
今で言う恩納村の宇加地だったという、読谷の人なんですよね。それで、遊女売いといってね、家が貧しいために、女の場合は那覇のね辻といってね、いわゆる遊楽街に、いわゆる親が金を貰ってね、その代わりあっちで働きなさいといってね、やることを遊女売いといってね、男の場合は糸満売いといってね、親が金を貰って、糸満の漁夫にね、自分の子供を売るのを糸満売いと言ってね、女は、辻の女郎にしよったわけよ。んで、この吉屋チルーという人も家が貧しくて、売られていったわけです。その時に詠んだのが、「比謝橋の橋や 情けねん人ぬわん渡さとぅ思てぃ 架きてぃうきゃら〔比謝橋という橋は 情けのない人が 私を渡そうと思って架けているのか〕」という。比謝橋の橋はね、「私を渡そうと思って架けて置いたんだろう。」橋を架けた人を恨むということですよね。この人は、女流歌人ですからね、例えば、辻に遊びに来る客を捕まえてね、「私が上句を言うから、あんたはね、下句を言って私が思うような、歌になったらね、今晩はあんたと一緒に楽しみましょう。」と、いうことをやりよったそうだ。もう金ですぐ買われるというわけじゃなくてね、もう面白い歌が出ておったそうだよ。例えばね、歌の上句をね、吉屋チルーが、「流れゆる水に 桜花浮きてぃ〔流れてくる水に 桜の花びらを浮かべて〕」と上句を吉屋チルーが言って、「その後の下句はあんた言いなさい。」と言ったらね、最初の人はね、何と言ったかといったらね、「比謝橋の蟹ぬ 食うてぃすん〔比謝橋の蟹がくわえて引っ張った〕」て言ったらしいんだ。だから、「これでは歌にはならない。失格だ。これはあんたは駄目。」と言われてね、で、次に言った青年は何と言ったかというとね、「色美さあてぃる すくてぃんちゃら〔色が美しいから、掬ってみた〕」と。それはぴ、ぴったりだそうだ。ていうことで、「今晩はあんたと、じゃあ、楽しもう。」ということになったそうです。これは有名な歌なんだそうで。だから、女流歌人は、ちょうど恩納ナビーみたいにね、こういうようなことだと言うことです。
| レコード番号 | 47O416318 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C335 |
| 決定題名 | 吉屋チルー(シマグチ混) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 津嘉山正弘 |
| 話者名かな | つかやませいこう |
| 生年月日 | 19260425 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 嘉手納町野国 |
| 記録日 | 19940919 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 嘉手納T38A10 T38B01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | かでなの民話P180 |
| キーワード | 遊女売い,貧しい,辻,糸満売い,糸満の漁夫,比謝橋,女流歌人,恩納ナビー |
| 梗概(こうがい) | 今で言う恩納村の宇加地だったという、読谷の人なんですよね。それで、遊女売いといってね、家が貧しいために、女の場合は那覇のね辻といってね、いわゆる遊楽街に、いわゆる親が金を貰ってね、その代わりあっちで働きなさいといってね、やることを遊女売いといってね、男の場合は糸満売いといってね、親が金を貰って、糸満の漁夫にね、自分の子供を売るのを糸満売いと言ってね、女は、辻の女郎にしよったわけよ。んで、この吉屋チルーという人も家が貧しくて、売られていったわけです。その時に詠んだのが、「比謝橋の橋や 情けねん人ぬわん渡さとぅ思てぃ 架きてぃうきゃら〔比謝橋という橋は 情けのない人が 私を渡そうと思って架けているのか〕」という。比謝橋の橋はね、「私を渡そうと思って架けて置いたんだろう。」橋を架けた人を恨むということですよね。この人は、女流歌人ですからね、例えば、辻に遊びに来る客を捕まえてね、「私が上句を言うから、あんたはね、下句を言って私が思うような、歌になったらね、今晩はあんたと一緒に楽しみましょう。」と、いうことをやりよったそうだ。もう金ですぐ買われるというわけじゃなくてね、もう面白い歌が出ておったそうだよ。例えばね、歌の上句をね、吉屋チルーが、「流れゆる水に 桜花浮きてぃ〔流れてくる水に 桜の花びらを浮かべて〕」と上句を吉屋チルーが言って、「その後の下句はあんた言いなさい。」と言ったらね、最初の人はね、何と言ったかといったらね、「比謝橋の蟹ぬ 食うてぃすん〔比謝橋の蟹がくわえて引っ張った〕」て言ったらしいんだ。だから、「これでは歌にはならない。失格だ。これはあんたは駄目。」と言われてね、で、次に言った青年は何と言ったかというとね、「色美さあてぃる すくてぃんちゃら〔色が美しいから、掬ってみた〕」と。それはぴ、ぴったりだそうだ。ていうことで、「今晩はあんたと、じゃあ、楽しもう。」ということになったそうです。これは有名な歌なんだそうで。だから、女流歌人は、ちょうど恩納ナビーみたいにね、こういうようなことだと言うことです。 |
| 全体の記録時間数 | 6:22 |
| 物語の時間数 | 6:10 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |