火の神報恩(共通語)

概要

上納係の仕事は、お米を山盛りして、皆から集めて行くでしょう。貯めて持って行くわけさあ。偉い人の所(首里城)に行ったら、渡すときは早く計って、半分盛りして計算やるわけ。その枡のお米を欲するわけ。あんまりその計るのが早いから、分からんわけよう。こちらからはうんと盛って持って行くが、一斗あるものは二斗ともあるといって、あっちでは横取りするわけよう。それねえ、枡の米を盗んだというわけさあ。マシトゥイといって、意味は枡の米を横取りして、自分の懐の中に入れることだよ。東恩納の当の人は、そういう人間だったそうだよ。東恩納当の人は首里の上納係だったそうだよ。また、その人の長男は、まじめな人間であったそうだ。今度は、その長男が親の跡継ぎで首里城で使われたんだ。親が年取ったから、首里の奉公人に行くわけよね。 十五夜の日になったから、首里から家族の面会に東恩納に帰ったわけ。宜野湾来たら、松並木といって、道の側に大きな松があってね。それは名護親方が植えたもんであるそうだよ。その中から通ったとき、若い娘が、出て来て、「一緒に行きましょう。」と言ったらねえ、「それでいいよ。」と言って、一緒に連れ立って歩いていた。そのときに、お話をやったわけよね。そうして、東恩納行く前に、川がありますよねえ。その川の向こう、上の方に渡って行きよったそうですよ。その娘がね、「夜は、川を渡るのは難しいから、あんたが私をおんぶして、渡してくれないか。」と、東恩納当の長男に言うたわけよ。「ああ、それでもいいよ。」と言うて、おんぶして渡したそうだ。それから、「あんたどこに行くか。」と聞いたら、「私は東恩納当の家に行くよ。」と言った。自分の家に行くという。そしたら、「私もそっちにだよう。」と。家に着いて、自分の家内を起こしたわけ。夜中だがね、「人を連れて来てあるから、お茶沸かして出しなさい。」と言うたら、妻は喜んで「はい。」と言って、沸かして出したそうだよ。そうしてね、そのときは、それで別れてね。またもう一回のとき。そのときも十五夜であったそうだよ、十五夜。そのときもまた宜野湾の松並木の所から出て来た。その娘は現れたわけよね。またも、「道連れして、一緒に行きましょう。」と言って、やって来たわけ。今度はねえ、ウフンガーラといって、東恩納の手前の川まで来たら、その女をまたおんぶして渡して後からね、「ちょっと便所しに行くから、あんた待っててくれ。」と娘が言うたわけ。ソーメン箱といって昔あったよ、ソーメン入れる長い箱がね。それ一杯に黄金を入れてね、それを娘がそっちに持って来ておいたわけですよ。その一緒に連れて来た娘が、「あんまりまじめであるからねえ。あんたの家まで行きましょう。」と言って、「あんたこれ担ぎなさい。」と男にこれ担がせて、家まで行ったらねえ、何を話すかと思ったら、「実をいうと私は人間でないよう。」「何ですか。」と聞いたら、「私は火玉で、人の家を焼く役目だよう。」と。火玉というんだ、それには、「人間に現れて来たんだがね、あんたの親は、『オンナマツ(恩納松)』といって、悪い名前ついておるから、『あんたの家を焼いて来い』といって、私は言いつかって来たんだがねえ。奥さんとあんたは、あんまり精神が良くって、まじめな人間だから、親に似てないからね、あんたの家は、私は焼かないですむ。」「あんたの家の四すみから、板を抜いて道の十字路に持って行って、焼きなさい。」と言われた。言われる通りに焼いたら、「私があんたの家を焼いた。」と言って報告するからと言った。それからね、黄金はあんたにあげる、あんたはまじめだからと、置いて行ったわけさ。

再生時間:8:14

民話詳細DATA

レコード番号 47O421470
CD番号 47O42C045
決定題名 火の神報恩(共通語)
話者がつけた題名 東恩納当の人の話
話者名 稲福蒲太
話者名かな いなふくかまた
生年月日 18971010
性別
出身地 具志川市兼箇段
記録日 19800809
記録者の所属組織 沖縄口承文芸調査団
元テープ番号 具志川T42 A12
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 20,12
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 具志川市史第3巻上477頁 通観244頁 具志川市の民話ふるさとの昔ばなし120頁 
キーワード 税金,米,長男,川,女,火の玉,
梗概(こうがい) 上納係の仕事は、お米を山盛りして、皆から集めて行くでしょう。貯めて持って行くわけさあ。偉い人の所(首里城)に行ったら、渡すときは早く計って、半分盛りして計算やるわけ。その枡のお米を欲するわけ。あんまりその計るのが早いから、分からんわけよう。こちらからはうんと盛って持って行くが、一斗あるものは二斗ともあるといって、あっちでは横取りするわけよう。それねえ、枡の米を盗んだというわけさあ。マシトゥイといって、意味は枡の米を横取りして、自分の懐の中に入れることだよ。東恩納の当の人は、そういう人間だったそうだよ。東恩納当の人は首里の上納係だったそうだよ。また、その人の長男は、まじめな人間であったそうだ。今度は、その長男が親の跡継ぎで首里城で使われたんだ。親が年取ったから、首里の奉公人に行くわけよね。 十五夜の日になったから、首里から家族の面会に東恩納に帰ったわけ。宜野湾来たら、松並木といって、道の側に大きな松があってね。それは名護親方が植えたもんであるそうだよ。その中から通ったとき、若い娘が、出て来て、「一緒に行きましょう。」と言ったらねえ、「それでいいよ。」と言って、一緒に連れ立って歩いていた。そのときに、お話をやったわけよね。そうして、東恩納行く前に、川がありますよねえ。その川の向こう、上の方に渡って行きよったそうですよ。その娘がね、「夜は、川を渡るのは難しいから、あんたが私をおんぶして、渡してくれないか。」と、東恩納当の長男に言うたわけよ。「ああ、それでもいいよ。」と言うて、おんぶして渡したそうだ。それから、「あんたどこに行くか。」と聞いたら、「私は東恩納当の家に行くよ。」と言った。自分の家に行くという。そしたら、「私もそっちにだよう。」と。家に着いて、自分の家内を起こしたわけ。夜中だがね、「人を連れて来てあるから、お茶沸かして出しなさい。」と言うたら、妻は喜んで「はい。」と言って、沸かして出したそうだよ。そうしてね、そのときは、それで別れてね。またもう一回のとき。そのときも十五夜であったそうだよ、十五夜。そのときもまた宜野湾の松並木の所から出て来た。その娘は現れたわけよね。またも、「道連れして、一緒に行きましょう。」と言って、やって来たわけ。今度はねえ、ウフンガーラといって、東恩納の手前の川まで来たら、その女をまたおんぶして渡して後からね、「ちょっと便所しに行くから、あんた待っててくれ。」と娘が言うたわけ。ソーメン箱といって昔あったよ、ソーメン入れる長い箱がね。それ一杯に黄金を入れてね、それを娘がそっちに持って来ておいたわけですよ。その一緒に連れて来た娘が、「あんまりまじめであるからねえ。あんたの家まで行きましょう。」と言って、「あんたこれ担ぎなさい。」と男にこれ担がせて、家まで行ったらねえ、何を話すかと思ったら、「実をいうと私は人間でないよう。」「何ですか。」と聞いたら、「私は火玉で、人の家を焼く役目だよう。」と。火玉というんだ、それには、「人間に現れて来たんだがね、あんたの親は、『オンナマツ(恩納松)』といって、悪い名前ついておるから、『あんたの家を焼いて来い』といって、私は言いつかって来たんだがねえ。奥さんとあんたは、あんまり精神が良くって、まじめな人間だから、親に似てないからね、あんたの家は、私は焼かないですむ。」「あんたの家の四すみから、板を抜いて道の十字路に持って行って、焼きなさい。」と言われた。言われる通りに焼いたら、「私があんたの家を焼いた。」と言って報告するからと言った。それからね、黄金はあんたにあげる、あんたはまじめだからと、置いて行ったわけさ。
全体の記録時間数 8:14
物語の時間数 8:14
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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