鉄(かに)とぅぬ間(たばさ)んかい隠(くゎっくゎ)さっとーさ。」んち教(ならー)ちゃくとぅ、人(ちゅ)、人間(にんじ)のー、「あー、あんどぅやるい、あんせーわかたん。」りち、石とぅ、鉄(かに)とぅ打ち合(あー)ちゃくとぅ、間(たばさ)から火(ふぃー)ぬ出(んぢ)てぃさーなかい、人(ちゅ)、人間(にんじ)のー、また、火(ふぃー)造(ちゅく)い出(んぢゃ)ち、牛焼(や)ち食(か)むる事(くとぅ)なたくとぅ、、うーぐさみちさせー牛、「私達(わったー)が隠(くゎっくゎ)しみてー火(ふぃー)ぬあっとぅくま、くぬひゃーセーぬ教(ならー)しくゎいくとぅ、だーなー、私達(わったー)やまた、焼(や)ち喰(くゎー)りーせー。」んでぃち、くさみちさーなかい、「あー、しかしよー。」んちセーや、草ぬ生(みー)とーる土手(あぶし)ぬ下(しちゃ)んかい、卵(くーが)産(な)すくとぅ、牛原(うせーもー)んかい出(んぢゃ)しーねー。土手(あぶし)かめーてぃ、角(ちぬ)さーなかい、全部(むる)掘(ふ)い返(けー)らち、あんさーに、土(んーちゃ)しーてぃセーぬ卵(くーが)、全部(むる)うち食(くゎ)てぃとぅらちゃんでぃ。あんすくとぅ、うぬ牛ぬ、子(くゎ)、孫達(んまがちゃー)や、今(なま)ん、土手(あぶし)かみてぃ、土(んーちゃ)食(くゎ)いん、あんし今度(くんどー)うゎーびぬ人(ちゅ)ぬ火(ふぃー)ぬあっとぅくま教(なら)ちぇーる、セー、会(い)ちゃてぃさくとぅ、「やーが火(ふぃー)ぬあっとぅくま教(なら)ちくぃてぃかふーしどー、うぬ恩返(うんじ)とぅし、やーや何時(いち)までぃんうぬままぬ生(い)ち姿(しがた)し残(ぬく)しよー、抱死(だちぢん)しーよー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、セーや、死にーねー甘蓑(うーじ)ぬ穂柄(ばらん)まん抱(だ)ちし死ぬしが、生(い)ちちがうら、死ぢがうら、触(さー)てぃ見(んー)だんあれーわからんあたい、ミイラなとーん。人(ちゅ)、人間(にんじん)ぬ一番ぬ成仏ぬ仕方(しーかたー)抱死(だちぢん)ないしやんでぃ。抱死(だちぢん)ぬ話い。〔共通語訳〕  抱死(だちぢん)というのは、何かに抱きついたまま死ぬという事なんだが、いかにしてそれが始まったかと言うと、ずうっとずうっと大昔は、動物達はみな各々自分達の神様がおられて、人は人の神様、牛は牛の神様というようにしていたそうですが、それではその動物達の願い事や頼み事がある時は、各々の神様にしよったそうだが、ある時、知恵のある牛が、自分達の神様に願い出て、「この世に火があると、私達牛の一門は皆、人に焼いて食べられて一向に増えないから、何とかしてこの世の中から、私達を焼く火を消して下さい。」と申し出ました。すると牛の神様は、「そうであったか、それでは火を隠そうね。」と言われて、この世の中から火を隠してしまわれました。そうするともう、火が全部消えて無くなりますと、人間は牛どころではなく、煮物も炒め物も何にもできなくなったのです。人、人間は生物だけでは生きられません。それで今度は、人、人間の上位にいる人が、あそこへ行き、ここへ行きしてて火を捜して歩いていたのですが、どこにも見当たりません。すると今度は他の動物達に聞いても誰もわかりません。最後にセー〔いなご〕に問いますと、「ああ、それは石と鉄との間に隠されているよ。」と教えてくれましたので、「ああそうだったのか、それでわかった。」と、石と鉄を打ち合わせますと、合間から火が出てきましたので、人間はまた火を創りだして、牛を焼いて食べるようになりますと、大いに憤慨したのは牛、「私達が隠させてある火のありかをこやつが教えるから私達はまた焼いて喰われる。」と大いに怒ってからに、「よし見ておれ。」と言って、セーは草の生えている土手の下の方に卵を産むので、牛は野原に出て土手を捜して、角で土手の土を取り返して、そこの土と一緒にセーの卵を全部食べてしまったそうです。そうすると、その牛の子も孫も、今に至るまで、土手を突いて食べるのです。そして今度は上位の人が、火のありかを教えてくれたセーに出会いますと、「君が火のありかを教えてくれて、有り難う。その恩返しに、君はいつまでもそのままの生姿を残して抱死しなさい。」と申しますと、セーは死ぬ時、その蓑の穂柄をまる抱きして死にますが、生きているのか死んでいるのか、触れてみないとわからないくらいのミイラになっています。人、人間の一番の成仏の仕方は抱死、ミイラになる事だそうだ。これが抱死の話。平成9年2月17日 高江洲亮翻字 T2B6
全体の記録時間数 3:23
物語の時間数 3:23
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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