
首里城を造るときに、王様は、「田場大工は偉い大工さんだから。」と、頼んで造ることにしたんですよ。ところが、田場大工は、道具マサイというふうにね、大工は道具を立派に磨かないと仕事はできないとね。仕事よりも道具を磨く時間の方が長かったそうです。そしたら、「あなたは仕事はしないで。道具を磨くのが仕事なのか。」と王様に叱られた。そして、「あんたは使わんから、もう帰ってくれ。」と言われた。田場大工は、「ああそうですか。」と言って、家に帰ったそうですよ。田場大工が帰るときに、「楔が立派でなければ、完全な家はできないから。」と、今まで立派に作ってあった楔を、縄で縛って尚家の前のリングムイに捨てたそうです。それで、大工の連中に、「あの楔を二、三日後に見てみなさい。」と言ったそうです。三日水の中に入れてあった楔の中に、水は通ってなかったそうです。「これは珍しいことだ。」と言って、王様に持って行って見せたら、「これは自分が悪かった。この人がいなければ首里城は完全に出来ない。わしが悪かったから。ぜひやってくれ。」と王様は自分で詫びてね、そして、田場大工が首里城や唐破風も立派に作った。その時代は、材木は国頭から持ってきたそうです。クンザンサバクイという歌があるでしょう。当時、国頭から材木切って、部落の責任で届けたそうです。その木の中に、曲がった木があったそうです。王様は、「立派な木を持ってこい、と言ったのに、こんな曲がった悪い木を持ってきて。」と。木はイリクという立派な強い堅い木であったそうです。「この木は検査は通らないからこれは捨てて、もう一本立派な木から持ってこい。」と王様は命じたそうです。それで、同じ大工の連中が、「この木を田場大工に見せて、あの人が使えると言うなら、検査を通してくれ。」と言った。昔の家は、ヒチムンと言ってね、必ずあの屋根の上はね、曲がった木を使った。曲がった木は元が強いでしょ。家の勾配を作る時に、ニームチャーといって、強い曲がった木を使ったそうです。そして、その木を田場大工に検査させたら、「これは最高の材料だから、使えますよ。これは通しなさい。」と、田場大工が言った。大工連中は、「田場大工に助けられた。」と言って喜んで帰ったという。そういうふうに、材料もこの木はどこに、この木はどこに使うと計算がうまかったそうですねえ。「精神の曲がった人は使われないが、曲がった木は使える。」と、田場大工が言った話。あの昔の格言に「キーヌマゲー、チカーリーシガ、チュヌマゲー、チカーララン(曲がった木は使えるが、精神の曲がった者は使えない)。」という言葉があります。
| レコード番号 | 47O420752 |
|---|---|
| CD番号 | 47O42C023 |
| 決定題名 | 田場大工 濡れない楔(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 田場大工と首里城 |
| 話者名 | 徳田永光 |
| 話者名かな | とくだえいこう |
| 生年月日 | 19060118 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 具志川市字天願 |
| 記録日 | 19800504 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
| 元テープ番号 | 具志川T19 A3 |
| 元テープ管理者 | 伝承話資料センター |
| 分類 | 20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 父の友人から聞いた |
| 文字化資料 | 具志川市史第3巻上75頁 |
| キーワード | 尚家,リングムイ,田場大工,クサビ,田場大工,カラハーイ,首里城,王様 |
| 梗概(こうがい) | 首里城を造るときに、王様は、「田場大工は偉い大工さんだから。」と、頼んで造ることにしたんですよ。ところが、田場大工は、道具マサイというふうにね、大工は道具を立派に磨かないと仕事はできないとね。仕事よりも道具を磨く時間の方が長かったそうです。そしたら、「あなたは仕事はしないで。道具を磨くのが仕事なのか。」と王様に叱られた。そして、「あんたは使わんから、もう帰ってくれ。」と言われた。田場大工は、「ああそうですか。」と言って、家に帰ったそうですよ。田場大工が帰るときに、「楔が立派でなければ、完全な家はできないから。」と、今まで立派に作ってあった楔を、縄で縛って尚家の前のリングムイに捨てたそうです。それで、大工の連中に、「あの楔を二、三日後に見てみなさい。」と言ったそうです。三日水の中に入れてあった楔の中に、水は通ってなかったそうです。「これは珍しいことだ。」と言って、王様に持って行って見せたら、「これは自分が悪かった。この人がいなければ首里城は完全に出来ない。わしが悪かったから。ぜひやってくれ。」と王様は自分で詫びてね、そして、田場大工が首里城や唐破風も立派に作った。その時代は、材木は国頭から持ってきたそうです。クンザンサバクイという歌があるでしょう。当時、国頭から材木切って、部落の責任で届けたそうです。その木の中に、曲がった木があったそうです。王様は、「立派な木を持ってこい、と言ったのに、こんな曲がった悪い木を持ってきて。」と。木はイリクという立派な強い堅い木であったそうです。「この木は検査は通らないからこれは捨てて、もう一本立派な木から持ってこい。」と王様は命じたそうです。それで、同じ大工の連中が、「この木を田場大工に見せて、あの人が使えると言うなら、検査を通してくれ。」と言った。昔の家は、ヒチムンと言ってね、必ずあの屋根の上はね、曲がった木を使った。曲がった木は元が強いでしょ。家の勾配を作る時に、ニームチャーといって、強い曲がった木を使ったそうです。そして、その木を田場大工に検査させたら、「これは最高の材料だから、使えますよ。これは通しなさい。」と、田場大工が言った。大工連中は、「田場大工に助けられた。」と言って喜んで帰ったという。そういうふうに、材料もこの木はどこに、この木はどこに使うと計算がうまかったそうですねえ。「精神の曲がった人は使われないが、曲がった木は使える。」と、田場大工が言った話。あの昔の格言に「キーヌマゲー、チカーリーシガ、チュヌマゲー、チカーララン(曲がった木は使えるが、精神の曲がった者は使えない)。」という言葉があります。 |
| 全体の記録時間数 | 8:29 |
| 物語の時間数 | 8:29 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |