
もう一つの話だがね、町に差し傘張りがいたらしい。裁判官は前の話と同じ人だが、その裁判官の文句がふるって(変わって)いるわけ。これはそのときの裁判の話だよ。傘張りの人たちが裁判に来ているわけ。昔は傘といえば紙であった。蘭傘とはちがって紙傘があるでしょう、その傘を張る人がいて、傘に糊をつけて、全部張り終え、庭いっぱいに出して、太陽に干してあった。風巻というのは竜巻のことだが、途中で竜巻がおこり干してあった傘を全部吹っ飛ばしてしまった。そうしたら、傘張りはもうびっくりして、「裁判官はこれも裁判してくれるかどうか行ってみよう。」と言って、裁判官の元へ行ったそうだ。裁判官に、「私はこれだけが元金だったのに、紙を張って太陽に干してある傘を、竜巻が来て全部持って行ってしまって一つも残っていません。これはどうしたらいいでしょうか。」と聞いた。裁判官は、「そうだったら、これも裁判してあげよう。」と言ったようだね。傘張りは竜巻が傘を持って行ってなくなっているが、どのように裁判するのかと思っていた。裁判官は、「話があるので、船主はみんな集まるように。」と言って、船主を集めた。どんな話をするかと思ったら、船主たちに、「あなた方の毎日の仕事はなにか。」と聞いたら、「船の仕事である。」と。当時の船は帆を立てて風が走らせているさあね、それで、裁判官は、「あなた方の仕事の親はなにか。」と、また聞いたので、「風でございます。船の帆が風を受けて走らせ、儲け仕事をしております。」と言った。「あなた方の仕事の親である風が、傘張りの干してある傘を全部持って行ってしまったので、みんなで傘張りの傘代を出し合って払いなさい。」と言った。船主たちはお金を出させられて、そうして、傘張りは損もせず元金が戻ってきたって。そんな裁判官だったようだね。
| レコード番号 | 47O420917 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C028 |
| 決定題名 | 唐人裁判 傘屋と竜巻(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 金城珍明 |
| 話者名かな | きんじょうちんめい |
| 生年月日 | 18990210 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市喜屋武 |
| 記録日 | 19800805 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川市T26 A4 |
| 元テープ管理者 | 伝承話資料センター |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻下672頁 |
| キーワード | 紙傘はり,傘,竜巻,裁判官,唐人,船持ち,風,帆 |
| 梗概(こうがい) | もう一つの話だがね、町に差し傘張りがいたらしい。裁判官は前の話と同じ人だが、その裁判官の文句がふるって(変わって)いるわけ。これはそのときの裁判の話だよ。傘張りの人たちが裁判に来ているわけ。昔は傘といえば紙であった。蘭傘とはちがって紙傘があるでしょう、その傘を張る人がいて、傘に糊をつけて、全部張り終え、庭いっぱいに出して、太陽に干してあった。風巻というのは竜巻のことだが、途中で竜巻がおこり干してあった傘を全部吹っ飛ばしてしまった。そうしたら、傘張りはもうびっくりして、「裁判官はこれも裁判してくれるかどうか行ってみよう。」と言って、裁判官の元へ行ったそうだ。裁判官に、「私はこれだけが元金だったのに、紙を張って太陽に干してある傘を、竜巻が来て全部持って行ってしまって一つも残っていません。これはどうしたらいいでしょうか。」と聞いた。裁判官は、「そうだったら、これも裁判してあげよう。」と言ったようだね。傘張りは竜巻が傘を持って行ってなくなっているが、どのように裁判するのかと思っていた。裁判官は、「話があるので、船主はみんな集まるように。」と言って、船主を集めた。どんな話をするかと思ったら、船主たちに、「あなた方の毎日の仕事はなにか。」と聞いたら、「船の仕事である。」と。当時の船は帆を立てて風が走らせているさあね、それで、裁判官は、「あなた方の仕事の親はなにか。」と、また聞いたので、「風でございます。船の帆が風を受けて走らせ、儲け仕事をしております。」と言った。「あなた方の仕事の親である風が、傘張りの干してある傘を全部持って行ってしまったので、みんなで傘張りの傘代を出し合って払いなさい。」と言った。船主たちはお金を出させられて、そうして、傘張りは損もせず元金が戻ってきたって。そんな裁判官だったようだね。 |
| 全体の記録時間数 | 3:00 |
| 物語の時間数 | 3:00 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |