
何百年前ってこと知らんけどね。昔琉球でね、長いこと雨が降りっぱなしだったらしいんだよ。長いこともうね、浜ではもう塩も炊けん。四ヶ月か五ヶ月もう塩炊けんでね、蓄えた塩も全部、もう民間も王府内も全部食べてしまってね。王府ではとっても悩みだったらしいんだよ。で、毎日、国王にね、王様にそのじょーしちゃーね、給仕女も、もう塩もないでしょ。もう塩も高いもんだから、どこにも塩ない、ないもんだから、いつも塩分も入らん淡物さ。それをね、こうやって持ってきよったらしいんだよ。昔はね、お膳にね物を入れたらね、必ず鼻から上に上げる。下に上げたら息なんかするでしょ。だから、上に上げて、で持っていきよったらしいんだよ。そしたら、その国王の前でね、そして、下ろそうとしたらね、上からね、ちょんちょんと垂れよったん、らしいんだよ。で、じょーしちゃーは、鼠か何かな小便と怪しんで思っとるわけさ。内心は、「もう大変だな。」と思って、もう食べさせてもころ、殺されるしね。また、引き返しても殺されるしね。同じ殺されるん セから、もう食べさせて殺されたほうがいいと。で、やったらしいんだよ。そしたら、国王はね、そのお汁を飲んだらしいんだよ。もうイッスネー変わってもう何ヶ月前に飲んだその味みてはね、とってもおいしいなんだよ。それで、あんまりおいしいもんだからね、「呼んでこい。」って言って。それで、「本当のこと言いなさい。」っち言って。じょーしちゃーは、ぶるぶるふる震えてね、もう嘘言っても殺されるし、本当言っても殺されるし、同じなら、本当言ったほうがいいと思ってね、「まあ、実はこうしてお膳をね下ろす時にね、上から鼠の小便がね、もうちょんちょん流れた。」って言ったんだよ。「ああ、そうか。」と言ってね、国王はね、その責任者に言いつけてね、すぐ城内のその武士にね、「全部その鼠取りなさい。」って言って、あっちこっち鼠見つけるが、鼠おらんわけよね。それでね、鼠おらんもんで、それで、それから、もう天井なんかさがしたらね、ちょうど国王の座る、その上の天井に見たらね、それ昔のね、塩俵さあ。空になった塩の俵ね、積んどったらしいんだよ。長いこと雨降ったもんだから、もう瓦葺きからね、ちょんちょん漏ってからね。そのカマスに落ちてね、鼠の小便じゃなくて、それが塩分(いぇんぶん)なって、下に落ちたらしいんだよ。だから、小便じゃなくてですね、その塩分がお汁 に落ちたらしいんだよね。それで、前に王様はね、ある老人に、「お前が一番世の中でおいしいもん何かあ。」って言ったらね、老人は、「塩。」言いよったらしいんだよ。ほんで、「国王馬鹿にしておる。」といってね、ほんでずっと慶良間の無人島に島流ししたらしいんだよ。ほんで、初めてその国王がね、カマスからも落ちた塩分が入った味噌汁飲んだもんだからね、もう一番おいしいのは、塩だということでね、分かったもんだからね。ほんで、「早くその白髪のお爺さんは連れてきなさい。」ちゅうてね、連れに行って帰る時に、船引っ繰り返ってね、難破やったらしいんだよ。だから、その国王はね、「やっぱりあのお爺さんが言うのはほん、本当だったんだなあ。もう世の中で一番おいしいのは塩だなあ。」と言ってね。その亡くなった日をハーリーの祭りした。五月四日の日というのは、ハーリーと言ったらしい。
| レコード番号 | 47O416216 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C330 |
| 決定題名 | ハーリー由来(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 沢岻安徳 |
| 話者名かな | たくしあんとく |
| 生年月日 | 19220826 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 嘉手納町野国 |
| 記録日 | 19940718 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 嘉手納T33A03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | かでなの民話P304 |
| キーワード | 雨が降りっぱなし,塩,王様,給仕女,小便,国王,塩俵,難破,ハーリー,五月四日の日 |
| 梗概(こうがい) | 何百年前ってこと知らんけどね。昔琉球でね、長いこと雨が降りっぱなしだったらしいんだよ。長いこともうね、浜ではもう塩も炊けん。四ヶ月か五ヶ月もう塩炊けんでね、蓄えた塩も全部、もう民間も王府内も全部食べてしまってね。王府ではとっても悩みだったらしいんだよ。で、毎日、国王にね、王様にそのじょーしちゃーね、給仕女も、もう塩もないでしょ。もう塩も高いもんだから、どこにも塩ない、ないもんだから、いつも塩分も入らん淡物さ。それをね、こうやって持ってきよったらしいんだよ。昔はね、お膳にね物を入れたらね、必ず鼻から上に上げる。下に上げたら息なんかするでしょ。だから、上に上げて、で持っていきよったらしいんだよ。そしたら、その国王の前でね、そして、下ろそうとしたらね、上からね、ちょんちょんと垂れよったん、らしいんだよ。で、じょーしちゃーは、鼠か何かな小便と怪しんで思っとるわけさ。内心は、「もう大変だな。」と思って、もう食べさせてもころ、殺されるしね。また、引き返しても殺されるしね。同じ殺されるん セから、もう食べさせて殺されたほうがいいと。で、やったらしいんだよ。そしたら、国王はね、そのお汁を飲んだらしいんだよ。もうイッスネー変わってもう何ヶ月前に飲んだその味みてはね、とってもおいしいなんだよ。それで、あんまりおいしいもんだからね、「呼んでこい。」って言って。それで、「本当のこと言いなさい。」っち言って。じょーしちゃーは、ぶるぶるふる震えてね、もう嘘言っても殺されるし、本当言っても殺されるし、同じなら、本当言ったほうがいいと思ってね、「まあ、実はこうしてお膳をね下ろす時にね、上から鼠の小便がね、もうちょんちょん流れた。」って言ったんだよ。「ああ、そうか。」と言ってね、国王はね、その責任者に言いつけてね、すぐ城内のその武士にね、「全部その鼠取りなさい。」って言って、あっちこっち鼠見つけるが、鼠おらんわけよね。それでね、鼠おらんもんで、それで、それから、もう天井なんかさがしたらね、ちょうど国王の座る、その上の天井に見たらね、それ昔のね、塩俵さあ。空になった塩の俵ね、積んどったらしいんだよ。長いこと雨降ったもんだから、もう瓦葺きからね、ちょんちょん漏ってからね。そのカマスに落ちてね、鼠の小便じゃなくて、それが塩分(いぇんぶん)なって、下に落ちたらしいんだよ。だから、小便じゃなくてですね、その塩分がお汁 に落ちたらしいんだよね。それで、前に王様はね、ある老人に、「お前が一番世の中でおいしいもん何かあ。」って言ったらね、老人は、「塩。」言いよったらしいんだよ。ほんで、「国王馬鹿にしておる。」といってね、ほんでずっと慶良間の無人島に島流ししたらしいんだよ。ほんで、初めてその国王がね、カマスからも落ちた塩分が入った味噌汁飲んだもんだからね、もう一番おいしいのは、塩だということでね、分かったもんだからね。ほんで、「早くその白髪のお爺さんは連れてきなさい。」ちゅうてね、連れに行って帰る時に、船引っ繰り返ってね、難破やったらしいんだよ。だから、その国王はね、「やっぱりあのお爺さんが言うのはほん、本当だったんだなあ。もう世の中で一番おいしいのは塩だなあ。」と言ってね。その亡くなった日をハーリーの祭りした。五月四日の日というのは、ハーリーと言ったらしい。 |
| 全体の記録時間数 | 6:24 |
| 物語の時間数 | 6:19 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |