
昔、宮古に鬼が棲んでいた頃の話。ある時、大浦の母と娘が平良へ上布を収めに行った。そのとき、平良には布を納めに来る人がたくさんいて、母娘が帰る頃には真っ暗になっていて、道に迷ってしまった。そのうち、遠くに灯りが見えたので行ってみると、そこは鬼の家だった。母娘はびっくりして逃げようとしたが、鬼にすぐに捕まってしまった。鬼は、「いいご馳走が来たから、明日はウプの山のアグ(友達)を呼んでご馳走しよう」と喜んだ。恐ろしくなった母娘は何とかして逃げようと思い、、便所に行かせてくれと頼むと、鬼は二人が逃げないように綱で縛って便所に行かせた。どうやって逃げようかと考えているうちに鼠が出て来て「自分が代わりに綱を持っているから逃げなさい」と言って、綱を噛み切って逃がした。鬼は二人の便所が長いので、「まだ用は済まないか」と言って綱を引っ張った。すると鼠が「なかなか出ない」と答えたので、鬼は「そうか」と言って待った。そういう問答を繰り返しているうちに、鬼はしびれを切らして「お前をば今食べるぞ」と言った。ところが便所から出てきたのは鼠だった。そこで鬼が遠眼鏡を持って来て見ると、ずっと遠くを親子が必死に逃げていた。鬼は「待て待て」と言って追い掛け、もう少しでつかまりそうになった時に、親子はまだ熟れていない麦畑に隠れた。すると急に鬼には人間の匂いが分からなくなり、諦めて引き返して行った。「麦のあらんがだんな、人にがどひゃーす」(未熟な麦は人の匂いを消す)ということだ。
| レコード番号 | 47O233218 |
|---|---|
| CD番号 | 47O23C153 |
| 決定題名 | 鬼の家の便所(方言混じり) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 下地富雄 |
| 話者名かな | しもじとみお |
| 生年月日 | 19200401 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 平良市大浦 |
| 記録日 | 19960224 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 平良T28A05 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 平良市北部の民話H8卒論P168 |
| キーワード | 鬼,便所,鼠,綱,麦畑 |
| 梗概(こうがい) | 昔、宮古に鬼が棲んでいた頃の話。ある時、大浦の母と娘が平良へ上布を収めに行った。そのとき、平良には布を納めに来る人がたくさんいて、母娘が帰る頃には真っ暗になっていて、道に迷ってしまった。そのうち、遠くに灯りが見えたので行ってみると、そこは鬼の家だった。母娘はびっくりして逃げようとしたが、鬼にすぐに捕まってしまった。鬼は、「いいご馳走が来たから、明日はウプの山のアグ(友達)を呼んでご馳走しよう」と喜んだ。恐ろしくなった母娘は何とかして逃げようと思い、、便所に行かせてくれと頼むと、鬼は二人が逃げないように綱で縛って便所に行かせた。どうやって逃げようかと考えているうちに鼠が出て来て「自分が代わりに綱を持っているから逃げなさい」と言って、綱を噛み切って逃がした。鬼は二人の便所が長いので、「まだ用は済まないか」と言って綱を引っ張った。すると鼠が「なかなか出ない」と答えたので、鬼は「そうか」と言って待った。そういう問答を繰り返しているうちに、鬼はしびれを切らして「お前をば今食べるぞ」と言った。ところが便所から出てきたのは鼠だった。そこで鬼が遠眼鏡を持って来て見ると、ずっと遠くを親子が必死に逃げていた。鬼は「待て待て」と言って追い掛け、もう少しでつかまりそうになった時に、親子はまだ熟れていない麦畑に隠れた。すると急に鬼には人間の匂いが分からなくなり、諦めて引き返して行った。「麦のあらんがだんな、人にがどひゃーす」(未熟な麦は人の匂いを消す)ということだ。 |
| 全体の記録時間数 | 6:17 |
| 物語の時間数 | 6:17 |
| 言語識別 | 混在 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |