もの言う牛(共通語)

概要

ウーヴァの偉い人たちが相談して、沖縄に寺があるのに宮古にはないから、寺を建てないといけないということになった。当時、農家は人頭税で苦しんでいたが、その中から寺を建てる税を出した。しかし宮古には坊さんがいなかったので、折角建てた寺も親主たちの酒場になってしまっていた。宮古の農家は怒り、こいつらの首を取って、偉い人を決めようと相談した。この話を聞いたある人が首里の王様に、「宮古に坊主を送ってほしい」とお願いした。王様は「農民が親主の首を取っても罪はない。沖縄からは送れないが、大和坊主と相談してでも宮古に坊主を送るから、みんなで迎えるように」と言った。やがて宮古に大和坊主がやって来たが、坊主は、「自分の手伝いをする、学問をする若い人が欲しい」と言った。この話が狩俣の勉強家の若者のところにいき、若者は喜んでその話を受け、大和坊主が親坊主、若者が小坊主となった。小坊主は優れた記憶力の持ち主で、すぐに親坊主よりも評判がよくなった。そこで親坊主は小坊主を邪魔に思って追い出そうと思っていた。その矢先、小坊主が「仕事を減らしてください」と申し出てきた。そこで「お前にはもうこれ以上仕事をさせられない」と言ったので、小坊主を狩俣に帰ることになった。出ていく間際、親坊主は、「あんたを助ける神様に会うはずだから、注意して孵りなさい。その神様とはシマグシで会うはずだ。牛の姿をしている神様だ」と小坊主に言った。すると本当にシマグシに行くと、綱を巻いて、よだれを垂らして今にも倒れそうな牛がいた。小坊主が「かわいそうに」と声を掛けると、牛は「ありがとうございます」と返事をした。びっくりして牛と離していると、牛主が帰って来たので、「あんたの牛はじゃべれる牛だね」と言うと、牛主は怒って「バカにするな」と言うので、小坊主は、「では、この牛が話をしたらお前はどうする」と言うと、牛主は、「そんな牛は牛ではなく化け物だからあんたに上げる」と答え、「それでは牛が話さなかったらあんたはどうするか」と逆に聞き返した。小坊主は「狩俣の家屋敷を上げる」と答えた。そうしているうちに牛が話をしたので、小坊主は牛を手に入れた。小坊主は、西原、大浦、島尻と、狩俣に帰るまでに出会った人と、牛が話すか話さないか賭けをして、狩俣に着く頃には家に入りきれないほどの米俵、粟俵を手に入れ、それからは幸福に暮らしたという。しかしそのうち牛が年をとって畑を耕すことも出来なくなった時、小坊主は3人の子供と相談して「今、幸福なのはこの牛のお陰だから、死んでも海に捨てずに墓に葬ってやろう」と言った。その話を聞いた牛は、「足の四つあるものを墓に入れてくれるとは本当にありがとう。実は私は生前は宮古一の力持ちで、乱暴ばかりしていたので、天の神様に牛にさせられた。だからお墓になど入れずに、大きなまな板の上で私の肉を切ってお隣りの人たちに配りなさい」と言ったので、小坊主は部落の人たちと相談して決めたという。人はどんなに偉くても、金持ちであっても、お互いに助け合って生きていかなければならないという天の神様の教え。

再生時間:18:28

民話詳細DATA

レコード番号 47O233168
CD番号 47O23C150
決定題名 もの言う牛(共通語)
話者がつけた題名 宮古に初めて寺を建てた話
話者名 長濱蒲太郎
話者名かな ながはまかまたろう
生年月日 19000704
性別
出身地 平良市久貝
記録日 19960226
記録者の所属組織 沖縄国際大学口承研
元テープ番号 平良T23A03
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12,20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 寺,大和坊主,もの言う牛
梗概(こうがい) ウーヴァの偉い人たちが相談して、沖縄に寺があるのに宮古にはないから、寺を建てないといけないということになった。当時、農家は人頭税で苦しんでいたが、その中から寺を建てる税を出した。しかし宮古には坊さんがいなかったので、折角建てた寺も親主たちの酒場になってしまっていた。宮古の農家は怒り、こいつらの首を取って、偉い人を決めようと相談した。この話を聞いたある人が首里の王様に、「宮古に坊主を送ってほしい」とお願いした。王様は「農民が親主の首を取っても罪はない。沖縄からは送れないが、大和坊主と相談してでも宮古に坊主を送るから、みんなで迎えるように」と言った。やがて宮古に大和坊主がやって来たが、坊主は、「自分の手伝いをする、学問をする若い人が欲しい」と言った。この話が狩俣の勉強家の若者のところにいき、若者は喜んでその話を受け、大和坊主が親坊主、若者が小坊主となった。小坊主は優れた記憶力の持ち主で、すぐに親坊主よりも評判がよくなった。そこで親坊主は小坊主を邪魔に思って追い出そうと思っていた。その矢先、小坊主が「仕事を減らしてください」と申し出てきた。そこで「お前にはもうこれ以上仕事をさせられない」と言ったので、小坊主を狩俣に帰ることになった。出ていく間際、親坊主は、「あんたを助ける神様に会うはずだから、注意して孵りなさい。その神様とはシマグシで会うはずだ。牛の姿をしている神様だ」と小坊主に言った。すると本当にシマグシに行くと、綱を巻いて、よだれを垂らして今にも倒れそうな牛がいた。小坊主が「かわいそうに」と声を掛けると、牛は「ありがとうございます」と返事をした。びっくりして牛と離していると、牛主が帰って来たので、「あんたの牛はじゃべれる牛だね」と言うと、牛主は怒って「バカにするな」と言うので、小坊主は、「では、この牛が話をしたらお前はどうする」と言うと、牛主は、「そんな牛は牛ではなく化け物だからあんたに上げる」と答え、「それでは牛が話さなかったらあんたはどうするか」と逆に聞き返した。小坊主は「狩俣の家屋敷を上げる」と答えた。そうしているうちに牛が話をしたので、小坊主は牛を手に入れた。小坊主は、西原、大浦、島尻と、狩俣に帰るまでに出会った人と、牛が話すか話さないか賭けをして、狩俣に着く頃には家に入りきれないほどの米俵、粟俵を手に入れ、それからは幸福に暮らしたという。しかしそのうち牛が年をとって畑を耕すことも出来なくなった時、小坊主は3人の子供と相談して「今、幸福なのはこの牛のお陰だから、死んでも海に捨てずに墓に葬ってやろう」と言った。その話を聞いた牛は、「足の四つあるものを墓に入れてくれるとは本当にありがとう。実は私は生前は宮古一の力持ちで、乱暴ばかりしていたので、天の神様に牛にさせられた。だからお墓になど入れずに、大きなまな板の上で私の肉を切ってお隣りの人たちに配りなさい」と言ったので、小坊主は部落の人たちと相談して決めたという。人はどんなに偉くても、金持ちであっても、お互いに助け合って生きていかなければならないという天の神様の教え。
全体の記録時間数 18:28
物語の時間数 18:28
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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