
渡嘉敷ペークーの話聞かさやー〈聞かそうね〉。勢頭んかいよー、首里から下りてぃちゃる渡嘉敷ペークーんりる人ぬめんせーたんでぃ。この人は非常に頓智者で、もう、面白おかしくいろんな振る舞いをしておったんです。そしたら、ある日、北谷桑江ぬ前から友達ぬ、名城親方が遊びに来ました。そしたら、このペークーは、ちょうど寒い時でしたので、自分の大事にしていた持ち前の立派な火鉢を出して、それに暖まっていました。名城はそこに来てこの火鉢を見るなり、「たいした火鉢を持ってらっしゃいますねえ、ペークーさん。これはこれは見たこともねえ。我々に縁遠い火鉢ですね。見たこともない、本当に」「どうぞどうぞ、あたってください」「はい。じゃあ甘えて。暖たかでいいすね。こんな寒い日には特に親しまれる物ですね」。この名城さんは首を傾げ傾げ本当に見たこともない貴重なものだから、それに暖かいもんだから、もう、感心して、返しがえし火鉢のことを褒めました。ペークーさんは、(それほどでもないものだがどうしたんだろう)と思っていたけど、まあ、幾度も幾度も名城さんはこの火鉢のことを感心したらしく、もう、繰り返しがえし褒めていましたので、ペークーは、(あれ、これは何とかいいことが出来そうだぞ)、自分のいつもの頓智でいい考えを浮かべました。そして、「名城さん、あなたがそんなにお気に入りでいいと思われるなら、差し上げましょうか」「おお」名城さんはびっくりして、「それはそれはかたじけない、もったいないですよ」「いいえいいえ。あなたがそれほど気に入られたものなら上げてもいいですよ。どうぞどうぞ、持って帰って下さい」「そうですか。そんなにおっしゃるなら、お言葉に甘えて頂戴しましょうかね。でも、もったいないことですよ」「いやいや、構わない」「じゃあ、その代わり、あなたの御好意に応えるだけのことは、私、して差し上げます。そのつもりで、じゃあ、お約束していただいていきましょうねえ」話は決まりました。名城さんは、喜び勇んでその火鉢を持ち帰りました。家ではみんなで喜び合いました。そして、約束した通り、渡嘉敷ペークーには心いくまで、謝礼したいと思っていました。何日か経った後、ペークーさんがいらっしゃいました。この時とばかり、家中てんやわんやでおもてなしに精一杯尽くしました。「やれ、いい酒を買ってこい」次から次からお酒を出し、「御馳走をつくれ。やれ何がいい、何がいい」もう家中の知恵を絞って、おもてなしをしました。ペークーは、この時とばかり、自分が好きな物を思う存分いただき、お酒も飲んで、もう、この上ない幸せなひとときを過ごしました。そして、もう満足した時に、「じゃあ、失礼しましょうか」って言ったら、「ああ、そうですか。もっともっとごゆっくり」と言ったら、「いや、これ以上もういただけません」「そうですか。じゃあ、またおいで下さいね、ペークーさん。お待ちしています。是非めんそーりよー」と。「はい、じゃあ、またね」帰りました。そして、二、三日してまた行きました。「ごめん下さい」「あっ、ペークーさんがみえた。はえーもっとみんな。それそれ、はい、早く御馳走の準備、お酒の準備」みんなやりました。もう家中大騒ぎです。この前の通り、しっかりおもてなししました。ペークーさんは、もう思う存分この前以上に喜んでいただきました。「さあさあ、どうぞどうぞ」「はい」もう、お酒もいただき、御馳走もいただいて、また、いい時間になったらおいとましました。「もうお帰りですか。じゃあ、またいらして下さいね」「はい、ありがとうございます。じゃあ、是非また伺います」って、さよならしました。それからしばらく経って、また来ました。そしたら、名城さんの家ではまたも大騒ぎです。「これは大変だ。思いもよらん時期にまたみえた」大変な大騒ぎです。もう、これはどうしたことか。こんなに続けざまに来られてどうもてなすか、それもひと仕事でした。そして、また同じようにおもてなしをされ、帰りました。しばらくして、またみえました。繰り返しがえし、もう、何度となくこういうことが続いたもんだから、名城家では、もうすっかりくたびれてしまって、(いい方法ないもんかなあ)って家中でいい方法を考えました。「もうこの火鉢はお返ししましょうよ」家族で、とうとう、お返しすることになったとさ。
| レコード番号 | 47O416029 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C320 |
| 決定題名 | 渡嘉敷ペーク(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 山内敏 |
| 話者名かな | やまうちとし |
| 生年月日 | 19180810 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 嘉手納町国直 |
| 記録日 | 19940222 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 嘉手納T19B01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | かでなの民話P354 |
| キーワード | 火鉢,名城親方,もてなし, |
| 梗概(こうがい) | 渡嘉敷ペークーの話聞かさやー〈聞かそうね〉。勢頭んかいよー、首里から下りてぃちゃる渡嘉敷ペークーんりる人ぬめんせーたんでぃ。この人は非常に頓智者で、もう、面白おかしくいろんな振る舞いをしておったんです。そしたら、ある日、北谷桑江ぬ前から友達ぬ、名城親方が遊びに来ました。そしたら、このペークーは、ちょうど寒い時でしたので、自分の大事にしていた持ち前の立派な火鉢を出して、それに暖まっていました。名城はそこに来てこの火鉢を見るなり、「たいした火鉢を持ってらっしゃいますねえ、ペークーさん。これはこれは見たこともねえ。我々に縁遠い火鉢ですね。見たこともない、本当に」「どうぞどうぞ、あたってください」「はい。じゃあ甘えて。暖たかでいいすね。こんな寒い日には特に親しまれる物ですね」。この名城さんは首を傾げ傾げ本当に見たこともない貴重なものだから、それに暖かいもんだから、もう、感心して、返しがえし火鉢のことを褒めました。ペークーさんは、(それほどでもないものだがどうしたんだろう)と思っていたけど、まあ、幾度も幾度も名城さんはこの火鉢のことを感心したらしく、もう、繰り返しがえし褒めていましたので、ペークーは、(あれ、これは何とかいいことが出来そうだぞ)、自分のいつもの頓智でいい考えを浮かべました。そして、「名城さん、あなたがそんなにお気に入りでいいと思われるなら、差し上げましょうか」「おお」名城さんはびっくりして、「それはそれはかたじけない、もったいないですよ」「いいえいいえ。あなたがそれほど気に入られたものなら上げてもいいですよ。どうぞどうぞ、持って帰って下さい」「そうですか。そんなにおっしゃるなら、お言葉に甘えて頂戴しましょうかね。でも、もったいないことですよ」「いやいや、構わない」「じゃあ、その代わり、あなたの御好意に応えるだけのことは、私、して差し上げます。そのつもりで、じゃあ、お約束していただいていきましょうねえ」話は決まりました。名城さんは、喜び勇んでその火鉢を持ち帰りました。家ではみんなで喜び合いました。そして、約束した通り、渡嘉敷ペークーには心いくまで、謝礼したいと思っていました。何日か経った後、ペークーさんがいらっしゃいました。この時とばかり、家中てんやわんやでおもてなしに精一杯尽くしました。「やれ、いい酒を買ってこい」次から次からお酒を出し、「御馳走をつくれ。やれ何がいい、何がいい」もう家中の知恵を絞って、おもてなしをしました。ペークーは、この時とばかり、自分が好きな物を思う存分いただき、お酒も飲んで、もう、この上ない幸せなひとときを過ごしました。そして、もう満足した時に、「じゃあ、失礼しましょうか」って言ったら、「ああ、そうですか。もっともっとごゆっくり」と言ったら、「いや、これ以上もういただけません」「そうですか。じゃあ、またおいで下さいね、ペークーさん。お待ちしています。是非めんそーりよー」と。「はい、じゃあ、またね」帰りました。そして、二、三日してまた行きました。「ごめん下さい」「あっ、ペークーさんがみえた。はえーもっとみんな。それそれ、はい、早く御馳走の準備、お酒の準備」みんなやりました。もう家中大騒ぎです。この前の通り、しっかりおもてなししました。ペークーさんは、もう思う存分この前以上に喜んでいただきました。「さあさあ、どうぞどうぞ」「はい」もう、お酒もいただき、御馳走もいただいて、また、いい時間になったらおいとましました。「もうお帰りですか。じゃあ、またいらして下さいね」「はい、ありがとうございます。じゃあ、是非また伺います」って、さよならしました。それからしばらく経って、また来ました。そしたら、名城さんの家ではまたも大騒ぎです。「これは大変だ。思いもよらん時期にまたみえた」大変な大騒ぎです。もう、これはどうしたことか。こんなに続けざまに来られてどうもてなすか、それもひと仕事でした。そして、また同じようにおもてなしをされ、帰りました。しばらくして、またみえました。繰り返しがえし、もう、何度となくこういうことが続いたもんだから、名城家では、もうすっかりくたびれてしまって、(いい方法ないもんかなあ)って家中でいい方法を考えました。「もうこの火鉢はお返ししましょうよ」家族で、とうとう、お返しすることになったとさ。 |
| 全体の記録時間数 | 7:41 |
| 物語の時間数 | 7:00 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |