物言う亀(シマグチ)

概要

“親ヌ孝カッパイ”と言ってね。その話だけど。昔ね、母親はいないで、父親と子供と二人でいたらしい
。親の孝行するといっても、昔は、何もないからね。山に行って、薪を取って来て、人に売ったりして、そ
の金で酒なども買って、父親に差し上げてね。毎日、山に通っていたって。その子は。母親はいないもんだ
から。毎日親孝行したから、後の恩があってね。この子が山で、木を切ろうと、“パッパン”と斧で打つ度
に、そこから亀が出てきて“親ヌ孝カッパイ”と言ったりする。またも“パン”とやったら、“親ヌ孝カッ
パイ”としゃべりよったって。山亀がね。そうしたら、「あっ、どうしたのだろう、人もいないのに。」山
の中だからね。「人もいないのに、なぜしゃべるのかなー。」と思っていると、亀が、首を出したりして、
しゃべりよったて。そうしたら、「お前なのか、亀少(カーミーぐわ ー)よ。私が、斧を振り落とす度に、
あの“親ヌ孝カッパイ、親ヌ孝カッパイ”と言うのは。」と言ったら、「おー。」と。「お前は毎日、そん
なに難儀して、親孝行すると言うから、私が、お前に徳を与えよう。私を拾って、あの隣の金持ちのところ
に連れていきなさい。私を持って行ってね。そしてこれは、“親ヌ孝カッパイ”と言うよーと(言いなさい
)。あそこでは、言わないと言うから、言ったらどうするかと賭をしなさい。銭を賭けてね。」そうしたら
、子供はよ、この山亀を持って行って、「はいこの亀は、“親ヌ孝カッパイ”と、言いますよー。」と、隣
の金持ちに言ってるわけね。そうしたら、「どこに亀なんかが、言うものか。それが物言ったら、私が、私
達の財産の半分は、あげるさ。それが物を言うものか。」そうしたら、「だったら、言ったら、本当にあげ
ますね。」と言って、かれが、斧を持って来て、“パン”とすると、“親ヌ孝カッパイ”と言ったりしたっ
て。またもつづけると、“親ヌ孝カッパイ”と言う。「はい、言っています、貴方は約束通り守ってくださ
い。」相談はしてあるさね。賭はしてあるさね。確かにあげると言う約束はしてから、しゃべらしてあるさ
。亀が前もって、しゃべらしなさいと教えてあるわけだから。それでしゃべったから、もう仕方ないと、金
持ちは約束通り、半分はあげるべきでしょう。金持ちは財産でもあげないといけない。「それならその亀よ
こしなさい。」おそらく、悪どい商売人だったんだろうね。その金持ちは。悪どい、なくなってしまってい
るさ。「それなら、その亀を私に、貸してくれ青年。」と言って、よその金持ちのところへ行ってもうける
ためにかれが借りて行ったわけ。しかししゃべらなくなってしまってね。打っても、二度、三度打ってみて
もしゃべらない。もう仕方ないから、鳴かないのだから、かれが打っては。「この亀は、たたき殺そう。人
をばかにする奴だ。」と、たたき殺して、投げ捨てたわけ。鳴かないもんだから、「お前のために、損して
。」と怒ってるわけ。そうしたら、「どこに置いたのか、その亀は。」と。「殺して、そこかに投げ捨てた
。」と言ったって。そうしたら、「かわいそうに。」と、その青年が見てみたら、黄金になっていたって。
黄金。宝になっていたってあそこで。そう言う話。親孝行は、七回売られてもね、親孝行はしなさいと、貧
乏人の子供でも、何でも、貧乏人の親であっても、良くしなさいと言うわけ。どんなにしている親でも、七
回売られても、親の孝行はしなさいと言ってあるでしょう。その話だよ、その話始めてやってあったわけ、
孝行はしなさいと。どこに捨てたのか、おじー達の話だから。私達が、七つか八つの頃の話だから。

再生時間:5:17

民話詳細DATA

レコード番号 47O420621
CD番号 47O42C019
決定題名 物言う亀(シマグチ)
話者がつけた題名 親の孝カッパイ
話者名 安慶名カマド
話者名かな あげなかまど
生年月日 19091225
性別
出身地 具志川市宇堅
記録日 19800504
記録者の所属組織 沖縄口承文芸調査団
元テープ番号 具志川市T16 A8
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 通観類話②339頁 
キーワード 親の孝カッパイ,母親,父親,亀,孝行,薪,斧,山亀,黄金,
梗概(こうがい) “親ヌ孝カッパイ”と言ってね。その話だけど。昔ね、母親はいないで、父親と子供と二人でいたらしい 。親の孝行するといっても、昔は、何もないからね。山に行って、薪を取って来て、人に売ったりして、そ の金で酒なども買って、父親に差し上げてね。毎日、山に通っていたって。その子は。母親はいないもんだ から。毎日親孝行したから、後の恩があってね。この子が山で、木を切ろうと、“パッパン”と斧で打つ度 に、そこから亀が出てきて“親ヌ孝カッパイ”と言ったりする。またも“パン”とやったら、“親ヌ孝カッ パイ”としゃべりよったって。山亀がね。そうしたら、「あっ、どうしたのだろう、人もいないのに。」山 の中だからね。「人もいないのに、なぜしゃべるのかなー。」と思っていると、亀が、首を出したりして、 しゃべりよったて。そうしたら、「お前なのか、亀少(カーミーぐわ ー)よ。私が、斧を振り落とす度に、 あの“親ヌ孝カッパイ、親ヌ孝カッパイ”と言うのは。」と言ったら、「おー。」と。「お前は毎日、そん なに難儀して、親孝行すると言うから、私が、お前に徳を与えよう。私を拾って、あの隣の金持ちのところ に連れていきなさい。私を持って行ってね。そしてこれは、“親ヌ孝カッパイ”と言うよーと(言いなさい )。あそこでは、言わないと言うから、言ったらどうするかと賭をしなさい。銭を賭けてね。」そうしたら 、子供はよ、この山亀を持って行って、「はいこの亀は、“親ヌ孝カッパイ”と、言いますよー。」と、隣 の金持ちに言ってるわけね。そうしたら、「どこに亀なんかが、言うものか。それが物言ったら、私が、私 達の財産の半分は、あげるさ。それが物を言うものか。」そうしたら、「だったら、言ったら、本当にあげ ますね。」と言って、かれが、斧を持って来て、“パン”とすると、“親ヌ孝カッパイ”と言ったりしたっ て。またもつづけると、“親ヌ孝カッパイ”と言う。「はい、言っています、貴方は約束通り守ってくださ い。」相談はしてあるさね。賭はしてあるさね。確かにあげると言う約束はしてから、しゃべらしてあるさ 。亀が前もって、しゃべらしなさいと教えてあるわけだから。それでしゃべったから、もう仕方ないと、金 持ちは約束通り、半分はあげるべきでしょう。金持ちは財産でもあげないといけない。「それならその亀よ こしなさい。」おそらく、悪どい商売人だったんだろうね。その金持ちは。悪どい、なくなってしまってい るさ。「それなら、その亀を私に、貸してくれ青年。」と言って、よその金持ちのところへ行ってもうける ためにかれが借りて行ったわけ。しかししゃべらなくなってしまってね。打っても、二度、三度打ってみて もしゃべらない。もう仕方ないから、鳴かないのだから、かれが打っては。「この亀は、たたき殺そう。人 をばかにする奴だ。」と、たたき殺して、投げ捨てたわけ。鳴かないもんだから、「お前のために、損して 。」と怒ってるわけ。そうしたら、「どこに置いたのか、その亀は。」と。「殺して、そこかに投げ捨てた 。」と言ったって。そうしたら、「かわいそうに。」と、その青年が見てみたら、黄金になっていたって。 黄金。宝になっていたってあそこで。そう言う話。親孝行は、七回売られてもね、親孝行はしなさいと、貧 乏人の子供でも、何でも、貧乏人の親であっても、良くしなさいと言うわけ。どんなにしている親でも、七 回売られても、親の孝行はしなさいと言ってあるでしょう。その話だよ、その話始めてやってあったわけ、 孝行はしなさいと。どこに捨てたのか、おじー達の話だから。私達が、七つか八つの頃の話だから。
全体の記録時間数 5:17
物語の時間数 5:17
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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