もの言う牛(共通語)

概要

昔、あるずべら者の百姓が、自分の牛を何日も原野に繋いだままにしていたから、牛はへとへとになるほど痩せていた。ある漁師がそこを通ると、「漁師さん、漁師さん」という声がした。見回すと、牛がものをしゃべっている。牛は、「もう十日もくくられたままで何も食べていない。水を飲みたくて死にそうだ。くくってある縄を解いて水飲み場は近いから、そこの水を飲ませて下さい。お願いします。」と言った。漁師は、縄を解いてやって水を飲ませた。牛は感謝して自分の主の家を教えて探してきてくれと頼んだ。漁師が牛に教えられた家に行って訳をいうと、ずべらな百姓は、「牛がものを言うはずがない」と言うので、賭けをすることになった。漁師と百姓が牛のところに行くと 牛が、漁師のおかげで助かったと確かにものを言ったので、牛は漁師のものとなった。漁師はそれまで貧乏な暮らしをしていたが、この牛を貰うと大事に育て、人の田んぼや畑を借りて作物を作ったので生活も裕福になった。漁師は牛に感謝して、お前が死んだ時には、人間と同じように葬って立派な墓を建ててやると言うと、牛は「私が死んだら墓を作るのは止めて下さい。その代わり、今日でも明日(あ す)でもいいから私を殺して、肉はここの四つの御嶽にお供えして、残りの肉は無駄にならないように川平部落ぜんぶの人に食べさせて下さい。」と言った。漁師はその通りにした。ここでは神様へのお供えをクッパと言う。このいわれで、クッパの上等なのは牛の肉だと言っている。昔、川平の旧八月の結願祭(けつがんまつ)りには、牛一頭を屠殺して、牛の前足と後ろ足の四本と背中の二本の肉を供えて、それから胃、心臓、肝臓、腸を長く煮て、秤に掛けて、それぞれの御嶽に肉を二斤、煮たものを二斤、併せて四斤を秤に掛けて供えて、残りは部落民全員がお碗を持って集まって食べていた。だから今でも、結願祭(けつがんまつ)りには牛を屠殺はしないが御嶽に牛の肉を供えている。

再生時間:6:09

民話詳細DATA

レコード番号 47O340349
CD番号 47O34C025
決定題名 もの言う牛(共通語)
話者がつけた題名
話者名 喜舎場兼次郎
話者名かな きしゃばけんじろう
生年月日 19040113
性別
出身地 沖縄県石垣市字川平
記録日 19960323
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市字川平 T61 A04
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12
発句(ほっく) むかし
伝承事情
文字化資料 八重山諸島民話集 P100 石垣島の民話 P124
キーワード 百姓,牛,漁師,賭け,裕福,感謝,お供え,クッパ,旧八月,結願祭,前足,後ろ足,胃,心臓,肝臓,腸,御嶽,四斤
梗概(こうがい) 昔、あるずべら者の百姓が、自分の牛を何日も原野に繋いだままにしていたから、牛はへとへとになるほど痩せていた。ある漁師がそこを通ると、「漁師さん、漁師さん」という声がした。見回すと、牛がものをしゃべっている。牛は、「もう十日もくくられたままで何も食べていない。水を飲みたくて死にそうだ。くくってある縄を解いて水飲み場は近いから、そこの水を飲ませて下さい。お願いします。」と言った。漁師は、縄を解いてやって水を飲ませた。牛は感謝して自分の主の家を教えて探してきてくれと頼んだ。漁師が牛に教えられた家に行って訳をいうと、ずべらな百姓は、「牛がものを言うはずがない」と言うので、賭けをすることになった。漁師と百姓が牛のところに行くと 牛が、漁師のおかげで助かったと確かにものを言ったので、牛は漁師のものとなった。漁師はそれまで貧乏な暮らしをしていたが、この牛を貰うと大事に育て、人の田んぼや畑を借りて作物を作ったので生活も裕福になった。漁師は牛に感謝して、お前が死んだ時には、人間と同じように葬って立派な墓を建ててやると言うと、牛は「私が死んだら墓を作るのは止めて下さい。その代わり、今日でも明日(あ す)でもいいから私を殺して、肉はここの四つの御嶽にお供えして、残りの肉は無駄にならないように川平部落ぜんぶの人に食べさせて下さい。」と言った。漁師はその通りにした。ここでは神様へのお供えをクッパと言う。このいわれで、クッパの上等なのは牛の肉だと言っている。昔、川平の旧八月の結願祭(けつがんまつ)りには、牛一頭を屠殺して、牛の前足と後ろ足の四本と背中の二本の肉を供えて、それから胃、心臓、肝臓、腸を長く煮て、秤に掛けて、それぞれの御嶽に肉を二斤、煮たものを二斤、併せて四斤を秤に掛けて供えて、残りは部落民全員がお碗を持って集まって食べていた。だから今でも、結願祭(けつがんまつ)りには牛を屠殺はしないが御嶽に牛の肉を供えている。
全体の記録時間数 11:22
物語の時間数 6:09
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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