姉と弟(シマグチ混じり)

概要

このウチャトーとウブクの話だよ。これもね、うちのおじいさんから十四、五歳のときに聞いたものでありますので、はっきりは覚えてないけどさ。なんでこの話を聞いたかというたら、ウチャトー・ウブクをお供えするのを忘れたから、「こうこうだから、一日・十五日には、なには忘れても、ウチャトーとウブクは忘れていけないよ。」と言われたわけ。それはね、姉と弟がいたらしい。姉はきれいで、弟と二人で住んでいたって。この姉は神様であったらしい。でも、弟は分からないわけ、神様っては。それで、友だちが誘いにきても、来たらよ、行くところの品物、出る品物をこの姉が分かりよったって、なにが出るかを。「あっちはなになに出るから、なには食べていいけど、なになには食べていけない。」と言いつけて、行かしよったって、この弟に。また二人の姉弟は、双子みたいによく似ていたって。女の子に男姿させたら、すぐ男なりよったって。また、男の子に女姿させたら、すぐ女になり、とてもよく似ていたらしい。そうしたら、この弟が姉の言いつけを守らんで、食べてはいけないというのを食べてしまって。やっと家までは帰ってきたけど、死んでしまったって、この弟は。だから、「この子は食べていけないものを言いつけておいたのに、食べてしまったねえ。」と言うて。姉は、死んだ弟を押入れに入れておいて、自分は男の格好をして、空を飛んでいる鳥を取りに、弓矢を担いで出たらしい。鳥の名まえも聞いていたけど、忘れてしまっているさ。そして、やっと三日目に、その鳥を捜して弓で射ったって。その鳥は、ある村の王様の庭のところに落ちたらしい。そこは、門番もいたので、「ちょっと、この屋敷の中に入れてください。」とお願いしたら、門番が、「ここは他人が入ってはいけない。」と言うたが、「でも、どうしても行かなければならない用事だから、どうか通してください。」と言って、お願いして入れてもらった。そうしたら、ここの主が、「この鳥を射る人は、ただの人ではない。」と言って、中に入れてご馳走を作って出したので、たくさん食べてから、この鳥を持って家に帰った。家に帰って、自分の弟を押入れから出して、こう三回鳥を振ったら、生き返っていたって。そうして、「さあ、あんたはね、どこそこに行って、あっちの婿さんになりなさい。」って、あっちの親が姉は男であると思って、自分の娘をくれたそうですよ。「あの鳥を射るなんて、ただものではないから、うちの娘を妻にしてくれ。」と言って、その娘とのことになったので、それを受けて、自分の弟を行かしておるわけ。「向こうに行ったら、そこの庭を立派に掃除して草木も植えて、お宮を造りなさい。」すると、姉が弟に、「あっちの婿さんになってね、私は普通の人間ではない。あんたの立場を考えるために生きているから、私は今日から天へ上がっていくから、あんたはちゃんとあっちの家を守って、成功しなさい。」と言いつけたらしい。「そうします。」と言ってから、姉は天へ上がって行ったらしい。弟は、その家の婿さんになって成功した。それで、「あっち行ったら、一日と十五日は忘れないで、ウチャトーとウブクはかならず向こうの庭に供えなさい。」と言いよったらしい。それから、あっちの婿さんになったから、もう忙しくて、庭の整備をするといって一日・十五日を忘れたらしい。姉は、一日・十五日になったら、ウチャトーとウブクを受け取りに天から降りてきよったって。白い衣装をつけて髪も洗髪して。それだのに、「なんね、また忘れたね。言いつけてもあんたはウチャトーとウブク、忘れたねえ。」と言って、「じゃあ、次は忘れないでかならずウチャトーとウブクを供えなさいよ。」と言って、「じゃあ、今日は、忘れているから、掌をなめて天へ帰るよ。」と言いよったって。掌をなめるって。「手ぬわたーちょーん、なみてぃ行か(掌だけでも、なめて行こうか)。」と。そうしたから、「すぐ朝から一生懸命作って、次からは決して忘れてはいけない。」と言って、作ったらしい。ウチャトーを供えても供えなくても、この一日と十五日は天から降りていらっしゃったって。だから、この一日と十五日は忘れないでよう。別のヲゥユミ(折目)があるさあね。「今日はヲゥユミやくとぅ(今日は折目だから)、夕飯供ぎーん(夕ご飯をお供えする)。」と言ってあるさあね。「あんなのは具志頭親方がね、百姓はなにもなく働き一方だからといって作ってあるものであるから忘れてもいいけど、この十五日と一日のウチャトー、ウブクは忘れないでよう。」と言よった。だから、供ぎてぃん(供えても)、供ぎらんてぃんや(供えなくても)、自分の先祖はヤナメー絶対つけないと(悪い目には会わさないって)。「次、忘らんよーい供ぎりよーやー(次は、忘れないで供えてね)。」んでぃち、天ぬんかい昇てぃめんしぇーん(と言って、天に昇って行かれた)。けがなんかするのもね、ご先祖のー絶対ヤナメーつけないって。

再生時間:8:16

民話詳細DATA

レコード番号 47O421367
CD番号 47O42C042
決定題名 姉と弟(シマグチ混じり)
話者がつけた題名 ウチャトーとうとウブクの話
話者名 真栄平ウト
話者名かな まえひらうと
生年月日 19090820
性別
出身地 具志川市赤野
記録日 19800803
記録者の所属組織 沖縄口承文芸調査団
元テープ番号 具志川市T39 A20
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情 お祖父さんから聞いた
文字化資料 具志川市史第3巻下337頁 具志川市の民話ふるさとの昔ばなし72頁 通観362頁
キーワード お茶とう,ウブク,姉,弟,一日十五日,神様,
梗概(こうがい) このウチャトーとウブクの話だよ。これもね、うちのおじいさんから十四、五歳のときに聞いたものでありますので、はっきりは覚えてないけどさ。なんでこの話を聞いたかというたら、ウチャトー・ウブクをお供えするのを忘れたから、「こうこうだから、一日・十五日には、なには忘れても、ウチャトーとウブクは忘れていけないよ。」と言われたわけ。それはね、姉と弟がいたらしい。姉はきれいで、弟と二人で住んでいたって。この姉は神様であったらしい。でも、弟は分からないわけ、神様っては。それで、友だちが誘いにきても、来たらよ、行くところの品物、出る品物をこの姉が分かりよったって、なにが出るかを。「あっちはなになに出るから、なには食べていいけど、なになには食べていけない。」と言いつけて、行かしよったって、この弟に。また二人の姉弟は、双子みたいによく似ていたって。女の子に男姿させたら、すぐ男なりよったって。また、男の子に女姿させたら、すぐ女になり、とてもよく似ていたらしい。そうしたら、この弟が姉の言いつけを守らんで、食べてはいけないというのを食べてしまって。やっと家までは帰ってきたけど、死んでしまったって、この弟は。だから、「この子は食べていけないものを言いつけておいたのに、食べてしまったねえ。」と言うて。姉は、死んだ弟を押入れに入れておいて、自分は男の格好をして、空を飛んでいる鳥を取りに、弓矢を担いで出たらしい。鳥の名まえも聞いていたけど、忘れてしまっているさ。そして、やっと三日目に、その鳥を捜して弓で射ったって。その鳥は、ある村の王様の庭のところに落ちたらしい。そこは、門番もいたので、「ちょっと、この屋敷の中に入れてください。」とお願いしたら、門番が、「ここは他人が入ってはいけない。」と言うたが、「でも、どうしても行かなければならない用事だから、どうか通してください。」と言って、お願いして入れてもらった。そうしたら、ここの主が、「この鳥を射る人は、ただの人ではない。」と言って、中に入れてご馳走を作って出したので、たくさん食べてから、この鳥を持って家に帰った。家に帰って、自分の弟を押入れから出して、こう三回鳥を振ったら、生き返っていたって。そうして、「さあ、あんたはね、どこそこに行って、あっちの婿さんになりなさい。」って、あっちの親が姉は男であると思って、自分の娘をくれたそうですよ。「あの鳥を射るなんて、ただものではないから、うちの娘を妻にしてくれ。」と言って、その娘とのことになったので、それを受けて、自分の弟を行かしておるわけ。「向こうに行ったら、そこの庭を立派に掃除して草木も植えて、お宮を造りなさい。」すると、姉が弟に、「あっちの婿さんになってね、私は普通の人間ではない。あんたの立場を考えるために生きているから、私は今日から天へ上がっていくから、あんたはちゃんとあっちの家を守って、成功しなさい。」と言いつけたらしい。「そうします。」と言ってから、姉は天へ上がって行ったらしい。弟は、その家の婿さんになって成功した。それで、「あっち行ったら、一日と十五日は忘れないで、ウチャトーとウブクはかならず向こうの庭に供えなさい。」と言いよったらしい。それから、あっちの婿さんになったから、もう忙しくて、庭の整備をするといって一日・十五日を忘れたらしい。姉は、一日・十五日になったら、ウチャトーとウブクを受け取りに天から降りてきよったって。白い衣装をつけて髪も洗髪して。それだのに、「なんね、また忘れたね。言いつけてもあんたはウチャトーとウブク、忘れたねえ。」と言って、「じゃあ、次は忘れないでかならずウチャトーとウブクを供えなさいよ。」と言って、「じゃあ、今日は、忘れているから、掌をなめて天へ帰るよ。」と言いよったって。掌をなめるって。「手ぬわたーちょーん、なみてぃ行か(掌だけでも、なめて行こうか)。」と。そうしたから、「すぐ朝から一生懸命作って、次からは決して忘れてはいけない。」と言って、作ったらしい。ウチャトーを供えても供えなくても、この一日と十五日は天から降りていらっしゃったって。だから、この一日と十五日は忘れないでよう。別のヲゥユミ(折目)があるさあね。「今日はヲゥユミやくとぅ(今日は折目だから)、夕飯供ぎーん(夕ご飯をお供えする)。」と言ってあるさあね。「あんなのは具志頭親方がね、百姓はなにもなく働き一方だからといって作ってあるものであるから忘れてもいいけど、この十五日と一日のウチャトー、ウブクは忘れないでよう。」と言よった。だから、供ぎてぃん(供えても)、供ぎらんてぃんや(供えなくても)、自分の先祖はヤナメー絶対つけないと(悪い目には会わさないって)。「次、忘らんよーい供ぎりよーやー(次は、忘れないで供えてね)。」んでぃち、天ぬんかい昇てぃめんしぇーん(と言って、天に昇って行かれた)。けがなんかするのもね、ご先祖のー絶対ヤナメーつけないって。
全体の記録時間数 8:16
物語の時間数 8:16
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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