マグジャー洞窟(共通語)

概要

具志川に天願という字があるが、そこに天願太郎次という人とその妻、マグジーという人がいた。二人はとても仲むつまじく暮らしていたそうだが、ある時、金武奥間という人が、そのマグジーを見て、「こんなに綺麗な人がいるもんかねえ。」と、その人に惚れてしまい、「どんなことがあっても、その人を私の妻にする。」と心に決めた。そして、ある時、金武奥間が妻に惚れていることを知った天願太郎次は、「力試しをして勝った人が、マグジーを妻にしようではないか。」と話をした。そして互いに、天願と金武から弓で射りあいをしたが、勝負がつかなかった。そうしているうちに、この金武奥間が悪巧みをし、マグジーの夫が留守の間に天願に忍んできて、マグジーをさらって金武へ逃げようとした。具志川から金武に行く途中の石川の洞窟があったので、「ここで泊って行こうね。」と、そこで二人休んでいると、このマグジーが、すぐかんざしか何やらで、金武奥間を刺し殺したので、金武へは連れてゆかれないですんだ。だが、マグジーは、「夫のところから、こんなに他人にさらわれ、ここまで連れてこられたので、もう二度と夫にあわせる顔がない。私はここに籠もって一生涯暮らすことにしよう。」そして、そこではもう仕方がないので、バサーや綿から糸を紡ぎ、織ったものを売ったりして、それで暮らしていた。その頃は、夜なべをして布を織っていたらしく、この糸車をまわす音が遅くまで聞こえていたそうだ。そして、マグジーがそこに住んでいることを、夫が知り、「そんなにねえ、村へ帰りづらければ、ここで二人は会うことにしようねえ。」と言い、それで夜になると夫が忍んできて、そこで二人は会っていたというようだ。その日から、もう夜なべすることもやめて、昼間だけこの糸車の音が聞こえたということだよ。そして、そこのことを、マグジーがこもっていた洞窟ということで、マグジー洞窟という名がついたということだ。マグジーが使っていた糸を紡ぐ道具は、後々までその洞窟に残っていた。そうして、その後、マグジーは、「いつ他の男の人がここに忍んでくるかわからない。」と思い、もし忍んでくるとしたら、多分海からだろうし、船もよく通るので海の神様に、「ここに船が入ってくる時は、海が荒れて船が入ってこないようにして下さい。」とお願いした。ここに変わった船が入ってくる時は、今まで静かだった海は、すぐこんなに海が荒れて、それで、なかなか、ここには船が着かないようになったという。その後はもうそこは波の荒らいところといわれるようになったという話です。そのことが原困なのか、どうかは知らないが、沖縄戦を日本軍が助けようと、陸連隊だったのか、輸送船が石川の海から上陸しようと、そこにきていたんだが、だけど、その日に限って波がもう山のように荒れて、それで、そこにはどうしても上陸することができなくて、それでも、なんとか連隊長と軍旗だけを陸上げしたがその他の兵隊たちは、そこから上陸することは断念して島尻にまわったということだな。もうこれは、祟りなのか、そういうことがまだ残っていたのか知らないけれども、とにかく海が荒れたということだよ。それはまた、そのマグジーの願いだったので、海の神様が聞き届けて下さったのかもしれない。「変わった船がくるときは、海を荒らして下さい。」という、その願いのあらわれだったかもしれないねという話です。

再生時間:7:06

民話詳細DATA

レコード番号 47O412242
CD番号 47O41C086
決定題名 マグジャー洞窟(共通語)
話者がつけた題名
話者名 伊波久蔵
話者名かな いはきゅうぞう
生年月日 19271103
性別
出身地 石川市石川
記録日 19820314
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石川市T02A11
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 いしかわの民話伝説編P41
キーワード 具志川,天願,天願太郎次,妻のマグジー,金武奥間,弓で射りあい,石川の洞窟,海の神様,海が荒れる
梗概(こうがい) 具志川に天願という字があるが、そこに天願太郎次という人とその妻、マグジーという人がいた。二人はとても仲むつまじく暮らしていたそうだが、ある時、金武奥間という人が、そのマグジーを見て、「こんなに綺麗な人がいるもんかねえ。」と、その人に惚れてしまい、「どんなことがあっても、その人を私の妻にする。」と心に決めた。そして、ある時、金武奥間が妻に惚れていることを知った天願太郎次は、「力試しをして勝った人が、マグジーを妻にしようではないか。」と話をした。そして互いに、天願と金武から弓で射りあいをしたが、勝負がつかなかった。そうしているうちに、この金武奥間が悪巧みをし、マグジーの夫が留守の間に天願に忍んできて、マグジーをさらって金武へ逃げようとした。具志川から金武に行く途中の石川の洞窟があったので、「ここで泊って行こうね。」と、そこで二人休んでいると、このマグジーが、すぐかんざしか何やらで、金武奥間を刺し殺したので、金武へは連れてゆかれないですんだ。だが、マグジーは、「夫のところから、こんなに他人にさらわれ、ここまで連れてこられたので、もう二度と夫にあわせる顔がない。私はここに籠もって一生涯暮らすことにしよう。」そして、そこではもう仕方がないので、バサーや綿から糸を紡ぎ、織ったものを売ったりして、それで暮らしていた。その頃は、夜なべをして布を織っていたらしく、この糸車をまわす音が遅くまで聞こえていたそうだ。そして、マグジーがそこに住んでいることを、夫が知り、「そんなにねえ、村へ帰りづらければ、ここで二人は会うことにしようねえ。」と言い、それで夜になると夫が忍んできて、そこで二人は会っていたというようだ。その日から、もう夜なべすることもやめて、昼間だけこの糸車の音が聞こえたということだよ。そして、そこのことを、マグジーがこもっていた洞窟ということで、マグジー洞窟という名がついたということだ。マグジーが使っていた糸を紡ぐ道具は、後々までその洞窟に残っていた。そうして、その後、マグジーは、「いつ他の男の人がここに忍んでくるかわからない。」と思い、もし忍んでくるとしたら、多分海からだろうし、船もよく通るので海の神様に、「ここに船が入ってくる時は、海が荒れて船が入ってこないようにして下さい。」とお願いした。ここに変わった船が入ってくる時は、今まで静かだった海は、すぐこんなに海が荒れて、それで、なかなか、ここには船が着かないようになったという。その後はもうそこは波の荒らいところといわれるようになったという話です。そのことが原困なのか、どうかは知らないが、沖縄戦を日本軍が助けようと、陸連隊だったのか、輸送船が石川の海から上陸しようと、そこにきていたんだが、だけど、その日に限って波がもう山のように荒れて、それで、そこにはどうしても上陸することができなくて、それでも、なんとか連隊長と軍旗だけを陸上げしたがその他の兵隊たちは、そこから上陸することは断念して島尻にまわったということだな。もうこれは、祟りなのか、そういうことがまだ残っていたのか知らないけれども、とにかく海が荒れたということだよ。それはまた、そのマグジーの願いだったので、海の神様が聞き届けて下さったのかもしれない。「変わった船がくるときは、海を荒らして下さい。」という、その願いのあらわれだったかもしれないねという話です。
全体の記録時間数 7:22
物語の時間数 7:06
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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