
昔のお金というのは何貫、何貫言って、あの穴が通った金を集めて紐でくくってですよ、その紐はもう全然解かれんようにして、一貫といった場合には、その一つの貫きを一貫という。それが、その一貫と言うのを五百集めて五百貫になった場合には、その身代金で売られた女郎を買い取ることができるから、「家緑五百貫、二人にかつがせて、あのカミザ小(ぐゎ)の身代金にする。」というセリフがあるんです。これはこう持ちきらんですよ。だから、何か袋に入れて下男に両方で棒で担いで持って行くんですよ。その当時は五百貫と言った場合には、ずっと位のある侍じゃなければないですからね、一般百姓には、一貫しかないからもう全然遊郭には行かないんですよ。ある百姓が、「これはどうせお金はないし、どうしたらいいか。」と言うて考え出したんだ。一貫の金が三筋あるんだから、遊郭の玄関に待っているんですよ。女郎は、「いらっさい、いらっさい。どうぞ、どうぞお入りなさい。」言うて招くんですけど、そこから、金もないある百姓の男が、何千と、その門がずうっと並んでいるから、一番前の通りから始めて、「一貫しか持ってないけれどもう何とかできませんか。」言うて聞いてこう尋ねて行ったらよ。昔の冗談というのはね、尻(けつ)といったらもう一番最低ですからよ、女郎というのは、きたない言葉使うから色町だから、「そんな一貫ぐらいでは、尻(けつ)でもあたらないよ。」と言うて、すぐ断わるんだよ。そいで、ずっと前の通りからこうみんなこの玄関、玄関に行っていちいち聞いて、とうとうもうこう夜通し行ったり来たりして、「ああ、尻(けつ)でもいいからいいよ。」とその男が言うたら、「ああそうか、じゃあどうぞ。」言うて、もう部屋に連れて行ってやってみたら、それは尻(けつ)じゃない。本物のことだから、女郎は男に、「何であんたは、相談は尻(けつ)と言っているのに本物のことやっているんじゃないか。」言うて喧嘩腰になっているんだよ。そりゃあ、本物といった場合には、それはもうどこの家(うち)行っても一時間いくらと、もうちゃんと百貫とか何とか決まっておるんだよ。だから、戦前はそれを払わない場合には、交番所へ連れて行くんですよ。で、交番所に連れてまた巡査に叩かれたり、また何か刑務所に連れて行ったりするぐらい厳重であったあったですよ。「ほんとのことやっているから、あたりまえの値段払わんか。」言うたら、「わしは相談通り尻(けつ)であった。わしはやらなかった。」と言うた。そこで、喧嘩腰になったら、二人では相談できんから、交番所にその女郎が連れて行って、「この人間は、私を買ってお金を払わんと逃げようとするから考えて下さい。」と言っから、警察官は、「なんでお前、お金を払わんか。」と言うたら、「なんでわしは、尻(けつ)と相談してあったのに。」で、そこで、この交番所で、女郎の方は、「本物であった。」またお客さんは、「尻(けつ)であった。」とまたそこで喧嘩ごしになったら、その当時の巡査が、 「まあ、わしが見たら分かるから、尻(けつ)であったか、ほんとのところであったか、まず見てみましょう。」と言うて、その巡査が調べようとしたら、女郎は、「ああ、もうもういいから。」と言って、それで逃げて行ったという話もある。
| レコード番号 | 47O412502 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C098 |
| 決定題名 | 一貫で遊女と寝た男(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 伊波幸太郎 |
| 話者名かな | いはこうたろう |
| 生年月日 | 19040101 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 石川市石川 |
| 記録日 | 19820804 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石川市T14A01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | いしかわの民話昔話編P334 |
| キーワード | 一貫,身代金,女郎,遊郭,百姓 |
| 梗概(こうがい) | 昔のお金というのは何貫、何貫言って、あの穴が通った金を集めて紐でくくってですよ、その紐はもう全然解かれんようにして、一貫といった場合には、その一つの貫きを一貫という。それが、その一貫と言うのを五百集めて五百貫になった場合には、その身代金で売られた女郎を買い取ることができるから、「家緑五百貫、二人にかつがせて、あのカミザ小(ぐゎ)の身代金にする。」というセリフがあるんです。これはこう持ちきらんですよ。だから、何か袋に入れて下男に両方で棒で担いで持って行くんですよ。その当時は五百貫と言った場合には、ずっと位のある侍じゃなければないですからね、一般百姓には、一貫しかないからもう全然遊郭には行かないんですよ。ある百姓が、「これはどうせお金はないし、どうしたらいいか。」と言うて考え出したんだ。一貫の金が三筋あるんだから、遊郭の玄関に待っているんですよ。女郎は、「いらっさい、いらっさい。どうぞ、どうぞお入りなさい。」言うて招くんですけど、そこから、金もないある百姓の男が、何千と、その門がずうっと並んでいるから、一番前の通りから始めて、「一貫しか持ってないけれどもう何とかできませんか。」言うて聞いてこう尋ねて行ったらよ。昔の冗談というのはね、尻(けつ)といったらもう一番最低ですからよ、女郎というのは、きたない言葉使うから色町だから、「そんな一貫ぐらいでは、尻(けつ)でもあたらないよ。」と言うて、すぐ断わるんだよ。そいで、ずっと前の通りからこうみんなこの玄関、玄関に行っていちいち聞いて、とうとうもうこう夜通し行ったり来たりして、「ああ、尻(けつ)でもいいからいいよ。」とその男が言うたら、「ああそうか、じゃあどうぞ。」言うて、もう部屋に連れて行ってやってみたら、それは尻(けつ)じゃない。本物のことだから、女郎は男に、「何であんたは、相談は尻(けつ)と言っているのに本物のことやっているんじゃないか。」言うて喧嘩腰になっているんだよ。そりゃあ、本物といった場合には、それはもうどこの家(うち)行っても一時間いくらと、もうちゃんと百貫とか何とか決まっておるんだよ。だから、戦前はそれを払わない場合には、交番所へ連れて行くんですよ。で、交番所に連れてまた巡査に叩かれたり、また何か刑務所に連れて行ったりするぐらい厳重であったあったですよ。「ほんとのことやっているから、あたりまえの値段払わんか。」言うたら、「わしは相談通り尻(けつ)であった。わしはやらなかった。」と言うた。そこで、喧嘩腰になったら、二人では相談できんから、交番所にその女郎が連れて行って、「この人間は、私を買ってお金を払わんと逃げようとするから考えて下さい。」と言っから、警察官は、「なんでお前、お金を払わんか。」と言うたら、「なんでわしは、尻(けつ)と相談してあったのに。」で、そこで、この交番所で、女郎の方は、「本物であった。」またお客さんは、「尻(けつ)であった。」とまたそこで喧嘩ごしになったら、その当時の巡査が、 「まあ、わしが見たら分かるから、尻(けつ)であったか、ほんとのところであったか、まず見てみましょう。」と言うて、その巡査が調べようとしたら、女郎は、「ああ、もうもういいから。」と言って、それで逃げて行ったという話もある。 |
| 全体の記録時間数 | 8:32 |
| 物語の時間数 | 8:01 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |