
〔方言原話〕 米(くみ)ぬ始まいとぅ酒(さき)ぬ始まいぬ話い。昔(んかし)ある時(ばー)に雌(みーむなー)ぬ鶴(ちる)ぬ稲(んに)ぬ穂(ふー)食(くー)てぃ飛(とぅ)りてぃちゅーる時(ばー)に、後(くし)から雄(うーむな)ぬ思(うむ)い語いんでぃちさくとぅ、だー、穂(ふー)や食(く)らてぃるうっくとぅ、聞(ち)ちん、聞(ち)かんふーなーそーんでぃ思(うむ)やーなかい、うぬ雌(みーむなー)ぬ頭(ちぶる)弱(よーい)ぐゎ打っちぇーるふーじー、あんさくとぅ、雌(みーむなー)ぬ鶴(ちる)、「ぬーが。」んでぃち、鳴(いゅ)んでぃさーに、うぬ食(くー)とーる稲(んに)ぬ穂(ふー)やけー落(う)とぅちさくとぅ、うぬ稲(んに)ぬ穂(ふー)ぬけー落(う)とぅちたるとくぅまー、受水(うきんじゅ)、走水(はいんじゅ)、三穂田(みーふーだー)んちあしが、うぬ受水(うきんじゅ)かい落(う)てぃてぃさくとぅ、んまから流(なげ)りやーなかい、走水(はいんじゅ)かいんぢ、三穂田(みーふーだー)んぢ、引(ふぃっ)掛(かい)てぃ、うりから稲(んに)ぬ三本(みーち)生(みー)やーなかい、うりが沖縄(うちなー)ぬ稲(んに)ぬ始まいなとーんでぃしが、うぬ後(あとぅ)うりが次第々々(しでーしでー)に多(うふ)くなやーに、沢山(だちぇーん)生(みー)たくとぅ、今度(くんどー)、雀(くらー)ぐゎー達(たー)が、いー食物(くぇーむん)ぬいぢとーんでぃやーなかい、皆(んな)集(あち)まてぃ食(くゎ)いぎーるばーやしが、んまうてぃん、また、雌(みーむなー)ぬ雀(くらー)ぐゎーぬ稲(んに)ぬ穂(ふー)や食(くー)てぃ行(いん)ぢ、山ぬ上(うぃ)ぬ端(はた)んぢ食(くゎ)いんちしーねー、後(くし)から雄(うーむな)ぬ雀(くらー)ぐゎーぬちゃーなかい、、「私(わん)にんかいん、食(くぇ)れー。」っでぃ言(い)ちゃくとぅ、「いーいーいー、食(くぃ)らん、くれー、私(わー)が取(とぅ)ってぃちゅーしやくとぅ食(くぃ)らん。」でぃちさくとぅ、「私(わん)ねーやーや、大変(じこー)可愛(かな)ぬ何時(いち)がなー、妻(とぅじ)さわるやっさーんでぃ思(うむ)とーしが、なー、やーやうりん分きてぃ食(くぃ)らんむんやれーなー妻(とぅぜー)さんちゅがやーなー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「あんやんなー、いーとー、あんせー、食(くぃ)いさ。」んでぃ言(いゅ)がなー、うぬ雌(みーむなー)ぬ食(くー)てぃちぇーる稲(んに)ぬ穂(ふー)、今度(くんどー)雄(うーむな)ぬ分きてぃ食(くゎ)んでぃ二人(たい)し引(ふぃ)っ切(ち)りばーけーさくとぅ、実ぬ半分以上(はんぶんうふこー)岩ぬ窪(くぶ)ぬ水溜(みじた)まいんかいけー落(う)てぃてぃ沈(しじ)でぃさくとぅ、なー、雄(うーむな)がん雌(みーむなー)がん食(くぇー)ゆーさんなたくとぅ、今度(くんどー)なー、「くれーけー落(う)とぅちぇーくとぅ、私(わー)がなーひん取(とぅ)てぃちゅーさ。」んち、下(しちゃ)ぬ三穂田(みーふーだー)んかい行ちゃーに食(くー)てぃちゃーなかい、物語(むぬがたい)恋語(くいがたれー)さがなーばーけーし食(くゎ)てー落(う)とぅちぇーしーしーさーなかい、うぬ米(くみ)ぬ腐りやーなかい、醪(むるん)立ちゃーなかい、酒(さき)さとーるばーやしが、あんし沢山(だちぇーん)溜まてぃから、うぬ夫婦(みいとぅんだ)ないんちそー雀(くらー)ぐゎー達(たー)が今(なま)ねー口しんいちゃりーんてーうぬ米(くめー)んでぃ言(いゃー)なかい、うぬ米(くみ)取(とぅ)ってぃ食(くゎ)てーしーしーさくとぅ、だー、うれー、醪(むるん)立っち酒(さき)るなとーくとぅ、二人共(たいなむん)七転八倒(ぱったらげーい)しさくとぅ、なー、うりがー食(か)まらんくとぅ、また水(みじ)ん飲(ぬ)まがちー行(いん)ぢ、稲(んに)ぬ穂(ふー)食(くー)てぃちぇー食え食えしーさくとぅ、だー、うれー山ぬ上(うぃー)から下(しちゃ)ぬ田(たー)までぃ行(いん)ぢぇー戻(むどぅ)い戻(むどぅ)い難儀やくとぅ、うぬ醪(むるい)んかい漬(ち)かとーる稲(んに)ぬ穂(ふー)取(とぅ)ってー食え食えしー七転八倒(てぃんさまげーりー)てーしーしーさくとぅ、下(しちゃ)うってぃ畑(はる)さぎーる人(ちゅ)ぬうり見(んー)ぢゃーに、不思議(ふぃるましー)むん、あれー山んかい行ちゃーに山ぬ上(うぃ)うってぃうぬ稲(んに)ぬ穂(ふー)食(くゎ)やーなかい、七転八倒(ちんちりもーかー)せーしーしーさぎーしが、くれー、ぬーがな有いるしえーさにんち、行(いん)ぢ見(んー)ちゃくとぅ、岩ぬ窪(くぶ)ぬんかい溜まとーる水(みじ)んかい稲(んに)ぬ穂(ふー)や引(ふぃ)っ切(ち)りかとーんねーし、うれー、二人(たい)しばーけーし引(ふぃ)っ切(ち)り落(う)ちぇーる穂(ふー)やくとぅ、うり食(くゎ)てぃ二人共(たいなむ)七転八倒(てぃんさまげーりー)ちぇーしーしーさぎん、不思議(ふぃるましー)むん、くれー、ぬーやがやーえーんち指(いーび)入りやーなかい、嘗(な)みたくとぅ、辛さんあい、酸(しー)さんあい、甘さんあいさくとぅ、とー、くれー、不思議(ふぃるましー)むん、田(たー)んかい生(みー)とーる稲(んに)ぬ穂(ふー)水(みじ)んかい入(いっ)とーちーねー、くんぐとぅないさやーんち、家(やー)かい持(む)っち行(いん)ぢゃーに、水(みじ)んかいうぬ稲(んに)ぬ穂(ふー)漬(ち)きとーてぃ、泡(あーぶか)ぬ立ちーねー取(とぅ)ってー飲(ぬ)み飲(ぬ)みさくとぅ、初みぬ間(うぇーだー)辛さんあい、酸(しー)さんあい、甘さんあしが、次第(しでー)に酔(うぃ)やーに、ひゃーまったー始まてぃさくとぅ、とー、くれーいったむん、なーあぬ祝事(すーじ)んでーぬ有いねー、でぃ、くり持(む)っち、行(いん)ぢゃーに、皆(んな)し飲(ぬ)まーなかい、ひゃーないしんーだなんちせーしが、米(くみ)ぬ始まい酒(さき)ぬ始まいやんでぃ。あんすくとぅ、あんすくとぅ、御願(うがん)うさぎたいぬーさいしーねー、しぐ洗米(はなぐみ)三粒(みしじ)に酒(さき)一盃(いゅちぶ)うさぎとーてぃ、米(くみ)ぬ始まい酒(さき)ぬ始まい。くれー神ぬくぃてーみせーしやくとぅ、うり持(む)っち行(いん)ぢゃーに、しでぃがふーでーびるんち御願(うぐゎん)すんでぃ、くりが米(くみ)ぬ始まいとぅ酒(さき)ぬ始まいぬ話い。〔共通語訳〕 米の始まりと酒の始まりの話。昔ある時、雌の鶴が稲の穂を、くわえて飛んで来よる時に、後ろから雄の鶴が恋を語ろうとしているのですが、穂をくわえているもんだから、聞いても聞かないふりをしていると思い、その雌の頭を軽く叩いたのです。すると雌の鶴は、「何かっ。」と、鳴くと同時にそのくわえていた稲の穂は、下の方に落ちてしまいます。するとその下には、受水(うけみず)、走水(はいみず)、三穂田(みーふーだー)というところがありますが、その受水のところに落ちてそこから流れていって次の三穂田のところに引っ掛かったのです。そうしてそこに、三本の稲が生えて、これが沖縄で稲の始まりになっているという話です。そして、その後、稲が次第次第に多くなり、沢山生えるようになりますと、そこは雀達が、これは良い食べ物ができたと喜んで集まり、みんなで食べるようになったのです。するとここでもまた雌の雀と雄の雀がいて、雌の雀は稲の穂をくわえて持って行って、山の上に行って食べようとすると、後ろの方から雄の雀が近寄ってきて、「私にも分けてくれ。」と申しますと、「いいえ、これは私が取ってきたものだからやらない。」と、答えました。すると雄の雀は、「私はあんたが大好きで、ああいつかあなたに結婚を申し込もうと思っていたのだが、それくらいの物も分けてくれなければもう思い止まろうかなぁ。」と、言いました。雌の雀は、「そうか、そうだったら分けて食べさせてもよいよ。」と、言いました。その雌のくわえてきた稲の穂を、今度は雄と分けて食べる時二人で引っ張り合いをしますと、実の半分以上は岩の窪みに落ちて水たまりに落ちてしまいました。そうして沈んでしまったのです。雄も雌も食べることができなくなってしまったので、「これはもう落としてしまったので、私がもっと取ってくる。」と言ってその下の三穂田に行って取ってきては、恋を語らいながら、奪い合って、下に落としたら、今度はまた取ってきてまた落とす。それで後には米が腐れて、そこに醪(もろみ)ができて酒になっているのです。次第次第に沢山積もってから、その夫婦になろうとしてる雀達は、もう口でも手が届くだろうと、その米は取って食べると、もうその米は醪(もろみ)になり酒になっているのですから、二人ともそれを食べているうちに七転八倒、これは食べられない。また、水も飲みながらと、下に行って、稲を食べてきては、稲の穂をくわえてきては食べていましたが、しかし行っては戻り行っては戻り、難儀だから、その醪(もろみ)に漬かった稲の穂を何回か食べているうちに、七転八倒を何回も繰り返していますと、下の畑ではそれを見ていた農夫がそれを見て、「不思議だ、あれは山に行って山の上でその稲の穂を食べて七転八倒する。ひょっとすると山の上に何かあるのかもしれない。」と思って行ってみると、岩の窪みに溜まっている水の中に稲の穂をちぎって落としこんであるのです。それは二人で奪い合いになって、引きちぎって落とした穂ですが、それを食べて二人とも七転八倒を繰り返している。「不思議なものだ。これは何だろう。」その水たまりの中に指を突っ込んでなめてみると、辛くもあるし、酸っぱくもあるし、甘くもあるので、「これは不思議な物だ、田んぼに生えている稲の穂をみずの中に入れておくと、このような物になるのだなぁ。」と思い、家に持って帰って水に漬けておき、泡が立つようになると、初めは、辛いようだが、酸っぱくもあり、甘くもあるし、そのうちに次第に酔いがまわって陽気になり、踊りだすようになると、「うーん、これは重宝なものだ、よし、お祝い等がある時にはこれを持っていってみんなで飲んでおおいに盛り上げよう。」と作りだしたのがお酒の始まりだということ、ことだから、神様にお願いを奉る前に、時にはすぐ、洗米三粒に酒一盃奉納して、米の始まり、酒の始まり。これは神様が授けて下さった物だから、これを持って行って有り難うございましたと、申し上げてお願いをするそうだ。これが米の始まりと酒の始まりの話。平成9年2月17日 高江洲亮翻字 T1B3
| レコード番号 | 47O170006 |
|---|---|
| CD番号 | 47O17C001 |
| 決定題名 | 米の始まりと酒の始まり(方言) |
| 話者がつけた題名 | 米の始まりと酒の始まり |
| 話者名 | 阿波根昌栄 |
| 話者名かな | あはごんしょうえい |
| 生年月日 | 19210309 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県中頭郡北谷町字上勢頭 |
| 記録日 | 19970217 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | T01B03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12,20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 『想い出の昔話』 |
| キーワード | 鶴,稲穂,雀,酒 |
| 梗概(こうがい) | 〔方言原話〕 米(くみ)ぬ始まいとぅ酒(さき)ぬ始まいぬ話い。昔(んかし)ある時(ばー)に雌(みーむなー)ぬ鶴(ちる)ぬ稲(んに)ぬ穂(ふー)食(くー)てぃ飛(とぅ)りてぃちゅーる時(ばー)に、後(くし)から雄(うーむな)ぬ思(うむ)い語いんでぃちさくとぅ、だー、穂(ふー)や食(く)らてぃるうっくとぅ、聞(ち)ちん、聞(ち)かんふーなーそーんでぃ思(うむ)やーなかい、うぬ雌(みーむなー)ぬ頭(ちぶる)弱(よーい)ぐゎ打っちぇーるふーじー、あんさくとぅ、雌(みーむなー)ぬ鶴(ちる)、「ぬーが。」んでぃち、鳴(いゅ)んでぃさーに、うぬ食(くー)とーる稲(んに)ぬ穂(ふー)やけー落(う)とぅちさくとぅ、うぬ稲(んに)ぬ穂(ふー)ぬけー落(う)とぅちたるとくぅまー、受水(うきんじゅ)、走水(はいんじゅ)、三穂田(みーふーだー)んちあしが、うぬ受水(うきんじゅ)かい落(う)てぃてぃさくとぅ、んまから流(なげ)りやーなかい、走水(はいんじゅ)かいんぢ、三穂田(みーふーだー)んぢ、引(ふぃっ)掛(かい)てぃ、うりから稲(んに)ぬ三本(みーち)生(みー)やーなかい、うりが沖縄(うちなー)ぬ稲(んに)ぬ始まいなとーんでぃしが、うぬ後(あとぅ)うりが次第々々(しでーしでー)に多(うふ)くなやーに、沢山(だちぇーん)生(みー)たくとぅ、今度(くんどー)、雀(くらー)ぐゎー達(たー)が、いー食物(くぇーむん)ぬいぢとーんでぃやーなかい、皆(んな)集(あち)まてぃ食(くゎ)いぎーるばーやしが、んまうてぃん、また、雌(みーむなー)ぬ雀(くらー)ぐゎーぬ稲(んに)ぬ穂(ふー)や食(くー)てぃ行(いん)ぢ、山ぬ上(うぃ)ぬ端(はた)んぢ食(くゎ)いんちしーねー、後(くし)から雄(うーむな)ぬ雀(くらー)ぐゎーぬちゃーなかい、、「私(わん)にんかいん、食(くぇ)れー。」っでぃ言(い)ちゃくとぅ、「いーいーいー、食(くぃ)らん、くれー、私(わー)が取(とぅ)ってぃちゅーしやくとぅ食(くぃ)らん。」でぃちさくとぅ、「私(わん)ねーやーや、大変(じこー)可愛(かな)ぬ何時(いち)がなー、妻(とぅじ)さわるやっさーんでぃ思(うむ)とーしが、なー、やーやうりん分きてぃ食(くぃ)らんむんやれーなー妻(とぅぜー)さんちゅがやーなー。」んでぃ言(い)ちゃくとぅ、「あんやんなー、いーとー、あんせー、食(くぃ)いさ。」んでぃ言(いゅ)がなー、うぬ雌(みーむなー)ぬ食(くー)てぃちぇーる稲(んに)ぬ穂(ふー)、今度(くんどー)雄(うーむな)ぬ分きてぃ食(くゎ)んでぃ二人(たい)し引(ふぃ)っ切(ち)りばーけーさくとぅ、実ぬ半分以上(はんぶんうふこー)岩ぬ窪(くぶ)ぬ水溜(みじた)まいんかいけー落(う)てぃてぃ沈(しじ)でぃさくとぅ、なー、雄(うーむな)がん雌(みーむなー)がん食(くぇー)ゆーさんなたくとぅ、今度(くんどー)なー、「くれーけー落(う)とぅちぇーくとぅ、私(わー)がなーひん取(とぅ)てぃちゅーさ。」んち、下(しちゃ)ぬ三穂田(みーふーだー)んかい行ちゃーに食(くー)てぃちゃーなかい、物語(むぬがたい)恋語(くいがたれー)さがなーばーけーし食(くゎ)てー落(う)とぅちぇーしーしーさーなかい、うぬ米(くみ)ぬ腐りやーなかい、醪(むるん)立ちゃーなかい、酒(さき)さとーるばーやしが、あんし沢山(だちぇーん)溜まてぃから、うぬ夫婦(みいとぅんだ)ないんちそー雀(くらー)ぐゎー達(たー)が今(なま)ねー口しんいちゃりーんてーうぬ米(くめー)んでぃ言(いゃー)なかい、うぬ米(くみ)取(とぅ)ってぃ食(くゎ)てーしーしーさくとぅ、だー、うれー、醪(むるん)立っち酒(さき)るなとーくとぅ、二人共(たいなむん)七転八倒(ぱったらげーい)しさくとぅ、なー、うりがー食(か)まらんくとぅ、また水(みじ)ん飲(ぬ)まがちー行(いん)ぢ、稲(んに)ぬ穂(ふー)食(くー)てぃちぇー食え食えしーさくとぅ、だー、うれー山ぬ上(うぃー)から下(しちゃ)ぬ田(たー)までぃ行(いん)ぢぇー戻(むどぅ)い戻(むどぅ)い難儀やくとぅ、うぬ醪(むるい)んかい漬(ち)かとーる稲(んに)ぬ穂(ふー)取(とぅ)ってー食え食えしー七転八倒(てぃんさまげーりー)てーしーしーさくとぅ、下(しちゃ)うってぃ畑(はる)さぎーる人(ちゅ)ぬうり見(んー)ぢゃーに、不思議(ふぃるましー)むん、あれー山んかい行ちゃーに山ぬ上(うぃ)うってぃうぬ稲(んに)ぬ穂(ふー)食(くゎ)やーなかい、七転八倒(ちんちりもーかー)せーしーしーさぎーしが、くれー、ぬーがな有いるしえーさにんち、行(いん)ぢ見(んー)ちゃくとぅ、岩ぬ窪(くぶ)ぬんかい溜まとーる水(みじ)んかい稲(んに)ぬ穂(ふー)や引(ふぃ)っ切(ち)りかとーんねーし、うれー、二人(たい)しばーけーし引(ふぃ)っ切(ち)り落(う)ちぇーる穂(ふー)やくとぅ、うり食(くゎ)てぃ二人共(たいなむ)七転八倒(てぃんさまげーりー)ちぇーしーしーさぎん、不思議(ふぃるましー)むん、くれー、ぬーやがやーえーんち指(いーび)入りやーなかい、嘗(な)みたくとぅ、辛さんあい、酸(しー)さんあい、甘さんあいさくとぅ、とー、くれー、不思議(ふぃるましー)むん、田(たー)んかい生(みー)とーる稲(んに)ぬ穂(ふー)水(みじ)んかい入(いっ)とーちーねー、くんぐとぅないさやーんち、家(やー)かい持(む)っち行(いん)ぢゃーに、水(みじ)んかいうぬ稲(んに)ぬ穂(ふー)漬(ち)きとーてぃ、泡(あーぶか)ぬ立ちーねー取(とぅ)ってー飲(ぬ)み飲(ぬ)みさくとぅ、初みぬ間(うぇーだー)辛さんあい、酸(しー)さんあい、甘さんあしが、次第(しでー)に酔(うぃ)やーに、ひゃーまったー始まてぃさくとぅ、とー、くれーいったむん、なーあぬ祝事(すーじ)んでーぬ有いねー、でぃ、くり持(む)っち、行(いん)ぢゃーに、皆(んな)し飲(ぬ)まーなかい、ひゃーないしんーだなんちせーしが、米(くみ)ぬ始まい酒(さき)ぬ始まいやんでぃ。あんすくとぅ、あんすくとぅ、御願(うがん)うさぎたいぬーさいしーねー、しぐ洗米(はなぐみ)三粒(みしじ)に酒(さき)一盃(いゅちぶ)うさぎとーてぃ、米(くみ)ぬ始まい酒(さき)ぬ始まい。くれー神ぬくぃてーみせーしやくとぅ、うり持(む)っち行(いん)ぢゃーに、しでぃがふーでーびるんち御願(うぐゎん)すんでぃ、くりが米(くみ)ぬ始まいとぅ酒(さき)ぬ始まいぬ話い。〔共通語訳〕 米の始まりと酒の始まりの話。昔ある時、雌の鶴が稲の穂を、くわえて飛んで来よる時に、後ろから雄の鶴が恋を語ろうとしているのですが、穂をくわえているもんだから、聞いても聞かないふりをしていると思い、その雌の頭を軽く叩いたのです。すると雌の鶴は、「何かっ。」と、鳴くと同時にそのくわえていた稲の穂は、下の方に落ちてしまいます。するとその下には、受水(うけみず)、走水(はいみず)、三穂田(みーふーだー)というところがありますが、その受水のところに落ちてそこから流れていって次の三穂田のところに引っ掛かったのです。そうしてそこに、三本の稲が生えて、これが沖縄で稲の始まりになっているという話です。そして、その後、稲が次第次第に多くなり、沢山生えるようになりますと、そこは雀達が、これは良い食べ物ができたと喜んで集まり、みんなで食べるようになったのです。するとここでもまた雌の雀と雄の雀がいて、雌の雀は稲の穂をくわえて持って行って、山の上に行って食べようとすると、後ろの方から雄の雀が近寄ってきて、「私にも分けてくれ。」と申しますと、「いいえ、これは私が取ってきたものだからやらない。」と、答えました。すると雄の雀は、「私はあんたが大好きで、ああいつかあなたに結婚を申し込もうと思っていたのだが、それくらいの物も分けてくれなければもう思い止まろうかなぁ。」と、言いました。雌の雀は、「そうか、そうだったら分けて食べさせてもよいよ。」と、言いました。その雌のくわえてきた稲の穂を、今度は雄と分けて食べる時二人で引っ張り合いをしますと、実の半分以上は岩の窪みに落ちて水たまりに落ちてしまいました。そうして沈んでしまったのです。雄も雌も食べることができなくなってしまったので、「これはもう落としてしまったので、私がもっと取ってくる。」と言ってその下の三穂田に行って取ってきては、恋を語らいながら、奪い合って、下に落としたら、今度はまた取ってきてまた落とす。それで後には米が腐れて、そこに醪(もろみ)ができて酒になっているのです。次第次第に沢山積もってから、その夫婦になろうとしてる雀達は、もう口でも手が届くだろうと、その米は取って食べると、もうその米は醪(もろみ)になり酒になっているのですから、二人ともそれを食べているうちに七転八倒、これは食べられない。また、水も飲みながらと、下に行って、稲を食べてきては、稲の穂をくわえてきては食べていましたが、しかし行っては戻り行っては戻り、難儀だから、その醪(もろみ)に漬かった稲の穂を何回か食べているうちに、七転八倒を何回も繰り返していますと、下の畑ではそれを見ていた農夫がそれを見て、「不思議だ、あれは山に行って山の上でその稲の穂を食べて七転八倒する。ひょっとすると山の上に何かあるのかもしれない。」と思って行ってみると、岩の窪みに溜まっている水の中に稲の穂をちぎって落としこんであるのです。それは二人で奪い合いになって、引きちぎって落とした穂ですが、それを食べて二人とも七転八倒を繰り返している。「不思議なものだ。これは何だろう。」その水たまりの中に指を突っ込んでなめてみると、辛くもあるし、酸っぱくもあるし、甘くもあるので、「これは不思議な物だ、田んぼに生えている稲の穂をみずの中に入れておくと、このような物になるのだなぁ。」と思い、家に持って帰って水に漬けておき、泡が立つようになると、初めは、辛いようだが、酸っぱくもあり、甘くもあるし、そのうちに次第に酔いがまわって陽気になり、踊りだすようになると、「うーん、これは重宝なものだ、よし、お祝い等がある時にはこれを持っていってみんなで飲んでおおいに盛り上げよう。」と作りだしたのがお酒の始まりだということ、ことだから、神様にお願いを奉る前に、時にはすぐ、洗米三粒に酒一盃奉納して、米の始まり、酒の始まり。これは神様が授けて下さった物だから、これを持って行って有り難うございましたと、申し上げてお願いをするそうだ。これが米の始まりと酒の始まりの話。平成9年2月17日 高江洲亮翻字 T1B3 |
| 全体の記録時間数 | 5:59 |
| 物語の時間数 | 5:59 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |