
もうこれはいつ頃のことなのかわかりませんが、首里にまあまあ顔形もいい顔形で、まあ知恵もあるモーサーという娘だが、ただ一つ癖があって、なかなか夫を持てない。その癖というのが大変な屁ひりなんだって。もう人の前でもどこでも屁をパーナイするので、それで、それをまた小父さんが心配して、「あのね、いいかい、モーサー、お前が夫を持つことができるように私がいいことを教えるから守りなさいよね。」と言って、「屁をしたくなったら、尻の穴に踵を当てていると我慢出来るから、そうしなさいよ。踵だよ、モーサー。」と教えたので、そのときから、いいところから貰い手が来たので、そこへ嫁になって行った。それで、おならしたくなると、小父さんに教えられたとおり、いつも踵とで塞いでいたので、だんだんもう腹が膨れて来たので、そこの人達は、「もう嫁は妊娠しているぞ。」と喜んでいたが、これはもう十月(とつき)たっても産まれない。十一ケ月たっても産まれない。十二ケ月たっても産まれない。それで、そこの親、姑は、「ああ、十二ケ月たっても産まれないってことは、これは妊娠ではないなあ。」と言って、その姑は、「物言わざれば腹膨るる業なりという言葉もあるから、これは何か言いたいのだが、それを我慢して、それで腹が膨れたかも知れない。」と思い、「ねえ、モーサー、私とお前とはもう親子の中なんだから、なんにも隠さずに言ってくれ。お前の腹は、十二ケ月もたっているからもうこれは妊娠ではないと思っているから、何かわけがあるなら言ってくれ。」と言うと、「え、実は私はもう大変な屁ひりで、それで私はここへ嫁いで来るときに小父さんが『踵だよ、モーサー』と言って教えてくれたので、私は屁をしたくなったらもういつも踵で尻の穴を塞いで我慢していたら、こうなったんですよ。」そしたら、「あ、そうか、そうだったのか。それならこれはどんな偉い人でも屁はやりなさる。そんなこと許すから、それは何も心配するな。」と。「それじゃもう許していただけますか。」と。それで、そこには、舅から姑から夫も一緒にいるところで、「それならもう許して下さいますか。」と言って、すぐ一ケ年分ためているのを、一度にパーッと出すと、その暴風で夫はすぐ窓から外に飛ばされるし、舅は天井にはね飛ばされていたと言う笑い話でございます。
| レコード番号 | 47O412303 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C089 |
| 決定題名 | 屁ひり嫁(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 伊波一郎 |
| 話者名かな | いはいちろう |
| 生年月日 | 19031214 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 石川市伊波 |
| 記録日 | 19820314 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石川市T05B01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | いしかわの民話昔話編P300 |
| キーワード | 首里,美人,知恵,モーサーと,大変な屁ひり,尻の穴に踵,妊娠ではない |
| 梗概(こうがい) | もうこれはいつ頃のことなのかわかりませんが、首里にまあまあ顔形もいい顔形で、まあ知恵もあるモーサーという娘だが、ただ一つ癖があって、なかなか夫を持てない。その癖というのが大変な屁ひりなんだって。もう人の前でもどこでも屁をパーナイするので、それで、それをまた小父さんが心配して、「あのね、いいかい、モーサー、お前が夫を持つことができるように私がいいことを教えるから守りなさいよね。」と言って、「屁をしたくなったら、尻の穴に踵を当てていると我慢出来るから、そうしなさいよ。踵だよ、モーサー。」と教えたので、そのときから、いいところから貰い手が来たので、そこへ嫁になって行った。それで、おならしたくなると、小父さんに教えられたとおり、いつも踵とで塞いでいたので、だんだんもう腹が膨れて来たので、そこの人達は、「もう嫁は妊娠しているぞ。」と喜んでいたが、これはもう十月(とつき)たっても産まれない。十一ケ月たっても産まれない。十二ケ月たっても産まれない。それで、そこの親、姑は、「ああ、十二ケ月たっても産まれないってことは、これは妊娠ではないなあ。」と言って、その姑は、「物言わざれば腹膨るる業なりという言葉もあるから、これは何か言いたいのだが、それを我慢して、それで腹が膨れたかも知れない。」と思い、「ねえ、モーサー、私とお前とはもう親子の中なんだから、なんにも隠さずに言ってくれ。お前の腹は、十二ケ月もたっているからもうこれは妊娠ではないと思っているから、何かわけがあるなら言ってくれ。」と言うと、「え、実は私はもう大変な屁ひりで、それで私はここへ嫁いで来るときに小父さんが『踵だよ、モーサー』と言って教えてくれたので、私は屁をしたくなったらもういつも踵で尻の穴を塞いで我慢していたら、こうなったんですよ。」そしたら、「あ、そうか、そうだったのか。それならこれはどんな偉い人でも屁はやりなさる。そんなこと許すから、それは何も心配するな。」と。「それじゃもう許していただけますか。」と。それで、そこには、舅から姑から夫も一緒にいるところで、「それならもう許して下さいますか。」と言って、すぐ一ケ年分ためているのを、一度にパーッと出すと、その暴風で夫はすぐ窓から外に飛ばされるし、舅は天井にはね飛ばされていたと言う笑い話でございます。 |
| 全体の記録時間数 | 4:19 |
| 物語の時間数 | 3:36 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |