ウナイイキーがいた。親は粟と米という名前をつけて、天へ上がって行った。それからこの兄妹は自分達だけで、海や山から取れる物を食べて生活していた。それから古宇利島から本島へ渡って来て、あちこち渡り歩いた。途中、2人は山中ではぐれてしまった。それから何年か経って、汀間ティンスンシ山でばったり出会った。お互いに猿のような身なりをしていたのでびっくりしてしまい、1人は近くの大きな木に登った。兄妹なのだが長いこと会わなかったのでお互いに分らなかった。しばらくして、お互いに名前を尋ねると「粟」「米」というので、兄妹だと分った。それから2人はそこで生活を始めた。2人が寝起きしている木の上で2羽の鳥が毎日戯れていたが、ある時、それが4羽に増えていた。2人は2羽の鳥がくっついたりしていたが、それで4羽になったのだろうということが分って、自分たちも取りに負けてはならないといってくっついた。それからヤマカンダの葉で前を覆うようになった。ここにも長くはいられないと、またあちこち歩いて島尻の知念の先にあるガマに着き、そこで子供が生まれた。女は乳房が腫れあがっているのを痛がった。父親は子の子が死んでいるものと思って、そこに仰向けに寝かせた。すると、赤ん坊が口をムクムク動かしているので不思議がって良く見ると、ちょうど上の方から水滴がチョンチョンと赤ん坊の口に垂れ落ちていた。上を見ると、ちょうど乳のような形をして垂れさがった石の崎から落ちている水だった。不思議がって掌に溜めて飲んでみるとわずかに甘かったので、これは栄養になると思った。それでこの鍾乳石と乳の形がよく似ていたので、赤ん坊に乳を飲ませることを思いついた。女は乳首を食いちぎられることを恐れてしぶったが、父親が勧めたので飲ませて見るとうまくいった。そしたら乳房の腫れもなおった。このガマにアは2つのカメがあった。ヌレーヌカーミが今でも残っているが、もう一つは誰かに取られてしまった。そこで、子供が生まれ、子孫が広がったので、そこを人間の始まりとして皆で拝むようになった。古宇利島から伝わった話である。
レコード番号 | 47O412801 |
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CD番号 | 47O41C112 |
決定題名 | 兄妹始祖伝説(シマグチ) |
話者がつけた題名 | - |
話者名 | 根路銘安喜 |
話者名かな | ねろめあんき |
生年月日 | 18980622 |
性別 | 男 |
出身地 | 石川市東恩納 |
記録日 | 19820804 |
記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
元テープ番号 | 石川市T28A01 |
元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
分類 | 20 |
発句(ほっく) | - |
伝承事情 | - |
文字化資料 | - |
キーワード | ウナイイキー,親,粟,米,天,古宇利島,本島,汀間ティンスンシ山,2羽の鳥,ヤマカンダの葉,知念,ガマ,子供,乳房,ヌレーヌカーミ,子孫が広がった,人間の始まり |
梗概(こうがい) | ウナイイキーがいた。親は粟と米という名前をつけて、天へ上がって行った。それからこの兄妹は自分達だけで、海や山から取れる物を食べて生活していた。それから古宇利島から本島へ渡って来て、あちこち渡り歩いた。途中、2人は山中ではぐれてしまった。それから何年か経って、汀間ティンスンシ山でばったり出会った。お互いに猿のような身なりをしていたのでびっくりしてしまい、1人は近くの大きな木に登った。兄妹なのだが長いこと会わなかったのでお互いに分らなかった。しばらくして、お互いに名前を尋ねると「粟」「米」というので、兄妹だと分った。それから2人はそこで生活を始めた。2人が寝起きしている木の上で2羽の鳥が毎日戯れていたが、ある時、それが4羽に増えていた。2人は2羽の鳥がくっついたりしていたが、それで4羽になったのだろうということが分って、自分たちも取りに負けてはならないといってくっついた。それからヤマカンダの葉で前を覆うようになった。ここにも長くはいられないと、またあちこち歩いて島尻の知念の先にあるガマに着き、そこで子供が生まれた。女は乳房が腫れあがっているのを痛がった。父親は子の子が死んでいるものと思って、そこに仰向けに寝かせた。すると、赤ん坊が口をムクムク動かしているので不思議がって良く見ると、ちょうど上の方から水滴がチョンチョンと赤ん坊の口に垂れ落ちていた。上を見ると、ちょうど乳のような形をして垂れさがった石の崎から落ちている水だった。不思議がって掌に溜めて飲んでみるとわずかに甘かったので、これは栄養になると思った。それでこの鍾乳石と乳の形がよく似ていたので、赤ん坊に乳を飲ませることを思いついた。女は乳首を食いちぎられることを恐れてしぶったが、父親が勧めたので飲ませて見るとうまくいった。そしたら乳房の腫れもなおった。このガマにアは2つのカメがあった。ヌレーヌカーミが今でも残っているが、もう一つは誰かに取られてしまった。そこで、子供が生まれ、子孫が広がったので、そこを人間の始まりとして皆で拝むようになった。古宇利島から伝わった話である。 |
全体の記録時間数 | 7:58 |
物語の時間数 | 7:25 |
言語識別 | 方言 |
音源の質 | △ |
テープ番号 | - |
予備項目1 | - |