
今からおよそ六五年ぐらい前に、実際にあった話。現在の石川市と具志川市の海岸の境界にタカビラという、ものすごい断崖になっておる高い坂があります。普通、この坂からは、人間一人でも非常に勇気を出して上り下りするというくらいの坂であります。そこで、ある少女が、自分の子馬を可愛がって、毎日、この子馬と外に出たり、お使いに行ったりして、一緒に遊んでいたわけです。それで、この馬は、この少女と人間対人間のように、行動したわけです。この少女は、非常に智恵もありましたので、男でもやったことないことをやってみようと思いたった。少女は、タカビラの断崖から、馬と一緒に下りるという賭を男達とやろうと思って、毎日、子馬を連れて、悪い坂道を上り下りして訓練をしたわけです。ある日、少女は、可愛い馬を連れだして、タカビラに行った。最初はこの馬は引っ張っても、後ろから叩いても、この断崖の坂が怖いもんだから絶対下りなかったわけです。それで、いろいろと工夫をして、自分の肩に馬の首を乗っけて、自分と一緒にゆっくり、ゆっくり下りたわけです。そのうちこの馬も怖いことを忘れて、坂を下りることに成功したわけです。それで、その少女は非常に自信を持ったようで、暴れん坊の男達に、話しかけたわけです。「ええ、きみ達はいつも女をばかにしているけど、私が、あのタカビラの断崖から馬と一緒に下りることが出来たら、あんた方は私にどれだけくれるか。」と。「もし、きみ達が出来たら私があげる。出来なかったら、私が金を貰う。」と。で、この男の連中から、昔の十円を貰うということで賭をしたわけです。男達は、「女ができるぐらいだったら、男にはたやすいことだ。」ということで、この暴れん坊の男達は、我先にとこのタカビラを下りたわけです。しかし、最初の男が、馬を無理やり引っ張って、このタカビラの断崖を下りようとしたんだけど、引っ張れば引っ張るほど馬は怖がって、絶対下りなかった。で、今度は、馬を先にして、後ろから鞭で尻を叩いたり、いろんなことしたんだけど、絶対この馬は下りなかったという。代わる代わるこの男達は、この馬を引っ張ったんだが、誰も出来なかったって。終いには、「じゃあ、私がこの馬と一緒に下りてみせるから。」ということをみんなに話したら、みんな馬鹿笑いしたわけですね。 「男が出来ないのに、少女のくせにこれが出来るか。」と言うんです。毎日可愛がっている馬に、最初は好きな人参の葉っぱをあげて、肩を叩いて、「今日は、私と一緒に下りるんだよう。」と、何回も馬のたてがみを撫でてから、自分が左の手で手綱を取り、右の肩に馬の首をのっけて、ゆっくり、ゆっくり無事に断崖を下りたということで、男達もこの女の子を馬鹿にしなくなったそうです。動物でも何でも日頃から精神込めて可愛がると、どこまでも主人について行くということが、男達もわかったという。それから、この少女の話は、現在も残っているわけです。
| レコード番号 | 47O421085 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C034 |
| 決定題名 | タカビラを降りた娘と馬(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 娘と馬 |
| 話者名 | 座間味宗松 |
| 話者名かな | ざまみむねまつ |
| 生年月日 | 19171010 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市昆布 |
| 記録日 | 19800802 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T32 B1 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 20,30 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻上162頁 |
| キーワード | 馬,娘,タカビラ,断崖, |
| 梗概(こうがい) | 今からおよそ六五年ぐらい前に、実際にあった話。現在の石川市と具志川市の海岸の境界にタカビラという、ものすごい断崖になっておる高い坂があります。普通、この坂からは、人間一人でも非常に勇気を出して上り下りするというくらいの坂であります。そこで、ある少女が、自分の子馬を可愛がって、毎日、この子馬と外に出たり、お使いに行ったりして、一緒に遊んでいたわけです。それで、この馬は、この少女と人間対人間のように、行動したわけです。この少女は、非常に智恵もありましたので、男でもやったことないことをやってみようと思いたった。少女は、タカビラの断崖から、馬と一緒に下りるという賭を男達とやろうと思って、毎日、子馬を連れて、悪い坂道を上り下りして訓練をしたわけです。ある日、少女は、可愛い馬を連れだして、タカビラに行った。最初はこの馬は引っ張っても、後ろから叩いても、この断崖の坂が怖いもんだから絶対下りなかったわけです。それで、いろいろと工夫をして、自分の肩に馬の首を乗っけて、自分と一緒にゆっくり、ゆっくり下りたわけです。そのうちこの馬も怖いことを忘れて、坂を下りることに成功したわけです。それで、その少女は非常に自信を持ったようで、暴れん坊の男達に、話しかけたわけです。「ええ、きみ達はいつも女をばかにしているけど、私が、あのタカビラの断崖から馬と一緒に下りることが出来たら、あんた方は私にどれだけくれるか。」と。「もし、きみ達が出来たら私があげる。出来なかったら、私が金を貰う。」と。で、この男の連中から、昔の十円を貰うということで賭をしたわけです。男達は、「女ができるぐらいだったら、男にはたやすいことだ。」ということで、この暴れん坊の男達は、我先にとこのタカビラを下りたわけです。しかし、最初の男が、馬を無理やり引っ張って、このタカビラの断崖を下りようとしたんだけど、引っ張れば引っ張るほど馬は怖がって、絶対下りなかった。で、今度は、馬を先にして、後ろから鞭で尻を叩いたり、いろんなことしたんだけど、絶対この馬は下りなかったという。代わる代わるこの男達は、この馬を引っ張ったんだが、誰も出来なかったって。終いには、「じゃあ、私がこの馬と一緒に下りてみせるから。」ということをみんなに話したら、みんな馬鹿笑いしたわけですね。 「男が出来ないのに、少女のくせにこれが出来るか。」と言うんです。毎日可愛がっている馬に、最初は好きな人参の葉っぱをあげて、肩を叩いて、「今日は、私と一緒に下りるんだよう。」と、何回も馬のたてがみを撫でてから、自分が左の手で手綱を取り、右の肩に馬の首をのっけて、ゆっくり、ゆっくり無事に断崖を下りたということで、男達もこの女の子を馬鹿にしなくなったそうです。動物でも何でも日頃から精神込めて可愛がると、どこまでも主人について行くということが、男達もわかったという。それから、この少女の話は、現在も残っているわけです。 |
| 全体の記録時間数 | 7:20 |
| 物語の時間数 | 7:20 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |