
那覇に仲の阿のい夫婦がおりました。そして、その夫婦に子どもが生まれた。そこで、奥さんの方と自分の方の親類も呼んで、たくさんご馳走も作って、お祝いをしたそうだ。それで、辻に行き、辻から尾類たちも連れてきて、大きなお祝いをしようと、意気込んでいたようだね。そのようにして出かけたが、あの家この家と行ってみるが、誰も頼めなかったという。「頼めないから、自分たちだけでやってしまおう。」と言って、家に帰った。帰る途中で、とてもいい女に出会ったようだね。そうしたら、「私は、ボージャー(赤ちゃん)祝いをしようと女を頼みに行ったが、誰も頼めなくて、困っているから、うちに来て私たちのお客さんの接待をしてくれないか。」と、頼んだようだね。すると、「はい、よろしいですよ。」と言ったので、連れてきて接待させたようだ。そのかいあって、お祝いもたいそう華やいだようだ。そして、近所のお婆さんが、「こんなにも大きいお祝いで、華やいでいるようだが、どんなふうにしているかなあ。」と言って、家の戸口から中の人たちには見られないように、静かにのぞいたそうだね。すると、何とその女の足から上の方は見えていたが、足は見えない。お婆さんは、その辺にいる手伝いの人に、「ここの、主人を呼んできなさい。」と言って、来てもらい、小声で、「おい、おまえはどこからあの女を頼んできたか、あの女は足は見えないよ。」と、見てごらんと言ったようだね。そうして、主人が薄目をして見たら本当に足はなかったそうだ。それで、お祝いの座をくずすわけにはいかないから、そのままにしていたが、お祝いが終わってから、「今日は、あなたが働いてくれていいお祝いができた。本当にありがとうね。」と言うと、女は、 「では、そろそろ帰ります。」と言って、帰ったようだね。主人は、珍しいことなので、女が行くところを見ておこうと、追って行ったようだ。すると、墓のたくさんある寂しいところに行き、そこの墓に入って行った。そうして、「今、帰ってきました。」と言うと、「おまえは、今までどこ行っていたか。」と、墓の中から男がしゃべっているようだった。それで、「おまえは、マブイ(魂)を取ってきたか。」と聞かれたようで、「だって、あまりにお祝いが盛大で、マブイは取ってきてはないですよ。」と言うと、「おまえは生きマブイを取ってくるつもりではなかったのか。」と、とても叱られていた。そうして、「おまえは、今日はここには入れないから、そこにいておきなさい。」と言われ、とても叱られてものだから、「それじゃ、マブイを取ってきますから、中に入れてくださいね。」と頼んでいた。「ああ、おまえが取ってきたら、入れてあげるよ。」と言われ、「それで、おまえはどうして取るつもりか。」と聞かれたから、「行って、くしゃみをさせて、息をつまらさせて、そのときにマブイを取ってきます。」と言ったようだね。主人はその話を聞いていたので、「これは、おそろしいことだ。『クスタックェー』と言わないといけない。」と、今度は、家に帰ってきて、そこにいる人たちに、「その子どもが、くしゃみをしたら『クスタックェー』と、みんなで言うんだよ。」と、そこにいる人たちに言っていたら、女が来て外に立っていた。その子どもにくしゃみをさせたようだ。ヒーヒーしたら、みんなで思いきり、「ほら今だ。」と言って、すぐ、「クスタックェー、クスタックェー。」と言い続けたようだ。それで、その女はマブイを取ることができずに帰って行き、その子どもはすくすく育ち、成長したという話。
| レコード番号 | 47O422003 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C062 |
| 決定題名 | クスケー由来(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 照屋次郎 |
| 話者名かな | てるやじろう |
| 生年月日 | 19010124 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市豊原 |
| 記録日 | 19800807 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T56 B5 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻下511頁 ふるさとの昔ばなし112頁 通観180頁 |
| キーワード | 夫婦,那覇,祝,辻,ボージャー祝,墓,マブイ,くしゃみ,クスタックエー |
| 梗概(こうがい) | 那覇に仲の阿のい夫婦がおりました。そして、その夫婦に子どもが生まれた。そこで、奥さんの方と自分の方の親類も呼んで、たくさんご馳走も作って、お祝いをしたそうだ。それで、辻に行き、辻から尾類たちも連れてきて、大きなお祝いをしようと、意気込んでいたようだね。そのようにして出かけたが、あの家この家と行ってみるが、誰も頼めなかったという。「頼めないから、自分たちだけでやってしまおう。」と言って、家に帰った。帰る途中で、とてもいい女に出会ったようだね。そうしたら、「私は、ボージャー(赤ちゃん)祝いをしようと女を頼みに行ったが、誰も頼めなくて、困っているから、うちに来て私たちのお客さんの接待をしてくれないか。」と、頼んだようだね。すると、「はい、よろしいですよ。」と言ったので、連れてきて接待させたようだ。そのかいあって、お祝いもたいそう華やいだようだ。そして、近所のお婆さんが、「こんなにも大きいお祝いで、華やいでいるようだが、どんなふうにしているかなあ。」と言って、家の戸口から中の人たちには見られないように、静かにのぞいたそうだね。すると、何とその女の足から上の方は見えていたが、足は見えない。お婆さんは、その辺にいる手伝いの人に、「ここの、主人を呼んできなさい。」と言って、来てもらい、小声で、「おい、おまえはどこからあの女を頼んできたか、あの女は足は見えないよ。」と、見てごらんと言ったようだね。そうして、主人が薄目をして見たら本当に足はなかったそうだ。それで、お祝いの座をくずすわけにはいかないから、そのままにしていたが、お祝いが終わってから、「今日は、あなたが働いてくれていいお祝いができた。本当にありがとうね。」と言うと、女は、 「では、そろそろ帰ります。」と言って、帰ったようだね。主人は、珍しいことなので、女が行くところを見ておこうと、追って行ったようだ。すると、墓のたくさんある寂しいところに行き、そこの墓に入って行った。そうして、「今、帰ってきました。」と言うと、「おまえは、今までどこ行っていたか。」と、墓の中から男がしゃべっているようだった。それで、「おまえは、マブイ(魂)を取ってきたか。」と聞かれたようで、「だって、あまりにお祝いが盛大で、マブイは取ってきてはないですよ。」と言うと、「おまえは生きマブイを取ってくるつもりではなかったのか。」と、とても叱られていた。そうして、「おまえは、今日はここには入れないから、そこにいておきなさい。」と言われ、とても叱られてものだから、「それじゃ、マブイを取ってきますから、中に入れてくださいね。」と頼んでいた。「ああ、おまえが取ってきたら、入れてあげるよ。」と言われ、「それで、おまえはどうして取るつもりか。」と聞かれたから、「行って、くしゃみをさせて、息をつまらさせて、そのときにマブイを取ってきます。」と言ったようだね。主人はその話を聞いていたので、「これは、おそろしいことだ。『クスタックェー』と言わないといけない。」と、今度は、家に帰ってきて、そこにいる人たちに、「その子どもが、くしゃみをしたら『クスタックェー』と、みんなで言うんだよ。」と、そこにいる人たちに言っていたら、女が来て外に立っていた。その子どもにくしゃみをさせたようだ。ヒーヒーしたら、みんなで思いきり、「ほら今だ。」と言って、すぐ、「クスタックェー、クスタックェー。」と言い続けたようだ。それで、その女はマブイを取ることができずに帰って行き、その子どもはすくすく育ち、成長したという話。 |
| 全体の記録時間数 | 5:14 |
| 物語の時間数 | 5:14 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |